私は合わせない派
コレ、すげーうざかった記憶があります。
元彼が「私が別れたがっている」というのを察して。
それまで興味すら無かったくせに、急に小説の話をふってくるようになったんすよね。
なんか「どんなのが面白かったか感想を聞かせてほしい」とか「どの作品が好きで、その理由はなんなのか?」とか聞いてきたんですよ。
うん。まずなんで受身なわけ?
そして、読む気まったく無いよな?
会話もたせる為か、私の機嫌とりたいのかしらんけど、逆効果だから。
なんで一度読んだ小説の感想とその小説が好きな理由を、小説読む気まったくない人に話さなきゃならんのだ、つまんねーよ。
それを読んだことのある人と話すのは楽しいし、小説をよく読む人に「読んでみたい、どんなだった?」と聞かれたら喜んで説明する。
ただ「私と過ごす時間」を増やしたいだけの人に興味もないくせに趣味合わせてこられるとかめんどくさい。相手が男だろうが、女だろうが。
それよりも私は「その人がこだわってること」を目キラキラさせて話してくれるほうがずっと楽しいし、好きだ。料理好きな人から、こだわりの調理法を聞くのはすごく興味深くて面白いし。絵を描く人には描いた作品を見せられるほうが楽しい。
私のこだわってることに特にこだわるつもりが無いのなら「趣味合うねー!」と言いたいだけだろって、引くのでやめてほしいなと思う。
うちの旦那の趣味は競馬なのだけど、私は競馬の勉強をまったくしない。横で見てるから馬の名前は覚えるし、馬券の買い方も競馬場に付き合うから知ってるけど。競馬用語もある程度は解る。だけど競馬予想はまったく出来ない。私はいつも競馬新聞で〇とか◎とか▲が付いてる馬の中から直感で好きな名前の馬を選んで賭けてるだけだ。「そんな選び方しちゃう?」と旦那は笑うけど、たまに荒れて当たる時がある(笑)
趣味に「付き合ってる」だけなのだ。それか「許してる」
「合わせて」はいない。それは無理だから。嗜好は千差万別で、私は「馬可愛いな」「勝ち馬の走りカッコイイな」くらいしかハマれないので、それ以上を合わせようとは思わない。それでいいのだと思う。
私の好きな人は映画が大好きで詳しいのだけど。オススメされた映画を観て感想を言うこともあるけど、映画論評出来るようになろうとは私は思ってない。好きな人の趣味に合わせて、自分も映画詳しくなろうとも思わない。私は映画を観るのは「それなりに好き」なだけで、とくにこだわりがあるわけじゃない。映画がすごく好きなんじゃない。彼のことを大好きで「彼が映画の話をしてる」のを聞くのが大好きなだけだもの。
「映画が好きだよ、詳しいよ」と自負する人は「本が好き」と言う人よりもずっと多く。
私は大概の「自称映画詳しい」を語る人がちょっと苦手だったりする。多分、分母が大きいから、苦手なタイプが目に付きやすいだけで、本好きを語る人の中にも苦手なタイプは居るのだけど。
いわゆる「薀蓄」が多い人は苦手だし。
特定の作品や監督を批判する人もスゲー苦手。そんなん自分で勝手に「この監督は合わないな」って思ってればいーじゃん、なんでわざわざ発表するわけ? 映画論評が仕事なわけでもないのに。
私の好きな人から「この作品は嫌いだ」とか「こういうジャンルは苦手」という話を聞いたことがない。彼はいつも面白い映画と好きな映画の話をしてくれる。なんで好きなのか、ここが好きだ、音楽がいい、テーマが好き、アングルが好き、テンポが好き、俳優の演技が好き、脚本が好き、背景の色が好き、といろんな「好き」がたくさん出てくる。私はそれを聞きながら、うっとりする。私、本当に、この人のことが好きだな、と。会えて良かったなぁと。たとえ結ばれちゃダメな関係でも。存在を知れて良かった。
私の好きな作家さん平野啓一郎さんの作品にカフカをオマージュした短編があって。
その中に出てくる言葉がすごく好きだ。
「とある作品に対して批判するのは底が浅い奴でも出来る。褒める方が難しい、褒めるのは、その作品を深く読み込めないと不可能だから」
その通りだな、と思う。批判するのは簡単だ、だって欠点をあげつらえばいいだけだもの。欠点は見えやすいし、誰の目にも明らかだ。見つけた欠点を攻めれば、それに対して反論することは出来ないから、賛同者だけが集まり、批判したことが「正しいこと」になる。簡単に「正義」を勝ち取れる。
褒めるのは難しい。面白い、だけじゃ個人の嗜好だ。それを聞きに人が集まることもない。
何故、面白いのか、を説明するには、その作品の全部を理解し、表現者が何を意図して、何故その表現にいたり、その手法がいかに素晴らしいのかを語らないとならない。その作品に対する知識だけでなく補完も必要になる。広く、深く、そのジャンルを掘り下げていないと、なかなか良さを人に伝えるのは難しい。
そして、それを魅力的に伝えるには、自分自身の表現力も磨かないとならない。語彙力も要るだろう。感性を磨くことも大事だ。
「自分の好きな趣味」をその分野に詳しくない人に解りやすく、魅力的に伝えられる人ってスゲーなぁ。ほとほと感心する。私も貴男のようになりたいな。
きっとそういう人ほど「趣味を合わせてほしい」なんて思ってない。「あなたの好きなもののことを聞かせてよ」って思ってる気がする。
君に見合うようになりたいよ。だから私も頑張る。私が君に思ってるのと同じように、君にも「こいつの話を聞くのは面白い」って思ってもらえたら、すごく嬉しいんだ。