　　　　　（『人間革命』第１０巻より編集）

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　　　　　　　　　　〈険路〉　１１

　（つづき）

　どこまでも、信心を強くしていくならば、どんな怨敵も、ことごとく滅びてしまう。

　私たちの信心は、いかにあるべきか。さらに深く思いをいたさなければならない。

　どうあっても、まず、絶対に臆病であってならないとの仰せです。

　私たちの心に、少しでも怯えがあっては、魔に負けていることの証拠です。まず、これを放り出さなければならない」

　紅潮した伸一の顔には、首脳幹部たちの心の隅に巣くう、目に見えぬ魔に、あえて挑戦しているような厳しさがあった。

　「また御書に、凡夫が仏になるためには、さまざまな障害が現れることを、大聖人様は示され、『必ず三障四魔と申す障り、出でたれば、賢者は喜び、愚者は退く』と仰せです。

　私たちは、今、賢者であるか愚者であるかを、胸に手を当ててよく考えてほしい。

　大聖人様は、熱原の法難（大聖人晩年の時、静岡県の農民信徒が受けた法難。拷問にも屈せず信仰を貫き、神四郎、弥五郎、弥六郎の三兄弟は斬首された）の時、

　愛すべき弟子たちに、いかに難に処するかをお教えになっています。温かくも厳しい御指導です。

　『各々、師子王の心を取りいだして、いかに人が脅すとも、怯えることなかれ。師子王の子は百獣に怯えない・師子の子・またかくのごとし。

　彼らは野干（狐の類い）の吼えるなり、日蓮が一門は師子の吼えるなり』

　私たちが、『日蓮が一門』であるならば、既に師子の子であるはずだ。

　この自覚があるならば、今こそ、信心で培った、わが胸中の師子王の心をもって、どんなに脅されても怯えてはならぬ。