miyabi-night 二十八話 - japonesque side story - | TRIP 嵐 妄想小説

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嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。

 


侑李は鳥井の肩に寄り添いながら、勇気を振り絞る。

反対されることはわかっている。

でも、言わなければならない。

舞台に立ちたいと……。

そう思ってもなかなか言い出せず、日が過ぎるばかり。

舞台に立てば、処罰されるかもしれない。

そうすれば、鳥井とはもう会うこともできない……。

鳥井を失いたくはない。

でも、舞台をこのまま捨て去ることも……。

先刻の智の踊りを思い出す。

このまま、智に譲ってしまっていいのか?

侑李は小さく首を振る。

杯を傾ける鳥井を見上げ、戸惑いながらも、口を開く。

「鳥井様……。」

「ん?」

鳥井は杯を置き、侑李を見つめる。

「……戻りとう…ございます。」

「戻る?茶屋へか?」

「いえ……舞台へ。」

侑李は揺れる瞳で鳥井を見つめる。

「舞台……。」

鳥井は小さく溜め息をつき、侑李の肩を抱く。

「私には……踊りだけが全てでございました。鳥井様と出会うまでは……。

 踊りの為ならば、どんなことにも耐えることができました。

 踊りしかなかったのでございます。

 そんな私に、鳥井様が幸せをくださいました。

 この思いを、……舞台で花開かせとうございます。」

「侑李……。」

鳥井は目をつぶる。

初めて侑李を見たのは舞台だ。

舞台の上の侑李は輝いていた。

その輝きに魅了され、恋に落ちた。

侑李から、舞台を取り上げるのは酷なことに違いない。

だが、手入れがあるとわかっていて、侑李を行かせることもできない。

侑李はわかっているのか?

「もうしばらく待つことはできないのか?

 せめて、手入れが入るまで……。」

侑李はゆっくり首を振る。

「その間に……私の役はなくなってしまいます。」

「そんなことはなかろう。お前は十分に踊れる。」

「はい……。私もそう思っておりました。

 しばらく経てば、また戻れると……。

 ですが、そうも言ってはいられないのです。」

「なぜだ?」

「いるのでございます。天賦の才を持つ者と言うのは、本当に……。」

「天賦の才?」

「……はい。悔しいですが……、今踊らなければ、私はあの者に負けてしまいます。

 小さな頃からずっと踊りだけ、舞台だけを見てきた私が、

 たかが一月程度で追いつき、追い越されるのです……。」

悔しそうに唇を噛む侑李の肩を、鳥井は優しく撫でる。

「そんなことはあるまい。お前ほど踊れる者など、そうそう……。」

侑李は激しく首を振る。

「いえ、本当にいるのでございます。

 私はこの目で見ました。見せつけられました。

 すぐにでも踊りたい。……逃げることなんて……できないのです。」

侑李は目に涙を溜め、鳥井を見つめる。

鳥井は指で侑李の目元を撫で、涙を流させる。

「もう……私とは会えなくなるやもしれぬ……。」

「……覚悟の上でございます。」

侑李の真剣な表情から、覚悟の気持ちがうかがえる。

鳥井は引き留める言葉を飲み込み、侑李を抱きしめる。

「忘れていたよ……。

 私が好きになったのは、私の腕の中で大人しくしているお前ではなく、

 舞台の上で、光り輝くお前だったのだと言うことを……。」

「鳥井様……。」

侑李は胸に手を添え、鳥井を見上げる。

「私もできる限りのことはしよう。……やっておいで。

 そして、輝いておいで。」

「鳥井……様……。」

侑李は鳥井の胸に顔を埋め、声を殺して涙を流す。

鳥井は侑李の額に 唇 を当てる。

弾かれたように、侑李の 唇 が、鳥井の 唇 に 吸 い付く。

これが最後かもしれない……。

そう思うと、口づけはどんどん深くなっていく。

侑李の体が沈み、鳥井の手が、侑李の 内 腿 を 撫 でる。

侑李の膝が当たり、がたっとお膳が鳴る。

杯が転がり、酒が零れたが、二人がそれを気にすることはなかった。