御承知の通り今年の猛暑は異常だったため、毎年行っていた八ケ岳には少しずらして9月16日より三泊三日で出かけて来た。
女房殿の慰労を兼ねてのことであり、中央線の車窓からの眺めを楽しみながら、往復ともに普通電車を利用するのんびりした旅である。

二日目の17日は私の希望で、小海線に乗って中込駅に途中下車し、約一時間後の電車で小諸に向かうというスケジュール。
小海線沿線では臼田の龍岡城や新海三社神社、佐久市内の寺社は既に訪ねているが、今回は訪ねそびれている中込の貞祥寺を訪ねるのが目的である。

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ホテルより甲斐大泉駅に送迎バスで出るが、駅近くから珍しく富士山がバッチリ見えた。
十倍ズームを使用して撮った(写真)。

電車の中で野辺山の別荘に住んでいるというご老人と話が弾む。
JR駅の中で最も標高が高い野辺山駅からさらに500m高いところに住んでいるという。
最初のうちは気圧の関係で、電気釜がうまく使えず苦労した話などなどを聞く。

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中込駅から時間に余裕が無いため、タクシーに乗り貞祥寺に向かう。
山号は洞源山、曹洞宗の寺院。
苔むした参道が素晴らしい。(写真)

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長い参道を登ると、惣門は1653年築で、一間一戸の茅葺薬医門形式である。(写真)
境内は杉の大木に覆われて、静寂かつ厳かな雰囲気が満ち満ちている。


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山門は1672年築であり、三間一戸の茅葺で、周囲の風景に溶け合い風情たっぷり。(写真)
前山城主の伴野貞祥が開山した古刹で、末寺は12ケ寺を数える。


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境内には七堂伽藍他の建物がびっしりと建っている。
すなわち仏殿、法堂、僧堂、庫裏、山門、東司、浴室がある。
その他に開山堂、経堂、方丈、宝蔵、鐘楼、地蔵堂などもある。
写真は本堂。

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左手の高台に三重塔が立っている。(写真)
江戸時代後期に造られたもので、高さは15,88mある。
窓の部分にはフクロウや花鳥の彫刻が施されていた。

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また参道には島崎藤村旧宅が保存されている。
藤村が小諸義塾教師として6年住んだ建物を復元移築したもの。
茅葺で、書斎と居間、和室二室という間取り。
無料にて見学できる。

しかし私は電車の時間に追われて、駆け足で廻るのが精一杯であった。
こんなに七堂伽藍が揃っており、また幽玄の世界が感じられる境内はめったにない。
もっと余裕のある時間をとれば良かったと反省する。
なにしろ小海線はこの電車をはずすと、次は二時間後になってしまう。
どうにか予定の電車に間に合い、終点の小諸駅にと向かう。