4日、有馬温泉からの帰り道、思い立って新神戸駅から布引山の中腹に建つ徳光院を訪ねてみることにした。
新神戸駅から新幹線に沿って東に歩き、陸橋を渡って住宅街の中を少し登ると、右手に鳥居が見えてきた。

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坂道を登ると熊内八幡神社の境内がある。
高台にあるため。神戸の街や大阪湾が一望できる。
写真は木造社殿。

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その右には正一位末広稲荷大明神(写真の右)、太郎八稲荷大明神の社(写真の左)がある。
また保育園も併設。


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さらに川に沿って急坂を登ってゆくと、目指す徳光院の境内につく。
樹木に囲まれて、ゆったりと堂宇が点在するが、創建は新しく1906年とのこと。
元は役小角が創建し、修験道の大道場だった元滝勝寺の跡地に再建されたとのこと。
木造本堂(写真)には十一面観音菩薩が安置されている。

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シンボルである多宝塔(写真)は名谷町の明王寺のものを移築してきた。
よって他の建物よりもずっと古く、1478年の建立で、重文指定されている。
周囲の緑の樹木に溶け込んで、高さは12mながら見ごたえがある。
また不動堂、地蔵堂、開山堂と共に、1631年建立の鐘楼などがある。

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ここ一帯は自然公園に指定されており、秋には紅葉が美しいとのこと。
さらに本堂の左手に行くと、弁天堂(写真)、五社稲荷大明神社、福徳弁財天社がポツンポツンと自然の中に溶け込むように建っている。

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さらに朱色がはげかけた山門が離れて建っていた(写真)。
なお徳光院は山号を大円山、臨済宗天竜寺派の寺院。
なんだか森林浴にきた感じにさせられた。

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ここ山門から公園内の道を新生田川に向かって下り、布引の滝に立ち寄ってみる。
交通の至便な場所にありながら、訪ねたのは今回が始めてである。
雌滝、鼓ケ滝、夫婦滝、雄滝の四つを総称して布引の滝と言っているが、今回は一番近い雌滝のみ立ち寄った。
雌滝は高さ19m(写真)で、雄滝の43mと比較すると規模は小さい。
それでも二段になって流れ、なかなか優雅な風景である。

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この滝のすぐ右に円筒形の建物があり、浄水場に水を送るための取り水施設。
明治33年に石加工して造られたアーチ型取り水堰堤で、重文指定。

この布引の滝は古来、多くの歌人、文人が訪れて書物、歌に残されている。
「伊勢物語」で在原業平、「栄華物語」で藤原師実が書いている。
遊歩道のあちこちに、古今詠まれた歌碑が36基あるのも風情がある。
その中から藤原定家の歌
「布引の滝のしらいと なつくれば 絶えずぞ人の 山ぢたづぬる」

次回はぜひ雄滝を訪ねることにしよう。