大須観音駅に戻って、地下鉄鶴舞線に乗り、大事駅に下車して興正寺を訪ねることにした。
駅前にジャスコ、サーウインストンホテルなどの近代的ビルが立ち並び、こんな場所に由緒ある寺院があるのかと不安になる。

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ところがこのホテルの隣に、立派な山門があり、そこから鬱蒼とした樹木と山道が覗かれ、これは大寺だという実感が湧き上がってきた(写真)。
この山門は東山門に当り、宝永年間(1704年から1710年)に名古屋城から移築してきたものだという。
「黒門」とも呼ばれている。

東山門を入ると、市街地の真ん中とは思えないほど樹木が生い茂り、砂道の遊歩道が張り巡らされている。
八事山全体が境内であり、さらに東山、西山地区の二つに分かれているという広大さである。
とりあえず本堂、五重塔のある西山を目指す。

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ひと山越えて地蔵堂から坂道を下り総門に至る。
総門、参道、中門、五重塔、本堂がきっちり一列に並んで造られている。
大阪の四天王寺と同じ伽藍配置である。
その参道には右側に勝軍地蔵菩薩、弘法大師像ほか六地蔵が、左側には七観音が祀られた社が整然と並び、その先に中門、五重塔が見える(写真)。

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中門の先にまさにシンボルである五重塔がそびえ立つ。
県下唯一の木造塔で重文指定されている。
1808年の建立で高さは30mの美しい塔である。
写真は納骨堂である円照堂から写したもの。
愛知県にはどういう訳か、三、五重塔はここだけだが、多宝塔は重文クラスが沢山ある。

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木造本堂(写真)は1750年の再建。本尊は阿弥陀如来。
山号は八事山、高野山真言宗の別格本山。
本堂の裏には庭園が広がっていた。

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本堂左手の「微妙の橋」の先の石段を登ってゆくと観音堂が建っている(写真)。
本尊は慈覚大師作聖観音菩薩像で秘仏とのこと。
1857年の再建。

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さらに本堂の右手の高台には能満堂がある。
徳川家の祈願修法所として1717年に建立。
本尊は虚空菩薩。

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さらに墓地内を進むと、境内一番の高みに大日堂が建っている(写真)。
堂内には1697年作の高さ3,6mの大日如来像を安置。


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さらに樹木の間に点在する鎮守社、開山堂、不動堂などがあり、奥の院に当る東山本堂(写真)が建っていた。
阿弥陀堂として1690年に建立された由。

思いがけず、素晴らしく広い境内に七堂伽藍を整えた寺院に出会い感激する。
八事駅に戻り、地下鉄に乗り換えて、七寺の住職さんより頂いた名古屋市立博物館に立ち寄る。
その後地下鉄で名古屋駅に戻った。
この日の地下鉄一日乗車券は誠に乗り応えがあった。
歩数は22000歩であったが心地よい疲れで、新幹線内で缶ビールにて一人乾杯。
またなるべく早く機会を見て、名古屋の寺社めぐりをしたいものである。

これにて神戸を中心とした寺社巡りは、名古屋をもってようやく全巻の終了。