僕らの育った時代は、「失われた20年」の時期でした。
ニュースでは、不況やリストラといった話、世田谷の一家殺人事件、大阪池田市の小学校無差別殺人事件、長崎で女子小学生が同級生を殺害するという悲しい事件が流れていました。
それなのに、「最近の若者は元気がない」と言われます。
また僕の世代は、いわゆる「ゆとり世代」とも言われます。
僕らは、自分で選んだわけでもない、大人が決めた社会を一生懸命生きてきました。
それなのに、「これだからゆとり世代は」と言われます。
学校で、政治や宗教の話について教えてもらう機会はあまりありませんでした。
なんとなく、政治や宗教に触れてはいけないのかなと思いました。
それなのに、「若者は選挙に行かない、道徳心がなってない」と言われます。
公園でボール遊びをするなと言われました。遊ぶお店もやがてなくなりました。
それなのに、「今の子はゲームやスマホばかりして」と言われます。
高価な服や高いかばんを買っている人がいました。たくさんの女の人と遊んでいる人がいました。お酒をいっぱい飲んでいる人がいました。
その時は楽しそうでも、しばらくしてから見ると、幸せそうには見えません。
パソコンや携帯電話が普及したり、宅配サービスなど世の中はどんどん便利になってきました。
けれども、みんななぜか疲れた顔、怖い顔をしています。
「内平らかに、外成る」
平成に生まれ、平成に生き、平成が終わろうとしている。
実に不思議な時代でした。