突然の別れと出会い
全神経を耳に集める。
アジトの扉が開く時のかすかな音を聞き逃さないためだ。
彼が帰ってきたらすぐに迎えることができるように。
彼の顔を誰よりも早く見ることができるように。
縁側は地下とは思えないほどポカポカしている。
太陽の光がキラキラしてて眩しい。
鹿おどしはあいかわらず規則正しく音を鳴らす。
太陽の光と緑の庭園はまるで一枚の絵だ。
雲雀さんは死なない。
殺されても死ぬような人じゃない。
追い続けた背中を思い浮かべて私は目を閉じた。
*
「・・・ねぇ。」
「な、なんですか?」
不意に声をかけられたツナは声の主を見ておびえたように答える。
自分をビシビシ鍛えた彼よりも背が低く、声も少し高い。
「亜姫も未来(ここ)にいるんだろう?」
「亜姫ちゃんですか?」
「・・・(ギロッ)」
「ひぃッ・・・」
睨まれた理由もわからず、ビクビクしながらツナは答えた。
「亜姫ちゃんなら雲雀さんの・・・
あ、この時代の雲雀さんのアジトにいると思いますよ。」
「・・・そう。」
「あ、あの・・・っ」
その場を離れようとした彼にツナが声をかけると
雲雀は不機嫌そうに振り向いた。
「亜姫ちゃん・・・たぶん雲雀さんを待ってると思います。
早く行ってあげてく・・・」
「それじゃあ、みんなにはしばらくアジトで休んでもらうよ!」
ツナの言葉を遮って入江が声を張り上げた。
「さ、10代目、帰りましょう!」
「腹減ったのな~」
獄寺と山本がツナに声をかける。
「そうだね・・・ってあれ?」
「どうかしましたか?」
「雲雀さんは?」
「雲雀ならさっき出て行ったぜ。」
「え!?そうなの?」
「あんなヤツのことはほっといて早く戻りましょう。」
獄寺に促されてツナは京子たちのもとへと向かった。
*
「!?」
耳が聞き取ったかすかな音。
まぎれもなく、アジトの扉が開いた音だ。
私はたたんでいた洗濯物を放り投げて扉へと走った。
「・・・え?」
「やっと見つけた。」
扉の前に立っていたのは待ち続けた人ではなかった。
でも、私が一番会いたかった人―――
「僕に何も言わずにこんなところにいたのかい?」
「ひば・・・り・・・さん・・・」
頬に何か熱いものがしたたるのを感じた。