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続いては同じ甲賀市で、近くにある櫟野寺(らくやじ)を訪ねた。
山号は福生山、天台宗延暦寺の末寺。
792年、伝教大師がこの地で、イチイ(櫟)の観音像を彫刻安置されたことに始まるとのこと。
写真は参道から仁王門を望む。

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その後、坂上田村麻呂が802年、当寺の観音に祈願の上、鈴鹿山の鬼退治をした。
そして当寺を祈願寺と定め堂宇を建て、さらに国技の相撲を奉納した。
このため毎年10月18日に奉納相撲が行われている。
写真は本堂と土俵。

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この寺で有名なのは十一面観音坐像を初めとする仏像群で、二十体が重文指定されているという豪華さである。
中でも十一面観音坐像(写真、絵葉書をコピー)は「いちい観音」「生えぬきの観音さま」と言われ、日本一大きな坐像とのこと。堂々たる尊像であるが、少しきれい過ぎるきらいがある。
個人的には隣りに安置されている薬師如来坐像の方が好きである。
ただかなりの仏像が一部欠損したり、傷んだものも多い。
この寺は甲賀六大寺の筆頭としてこの地方の中心寺院であったので、近隣の寺院からの仏像が集まったとも言われる。

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坂上田村麻呂が自ら等身大の毘沙門天を彫刻、奉納したと伝わる仏像が安置されている(写真、絵葉書をコピー)。
また昭和43年の火事で本堂は全焼したが、これらの仏像群は宝物殿に安置されていたので、焼失を免れたという。まさに僥倖である。