クレバネットのコート | 天神山メンズスタイル

天神山メンズスタイル

天神山は、手抜きをしない本物の洋服を作り続けて40年、長く愛着を持ってお付き合いできる、時代に左右されない洗練された普遍のモデル、こだわりの正統派スタイルを提案し続けています。
京浜急行青物横丁駅より徒歩2分、赤煉瓦の建物です。
東京都品川区南品川5-8-21

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今回は、春先に活躍する「クレバネット」素材で作った「カバートコート」風のテーラードコートの紹介です。

“立春”を過ぎても10度を越えない厳しい寒さが続いていたかと思ったら、今週に入って7日(火)の朝は私が住んでる横浜では突然気温が17度まで上昇し雨と共に“春一番”が吹き荒れ、銀座に着いてみると雨脚は強いが風はなく、その後はまた厳しい寒さに逆戻りしてと、まだまだ身体の芯まで凍るような厳しい寒さとお付き合いをしないといけないかと思いつつ、身体を気遣いながらの防寒スタイルを継続中です。

このコートをお借りした方は、昨年6月の梅雨の最中にこの「2011年秋冬商品紹介」の第1回目の「カルゼのスリーピース」http://blogs.yahoo.co.jp/ginza645/52080365.html)を掲載に協力していただいて、その時にも書いていますが、長年の経験に基づいたハイレベルな発想で作られた品々を見せていただく度に感心させられっぱなしで、今回はこの時に作ったカルゼ素材が丈夫で皺になり難いところが気に入って同じ素材でコートをということになりました。

この素材は、この1点で在庫が無くなってしまったので他に似寄りを探してみたところ、なんと弊店「TENJINYAMA」と相性がよく最近よく使っている「三星毛糸」社のおすすめトラウザースコレクションの中から見つけた、「メイド イン ジャパン」ならではの「クレバネット」という素材で、本来は英国クレバネット社の商標で梳毛の「ギャバジン」に防水加工をしたコート用素材で、現在ではタテ糸に霜降糸や杢糸を使ったギャバジンのことをいい、この生地でスラックスを作る方が多い中であえて本来のコートでの作製で、寒さの残る3月から4月のスプリング・コートには最適な素材ではないでしょうか。

今回の「クレバネット」「カルゼ」素材の表現でごっちゃになってしまいましたが、少し綾目の深いものを「カルゼ」、または「カバートクロス」と言っているみたいです。

この方は、以前購入されたイギリス製の「カバートコート」を持っていて、作りの悪さが不満でちゃんとした作りのものを探していたところにこの生地と出会い作ることにしたのですが、元来、乗馬や狩猟用として作り出されたカバートコートのモデルの、上衿のベルベットや袖先と裾口の補強としてのステッチをあえて入れず、比翼ではなく打ち抜きの釦で少し長めの着丈にしています。

前にも書いていますが、他のコート専用の工場で作るものとの差は歴然で、弊社「天神山」が得意としている手間と時間を掛けて作り上げる上着と一緒の工程を忠実に守りながらの作製は、着易く型崩れしない長く愛着を持って付き合っていける一生ものと言える1着になるのではないでしょうか。

今回のコーディネイトは、春を意識して襟元をポイントに、エンジ色の水玉のネクタイを締めて、春らしい薄手で大判のペーズリーのスカーフをアクセントにして、靴はお借りしている「古いアメリカ靴」の中から「FLORSHEIM」社のグレインレザーのキャップトウです。

厳しい寒さが続く2月いっぱいは「天神山流」で提案し続けている「ポロコート」「ツイードコート」など何種類かのオーバーコートを着まわしながらカシミアマフラーと手袋を加えて真冬の防寒スタイルに徹し、3月になったらお彼岸ぐらいまでは軽めの「ローデンコート」だけは引き続き着用し、雨が降る日はコットンの「レインコート」で、寒の戻った晴れの日は今回紹介の「クレバネット」素材のスプリングコートを着てシルクのマフラーを活用してと、コートも洋服と同じように季節感を取り入れながら細部まで拘った「天神山流」の着こなしを提案していければと思っています。