京都に出かけた三日目の10日、奈良県桜井市の聖林寺、安倍文殊堂に出かけた。
特に聖林寺の十一面観音像は、以前より是非拝観したかった仏像である。

京都駅から近鉄線を乗り継いで、桜井駅に到着。駅前よりタクシーに乗り、目指す聖林寺に到着。

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聖林寺は山里の外れの小高い谷間にひっそりと立っている。
ミロのヴィーナスとも比較される、あの有名な美しい十地面観音が安置されていることとのアンバランスさが良い。
周囲の田園風景に溶け込むように質素な堂宇が建つ。(写真)

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細い石段を登り質素な山門を入ると、狭い境内には植栽がびっしり。(写真)
受付を済ませて入った本堂には、丈六とかなり大きい子安延命地蔵菩薩の石仏が安置されている。


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高台にあるためここからの眺めは最高、三輪山と麓の集落が一望できる(写真)。



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回廊を登ると(写真)収蔵庫があり、内に十一面観音立像が安置されていた。
760年代に東大寺の造仏所で造られ、願主は智努王とされる。
他の仏像はなく、観音像だけが幻想の世界の中に立っているよう。
2,1mとほぼ等身大で均整のとれた美しさ、微妙な指先の繊細さに見惚れる。
その上、他の観光客は全くなく、本当にしっかり対面できて感謝感激であった。

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収蔵庫の裏手に、源九郎五宝大権現堂があり、またひっそりと太子堂が建っていた(写真)。
人知れずとはこのことをいうのであろう。
何の建物かと若い住職に聞いても判らず、嫁さんから教えて頂く。
また裏山は小倉山であり、平安遷都の時に京都の嵯峨に受け継がれていった。
「夕されば 小倉の山に鳴く鹿は 今夜は鳴かず いねにけらしも」(万葉集、斎明天皇)
の小倉山はこの山の事。

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ここからは山里の風景を楽しみながら歩いて行く。
地元の造り酒屋の建物があり、その先に談山神社の大鳥居が立っていた(写真)。
昔はここから談山神社まで歩いていったのだと思うと苦労が偲ばれる。

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手元にある観光地図を頼りに上之宮遺跡を探すが、新しい住宅が立ち並んでいるため、道が判りにくい。
マンションの前庭のようなところに妙な形の石組があった。(写真)
これが上之宮遺跡で、6世紀後半から7世紀初頭に造られた豪族の居館遺跡。

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さらに道に迷っていると天満神社があったので立ち寄る。
細い参道(写真)の先の石段を登ってゆくと社殿が森の中に立っていた。

ここから安倍文殊堂を目指して歩く。