世の中には先天的なものか後天的なものかは分からないが、雰囲気やオーラで異性を魅了する魔の性を持った人間が存在する。 


















20XX年





梅雨











帰宅ラッシュを過ぎた夜の電車。






二人の男女が並んで座っていた。









帰宅ラッシュが過ぎたとは言え電車内はまあまあの混雑具合だ。









女『ねえ、天ぷらくんはどういう人が好みなのー?』










俺『好みか…ん〜…魔性の女かな』










女『魔性の女?なにそれ!それのどこがいいのさ』








俺『まあそれは分かる奴にしか分からないから!笑』









女『なにそれー!全然意味分かんないだけどー!』











(それはお前が知る必要のない事だ。)








一瞬、そんなセリフが口から出ていこうとしたが途中で飲みこんだ。












隣で意味が分かんないとブーブー言ってる女を尻目にかつて感じたあの衝撃の事を思い出していた。












(そう言えば、あの女と始めて会ったのは何年か 前の丁度今頃の季節だったな…)














……

























詳しい詳細については身バレの恐れがあるので省略する。













あの女を始めて見た瞬間に感じたのは、











『この女、明らかに他の女と何かが違う』










と言う事だった。









一体、何者なんだろうか。















だが、見た瞬間に感じたのはそれだけでは無かった。










その女を見た時、どこかで会った事がある様ななんだか懐かしい感覚を覚えた。












感覚としてはデジャヴに近い感覚だった様にも思う。












ただ、話をしてみてもどこかで会ったりした事は無いのである。












だが、始めて会った様な感じもしない。















一体何者なんだ…













また、驚いたのは眼力が強かった事だ。






 



コンタクトでも入れてるのかも知れないが、目力が凄かった。












話をしているとその目力で見つめてくるものだから、負けじと俺も見つめ返した。














見た瞬間に感じる明らかに違う雰囲気、どこか懐かしさを感じる感覚、強めの目力。














この女、只者じゃないな。











俺は瞬時にそう感じた。













ただ、不思議な事に話をしてみると妙に落ち着くというか居心地がいいのだ。









 











それこそ本当に昔から知っている人間といる様な感覚に近い。











なんだか温かみの様なものを感じるのだ。












とにかく居心地が良くて、ずっと話をしていたいとさえ思った。















ほとんどの人間に対してビジネス以上の付き合いをしなかった俺がである。












さらには妙に話しが合うのである。








お互いの系統というか性質が似ていると言うのか…


















とにかく個人的に波長が合うのを感じたのだ。


















そう、何を隠そう。




















この女性こそが、成人になってから始めて私に恋愛感情という爆弾を落としていった相手である。笑



























私は知らぬ間にこの女性にどっぷりとハマってしまうのであった。



















ただ、見た目が決してタイプだったかというとそうではない。














勿論、普通に綺麗な女性ではあった。












だが、決してダントツで綺麗だったと言う訳では無かった。













見た目に関して言えばもっとタイプな相手もいたし、なんならドストライクな相手もいた。












彼女と始めて会って何日かは、まだ外見がタイプの相手の方に狙いを定めていた。












いくら一緒にいて居心地が良かったとしても一緒にいなければ、その効力は薄れるものだ。














始めてあった日から、それぞれの相手とLINEで他愛もないやり取りをしていた。













だが、この辺りから変化が訪れていく。















最初は見た目がタイプの女性からの連絡を待っていたが、途中からタイプの相手の連絡が来ても大変失礼な事に『なんだ、お前か』とさえ思う様になっていた。













最初から土俵が違ったのだ。












一目見た際、見た目以外は特に何も響く物が無い相手と口では言い表しにくい何か深い物を感じた相手じゃそもそも勝負にならないのだと思う。














まさに『恋愛は見た目じゃない』が証明されてしまったのだ。















まあこの女性は普通に綺麗な人なんですけどね。笑




















当時、まだ心を閉ざしていた俺にとって恋愛なんてお互い割り切りで充分だと思っていたので見た目重視で選んでいた。







だからこそ、タイプであればあるほどいいわけであってそこには何の温かみも必要が無かったのだ。










だが、この女性はそんな閉ざし切っていた俺の心の扉をいとも容易く開き、愛のバクダンを放り込んでいったのだ。笑











見た目が好みだから好きと言うなら、さらに見た目がいい相手がいればそっちを選ぶだろう。










優しい人だから好きと言うなら、さらに優しい人がいたらそちらを選ぶだろう。















では、この女性のどこが好きなのか…
















もはや、理屈ではない何かなのだ。














妙に居心地の良さや温かみを感じる雰囲気、何故か懐かしさの様な物を覚える感覚。















始めて見た瞬間から、今までに感じた事の無い何かを感じた相手。

























それらを持ち合わせた彼女は、










まさに魔性の女と言えるのではないか。






















これまでの人生で、こんなに衝撃を受けた相手とは会った事がなかった。
















だが、この衝撃を知ってしまった俺は強烈な刺激のある相手で無ければ物足りなく感じる様になってしまったのだった。


































……























女『魔性の女って、結局見た目がよければいいって事なんでしょー?』











場面は変わり冒頭の電車内












魔性の女と言われてもピンと来ていない女はまだ魔性の女についての質問をぶつけてきていた。















魔性の女の魅力…










それは、






その魔力を体感した者にしか分からない。


























『お前のEYEが怖いほど俺を

 悩ませる 惑わせる 壊してく』


 GLAY 口唇


















〜魔性の女現る〜