tentama708のブログ -3ページ目
「報告します!!女王様、また我々の中から800もの犠牲者が!!」

部屋の中が水を打ったように鎮まりかえる。

「痛ましい・・原因はやはり」

「ええ、今回も大半がヒトの仕業です。諜報部によると、ヒトに偶然踏み殺された者280名。そして、いたずらに踏み殺された者370名、」

あたりから怒りのうめき声が漏れる。

「また、巣の出入り口を掘り返され、その際死亡したと思われる者50名。さらに生きたままヒトに捕獲された者も数10名おります。残りの者は現在行方不明で、、」

「人間の暴挙をこれ以上許しておいて良いものか!!奴らは生き物の"共存のサイクル"から外れた悪魔だ!!」

新兵が声を荒らげる。
周りの者たちも暗い穴のなかで目をギラつかせ首を縦に振る。

「おい」

しわがれた老兵の声が部屋にこだまする。
新兵の6本の足がびくんっと怖ばる。

「冷静にあれ」

まるで重力の塊が体にずずんっとのしかかってくるような声だ。

「感情的になり、かっと熱を帯びて我を忘れる。お前は、ヒトか?」

「・・・いいえ」

声が震えている。

「そうだ。わしらはヒトではない、だ。
感情を理知的に処理し、目的を成し遂げる。この世からヒトを根絶やしにするという目的をな」

そう言い放った老兵さえも、腹の底で煮えたぎった真ちゅうのような怒りを、辛うじて残った理性で抑え込んでいる、そんな印象を受けた。

「もはや止むを得ないようね」

女王がにわかに口を開く。

「連絡部隊」

「ハッ、女王様」

「至急幹部に連絡せよ。太陽が沈み次第、私の部屋で例の作戦について会議を行う。
これは戦争だ」

場の空気がぴりっと張り詰めるのがわかる。

「幹部未満の者にはこの事は伝えるな、混乱を招く恐れがある。さあゆけ」

「ハッ!」

女王は琥珀の玉座につくと、一つため息をはいた。