毎年行われている京都の未公開文化財特別公開には、今まで何度かフリーで訪ねたことがあるが、今年は行程の効率も考えて、JR東海ツァーに女房共々一泊二日で参加した。
寒さも少しは和らぐ遅い日程のほうが良いのではと13日、14日にした。
ところが生憎の小雨模様で、傘をさしての見学となり、足元も写真写りも悪く大変なツァーであった。ただ寺院内での説明・拝観が主のため、濡れることは少ないが、その都度、傘、靴を持つのが一苦労であった。
何はともあれ、二日間で12寺院の特別拝観でかなり忙しかったが、其々の拝観時間はたっぷり1時間づつあり、詳しい説明を聞き新しい発見をいくつもしたことは大きな収穫であった。
自由気ままに寺社を訪ねるのも良いが、たまには説明を聞きながらじっしり拝観することも必要だとしみじみ感じた次第である。
新横浜発7:19の「のぞみ」で京都着9:21。
小雨の中、参加者28名で、90%が60歳以上。貸し切りバスにて出発。

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まず向かったのは東寺の五重塔。
東寺は弘法大師の開基による真言宗東寺派の総本山。
正しくは教王護国寺といい、その国宝五重塔は高さ55mで木造塔としては日本一の高さ(写真)。
新幹線からもこの塔はよく見え、まさに古都京都のシンボル的存在。
現在の塔は1644年、家光により再建されたもの。
この塔は創建以来四度、焼失しているが地震で倒壊したという記録はなく、その免震構造は最近、注目を浴びている。

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堂内は薄暗く、写真のようには仏像群は光ってない。
拝観は初層内部のみであるが、中央に須弥壇を設け、壁には真言八祖像が描かれ、柱や長押には極彩色の文様が残り、大日如来に見立てた心柱を護るように金剛界四仏が鎮座。
実は5年位前にやはり、特別拝観で灌頂院と共に拝観したことがある。
写真は観光協会のバンフレットよりコピー。

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時間があるので、金堂の内部諸尊も拝観。
金堂は1603年の再建で、天竺様の構造法を用いており、特に前面から眺めると豪壮かつ繊細さがよくわかる建物(写真)であり、国宝指定。

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まだ時間があるので続いて講堂を拝観(写真)。
1491年再建で重文指定。
何といっても内部にに並んだ二十一体の仏像群(内15体は国宝、5体が重文)による立体曼荼羅には何度見ても圧倒される。興福寺金堂と並んで最高峰の立体曼荼羅であろう。

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次に訪ねたのは東寺の別格本山である観智院。
東寺の勧学院で、所蔵する膨大な密教の経典・書籍の量と質はわが国最高と言われる。
訪ねた客殿は1605年再建されたもので国宝指定(写真の門の中にみえる屋根。宝形は本堂)。
宮本武蔵22歳の時の筆と伝わる「鷲の図」「竹林図」が残る。
武蔵は吉岡道場と決闘し勝ったあと、ここに三年間身を隠すと共に勉学に勤しんだという。

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客殿前には「五大の庭」の枯山水庭園が広がる。
弘法大師が唐からの帰途、竜神の守護により難を逃れた故事に因んで作庭されている。
石の配置構成によって、右奥の長安から唐船、亀、鯱、鴎などを表現し、左の築山日本への帰還という構成に造成されている(写真)。
今日は雨ということで、いつもは白い砂が青みかかってまさに海の色に見えるのは、雨の日ならばの見所とのこと。雨の日にもそれなりに良さがある。
本堂に安置された変わった本尊が五体並ぶ「五大虚空蔵菩薩像」は重文。
茶室「楓泉観」も風情があった。
観智院にはちょうど一年前の特別拝観で来たばかりで今回で二度目。