名張駅に降り立ったのは生まれて初めてのことであり、こういう知らない町に降り立った時の心の高まりは何度体験しても良いものである。
忘れていた青春の血が突然騒ぎだしたのではという錯覚さえしてしまう。
まさに旅の効用の一つでもある。
 
12時過ぎなので近くのコンビニでパンと野菜ジュースを買うが食べる場所がない。
見渡すと駅前にタクシーが一台停まっているのでとりあえず乗って、車内で食事をしながら、周辺部の寺社から回ることにした。
             
まず訪ねたのが名張市の一番北はずれにある弥勒寺である。
真言宗豊山派の寺院、山号は日朝山。
736年に円了上人により創建。
その後良弁上人が大伽藍を建立されて最盛期には七堂伽藍を備えた大寺院であったという。
しかし現在の本堂は昭和54年に改築された鉄筋コンクリート造りでいささかがっかりする。ダウン
 
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だがこの寺は、姿が美しい十一面観音、聖観音(いずれも重文)など多くの仏像群を保有していることで名高い。
事前に住職に拝観の電話をし、快諾を頂いて訪ねた次第である。
 
木像聖観音立像は平安後期の作で重文。ダウン
高さは1,8mで、左手に蓮花を持ち右手は施無畏の印をむすぶ。
ほぼ等身大で優雅な面立ちと立ち姿。
 
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木像十一面観音立像は平安後期の作でやはり重文。ダウン
台座、光背共に後補。
 
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異彩を放つ木造役行者倚像は鎌倉または室町期の作で、等身大の力強い写実的な作品。
足元には前鬼。ダウン
 
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弥勒菩薩坐像は元本尊。ダウン
平安時代後期から鎌倉初期の作。
 
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増長天は藤原時代作。ダウン
 
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住職さんからの説明の後、写真も自由に撮ってくださいとのこと。
写真を撮っても減るものではないと笑われておられた。その言や正し。
ただフラッシュだけは使わないように気を遣った。
久しぶりに本当の生き仏(住職さん)に会ったような充実した気持ちに満たされた。
 
境内続きに春日神社が祀られていた。ダウン
 
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