遙かなる旅路をたどって

どれほどの旅程を経たろう

疲れ切った身体をねぎらい

安宿に身を落ち着けたが

休らうことができない

 

遠くからの声が聞こえる

呼ばわる声にまねかれて

もっと聞きたかったけれど

声は途切れて断ち切れた

余韻だけがかすれていく

 

とおくから呼ばわる声は

親しげな優しい声だった

途切れ途切れにかすんで

音もなく幻となって消え

虚しい残響のみが領した