観音正寺は西国第三十二番札所である。
標高432mの繖山(きぬがさやま)の頂上近くに位置し、霊場の中では一番の難所と言われていたが、能登川からの車道が出来たので随分と楽になった。
ただタクシー代とは別に入山料500円を取られる。

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山上駐車場には既にタクシーが10台位、自家用車が10台位駐車していた。
観光バスは麓までしか入れないので、そこからタクシーに乗り換えての人が多いとのこと。
写真は駐車場からの入り口。

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駐車場からだらだら路を10分位歩くと境内に到着。
山門がないので、門固めとして大きな仁王像が二体置かれていた(写真)。


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正面に木造本堂が建っている。
平成5年に本堂他を焼失し、平成16年にようやく現在の本堂を再建したとのことで新しい(写真)。
605年の創建で、聖徳太子自ら千手観音を刻んで堂宇を建立したという古刹にしては、堂宇はすべて新しく、思ったよりも小規模であった。

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現在、特別御開帳とのことで、住職に内陣を案内して頂き、一対一で懇切丁寧なご説明を受ける。
結構な人出であるが、皆さんは霊場巡りの御朱印が目的らしく、内陣拝観の方はほとんどおられない。
大きな白檀の千手観音は、インド政府の特別の計らいで輸入が叶って新しく造られたもの。
また3寸の胎内仏も御開帳されていた。
さらに特別サービスとして結縁ヒモと和紙散華も頂く。
本堂の右側は岩を組み立てた崖になっており、祠を中心に池を配した庭園風に造られていた(写真)。

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境内から見下ろした南側は昔、蒲生野と言われた原野であったが、今日でもここからの眺めはやはり素晴らしい(写真)。
古代のロマンの象徴である額田王と大海兄皇子の相聞歌
「あかねさす 紫野ゆき しめ野ゆき 野守は見ずや 君がそで振る」
「紫野の におえる妹を にくあらば 人妻ゆえに われ恋めやも」
はここ蒲生野で詠まれたとのこと。

このロマン溢れる蒲生野を眼下に見ながら、駅で買っておいたサンドイッチで腹ごしらえ。
併せて風景をも御馳走にして、心身共に幸せな気持ちに浸ることができ、これまた格別の美味しさであった。

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観音正寺の境内にある濡仏の石像横の山道を辿って桑実寺を目指して歩く。
下りのみの路と思っていたが、最初は上りその後は長い下り道が続く。
文字通りの山道であり(写真)、ときどき蜘蛛の巣が顔にかかるので、棒切れで払いながら進む。
誰一人として行き交うことなく20分位、森林浴を楽しみながら歩く。
途中、立て札があり、ここから先は桑実寺に付き、入山料300円を取る旨書かれていた。