また、今まであまり出歩いたことのない西山周辺に行ってきました。

実は、西山の長岡京市という所に住んでいた時もあったのですが、本当に『住んでいた』だけでした。

いくつか覚えているもののうち、光明寺という地名を訪ねてみました。

光明寺という寺は、浄土宗の1派の本山でした。ここは、観光より宗教活動が中心のようです。

けど、残っている紅葉が綺麗でした。

木も、参道も、真っ赤です。

このように、綺麗な場所も全く知らないまま過ごしてきたのです。

確か、この門は江戸時代のものだったかと思いますが、京都では何の指定もありません、さすがです。

それから、

『奥海印寺』という地名も気になり、

観光マップにあった寂照院という寺を探してみたが、これがなかなか見つかりませんでした。諦めかけましたが、

近代的な鉄筋コンクリートで造られた本堂の寺がそれだった。見落とすはずだ。

山門の仁王様が鎌倉時代もので、本堂の仏像は平安や鎌倉ということだった。

当然、見せてくれるはずがないとは思ったが、少し覗いてみました。

斜面に沿って建てられた、本堂のアルミサッシの扉を開けてみた。

特に、入室を拒む貼り紙もないので、

恐る恐る入らせてもらった。

入ってみると、

文化財の指定を受けている仏様たちが

惜しげもなく、公開されていた。

どなたもいらっしゃらないので、

しげしげと拝観させていただいた。

千手観音座像の本尊さんをはじめ、

四天王像、妙見観音さん。

有り難く拝していると、後ろに人の気配があり、振り返ってみると、

老僧が入って来られた。

よくお参りです。

どうぞ、前に行って、よくご覧下さい。

とおっしゃっていただけたので、

お言葉に甘えて、近くから拝させてもらった。

パンフから転載です。

ご本尊さんの上部は平安のもので、下は後世の補修だとか。

四天王も平安末ぐらいのものとか。

なかでも、増長天は院派なそうです。

東大寺の金剛力士像などで有名な慶派にくらべるとマイナーで、柔らかな作風の派なので、四天王の作品は稀で、知る人ぞ知るとか。

(知らんかった！)

何か質問はありますかな？

とおっしゃっるので、本尊やらのことなどを質問したら、お寺やら、ご自分のことなどを聞かせていただいた。

海印寺は平安初期に創建され、大寺院で

この辺りに広がっていたけど衰微して、

末寺の寂照院のみが残っていたとか。

しかも、

この寺の本堂もボロボロとなっていて、

仏像がごちゃごちゃに詰め込めれていたとか。本尊の観音様は海印寺のものだったとか。

で、この老僧が大阪から来て建て直されたそうだ。

いろいろとお話ししていただいたのですが、

マスクなし。

私はしていたけど、最初誰もいなかったので、顎の下にずらしていた。

けど、この老僧を前に、マスクを改めてするのは気がひけてしまった。

あまりに人の良さそうな方なので、

失礼な気がした。

87歳になられる方なので、大丈夫だろうと信じることにした。

その他、興味深い話しがありました。

このお寺にある孟宗竹は、道元が中国から持ち帰り、最初に植えた場所なそうだ。

ここから孟宗竹が広がったとか。

西山一帯に竹林が広がっていますが、その発祥の地だったのです。

そのため、何回か、テレビの取材を受けたこともあったとか。

あと、

この寺の本堂の裏側の斜面から、古墳時代の石室が発見されたとかで、本堂の裏側に保存されています。盗掘を受けていたそうですが、石室などは、よく保存されています。出土したものとして、鎌倉時代の器があったそうです。

盗掘した犯人が、その後、水か、何かを供えたのではないかと。時々あることだとか。

いろいろと興味深かった。

ふと、仏壇の位牌を見ると、

『古墳之霊』

というのがあった。

老僧曰く

古墳もお墓ですからね。

けど、お名前が分からないから、

こうしてます。

この老僧の人柄がうかがわれる。

幸い、このお寺には、宗派に属していない

単立の寺院だから自由にできるのかもしれません。

お礼を言って帰ろうとすると、

老僧は手を合わせてお辞儀をされるので

私も思わず、手を合わせ、

どうぞ、

お元気で。

心温まる、ひと時を過ごさせていただきました。

感謝です。

一期一会