通る声が出せないと接客がつら い(声が通らない接客には無理 がある) | 声美人は恋愛上手――言語戦略研究所の齋藤匡章が教える、発声と話し方が人間心理に及ぼす影響

通る声が出せないと接客がつら い(声が通らない接客には無理 がある)

●「いらっしゃいませ」が通らない

「声が通らない」という悩みを抱えている人は、意外に多い。

私のもとへはさまざまな「声の悩み」が寄せられます。

メールでも届くし、セミナーでアンケートを取ると書いてくれる。

・好印象なモテ声になりたい
・部下をちゃんと動かすにはどんな声を出せばいい?
・会議で意見をちゃんと聞いてもらえる声は?


このような質問や相談の中に必ず入ってくるのが、「通る声 を出すには、どうしたらいいですか」という質問。

「大きな声」という表現になることもあります。

通る声と大きな声はイコールではないのですが、一般的な認識では「大きな声なら遠くまで届く」と思われているようですからね。

特に、店頭や店内からお客さんに呼びかける声は、通らなければなりません。

私自身、呼び込みの声には苦労した記憶があります。

18歳のとき、高校を卒業して大学に入学するまでの数週間、近所のスーパーマーケットでアルバイトをしました。

どんな経緯でその店を選んだかは忘れてしまいましたが、「いらっしゃいませ」の声に売場の責任者から合格がもらえず、悔しい思いをしたのを覚えています。

小学生から武道をやっていたので、声なんかいくらでも出ると思い込んでいましたが、過信でした。

「エイッ!」と一瞬だけ強い声が出れば、武道やスポーツではたいてい間に合います。

しかし、「いらっしゃいませ~」「ありがとうございました~」は、もっとずっと長い持続時間で発声しなければならない。

しかも、がんばって大声を張り上げているつもりなのに、「ちっとも聞こえない」とダメ出しを食らう。

死に物狂いで声を張り上げ、たまには「結構出てるよ」と褒められましたが、安定して合格点をもらえるには結局至らず、終了しました。

今になって思えば、あの調子で数ヶ月も続けたら、声帯に結節かポリープができて、下手したら声に取り返しのつかない後遺症を抱えるはめになっていたかもしれません。

寄せられる質問や相談から察するに、今こうしている間にも日本中で「もっと大きな声を出して」攻撃に苦しんでいる人たちがいるのでしょう。

今なら「通る声の出し方」を簡単に教えてあげられるのに、こうして執筆に時間がかかるのがもどかしい思いです。