「あら、新しいお友達ね、いらっしゃい」

私には、少しだけ不思議な能力があります。

それは…


ホーッホケキョ♪

チュンチュン♪

「そっか、大丈夫アナタが守った村はきっと幸せに包まれていくとおもうよ」


笑わ無いで下さいね小鳥たちの声が聞こえるのです。


そして、ココにくる小鳥たちは皆何かを経て疲れたり、傷ついたりしているのです。

だから私は出来るだけこの子たちの話しを聞きいつか飛び立てるように願うのです。


「さぁ、アナタの話しをきかせて?」


チュンチュン♪

私はとあるお城の兵士をしていました。
「先代の王様が亡くなられて新たな王様はやりたい放題…民の暴動も日に日に酷くなる…」

「俺たちの中にも不満を募らせる者も少なくない」

「王様からのお達しだ村焼きを行う」

村焼き…王様に逆らう村や年貢を出せぬ村を容赦無く焼き尽くす非道な行為だ
前夜に火薬や乾し草を村に準備し
一番鳥が鳴く朝に一斉に火を放つ…

村を兵士で囲いその後ろで王様がニヤニヤと村人の叫び声や悶え苦しむ所を肴に酒を飲む

まさに外道だ…
「そこ!!ガキが逃げるぞ!!」

王様の犬と言う言葉がここまで似合う奴はいないだろと思える兵士長だ

火だるまになって子供を抱えた女性が私に駆け寄ってくる

「子供だけは助けて下さいお願いしますぅぅぅ」


一瞬私は構えた槍を解き子供を抱きかかえようとしていた。


グサッ!!

肉の裂ける音が私の耳に突き刺さり
生暖かい深紅の血が私に降りかかる

「何をボケっとしている!このたわけが!」


おそらく親子であろう2人を無惨に繋ぎとめる串刺しの槍

私はその場にへたりこんでしまった。

その時の親子は私の頭から離れず
夢でうなされ眠れぬ夜が続きました。

そして、更なる私を苦しめる日が訪れたのです。

「村焼きだ!三大樹の村だ」

三大樹の村!!大きな三本の大樹には精霊が宿ると言われ誰もが幸せに暮らす村

私の故郷だ…

頭の中で親子が私を攻め立てる

「何故この子を助けてくれなかったぁぁぁ」

「わっ…私は…」

「お前も同じだ!あの王様と!あの外道と!!」


「ちっ…違う、私は違う」

「燃やすがいい!!お前の帰る場所も!!」


「違う!!私は!!…ちがうんだ…」

私は思ったんです。

終わらせなくては…と

そして私は王様の元へと向かいました。

「王様にお目通し願いたい」

「駄目だ帰れ!」

一般兵である私が王の間に入れぬ事は百も承知でした。

「私は三大樹の村の出身なのです。」

「なるほど、王様に許しをこいに来たか無駄だ!去れ!」

「いえ、村には隠し通路があるのです。もしその通路を使われたら村焼きは失敗に終わります。」

「なら、わしが聞こう!」

「私は先回の村焼きで無様な姿をさらしました。兵士長様もわかりましょう?私には後が無いのです。ですから直接王様におつたえいたしたいのです。」

「ふん、そのような事知るか!」

「良いのですか?村焼きが失敗などしたら兵士長様もお立場が危ういかと?兵士長様が私を連れて行けば情報も兵士長様のお手柄になるかもしれませんよ」

「ふむ、確かにな!良かろ!付いてまいれ!」

兵士長に連れられ王の間に通され私が見た物は無駄にきらびやかな装飾と民には一生味わう事の無かろう高価な果物などをほうばる暴君の姿であった。
兵士長が膝まつき、それに合わせて私も膝まつく

「王様、この男は三大樹の村の出身であり村の隠し通路を知る者です。」

兵士長は私の顔みてニヤリと、してやったり顔をした。

「なんと!隠し通路とな??」

さぁ私の番だ

「はい!しかも三大樹の村には太古の遺産と言うお宝も隠されているのです。」

「なんと!!お宝か!!」


兵士長は恨めしそうに私をにらみつける

「これが通路と宝の場所を示す地図でございます。」


私は、地図を渡そうと王様に一歩また一歩と近づく

そして、目と鼻の先に来たとき地図を王様に投げつけ腰の剣を抜く!

「ウグッ、なっなにをする…」

「アナタは生きていてはならない…」

また私の顔を深紅の血が染める

「お前!何て事を…」

ご主人を失った犬が喋り終える前に隠し持っていた短剣を兵士長に投げつける

短剣は五月蝿くわめく兵士長の額を貫き黙らせる

武器を失った私はあっと言うまに取り抑えられた。


だが、もう良かった。


全ては終わったのだから…

暴君の独裁は終わった。

民は歌い喜んだ


しかし国と言う物は秩序が必要なのです
私は広場に繋がれ晒された。

国は私を有らぬ罪をでっち上げ大罪人としたてあげた。


民の罵倒らしき物が聞こえる

私はそのなかにあの親子を見たような気がした。

無数の槍が私を貫く
私は解き放たれたのです…

そしていつしか大空に…チュンチュン♪

「そうなのね、羽ばたいて行ける日まで今は、その翼をお休め下さい」

笑わられるかも知れませんが

私には聞こえるのです。


小鳥たちの声が…