Pモードをやめた人が失敗する典型的な例
初心者によくありがちな躓きとして、いきなり、Mモードで撮影して無茶苦茶な数値に設定してしまうという事があります。
にもかかわらず、初心者のアドバイス募集などには、F値や、シャッター速度をどうすればいいのというものが圧倒的多いです。
どうも、写真を上手くなりたければ、まずPモードをやめなけばイケナイというイメージがあるようです。これには、写真塾やYouTubeなどの影響が大きいと思います。
ですが、実際の写真を見てみると、実は、Pモードで、撮っていようがいまいが、関係のない理由で失敗している場合が多く、さらにいえば、自分が設定した数値が原因でむしろ、Pモードで撮影しなければ上手い写真である場合すらあります。
多くの場合、こうした、失敗は、F値を過剰に大きくする。つまり、絞りを絞ることが原因となります。
なぜ、絞りを絞りすぎるのがいけないのかというと、大きく3つの理由があります。
ひとつ目は、絞りを絞ることにより、全体にピントが合ってしまうことです。
なぜ、全体にピントがあうと、失敗の原因となるのかというと、ひとつは、画面全体が雑然として、なにが主役なのかわかりにくくなることです。また、全体にピントが合うことによって、隠したいものが隠せなくなるという事です。具体的にいうと電線とかもはっきり写ってしまうと、画面が奇麗に写らない場合が多いです。
もちろん、全体的にピントが合っていることが、重要な事もあります。風景写真や、集合写真など全体にピントが合っているべき写真もあります。
ですが、多くの場合、例えば観光名所での記念写真などでは、人物にピントがしっかりあっているが、背景は若干ボケていることが理想になります。こうしたことによって、人物が若干浮かび上がったように写ります。
もうひとつは、画質が悪くなります。
これには、大きく二つの理由があります。
カメラの露出は、絞り、シャター速度、ISO感度で決まります。
カメラの露出とは、簡単に言えば写真の明るさとなります。
カメラは基本的に、一定の明るさに、調整しようとします。これをAE、自動露出といいます。
PASMの各モードは、この3つの要素のうち何を基準に設定するのかということを決めるということです。
まず、ここが重要です。
Aモードは絞りを決めます。これは、光が入る入り口の広さを調整するという事です。
猫の目でも、明るい場所では、細くなって、暗くなると丸くなりますよね。あれと同じで、一度に入ってくる光の量を調整します。
また、絞りを絞ることで、ピントが全体に合うようになり、絞りを開ける事でボケが大きくなります。
ですので、絞りを絞ることでガチっと絞りを絞ってしまうという人が多くなるのです。
Sモードは、シャッター速度を決めます。これは、光の入ってくる時間を決めます。
シャッター速度が長くなるほど、入ってくる光は増えますが、手ブレしやすくなります。
Mモードは、絞りとシャッター速度を固定してISO感度で調整します。
ISO感度が高いほど、少ない光に感応しますが、ノイズが増えます。
つまり、絞りを絞りすぎると、一度に入ってくる光を小さくしてしまうため、カメラはシャッター速度が長くなして、光を補ったり、ISO感度をあげて、写真の明るさを維持しようとします。
結果として、シャッター速度が長くなり手ブレが増えたり、ISO感度が上がりすぎて、ノイズが多くなるということになります。
もう一つは、絞りを絞りすぎると、回屈という事が起こります
これは、絞りを絞りすぎる事によって、レンズの絞りの裏側に光りが回ることで画質が落ちる現象することです。
これは、画素数が多いほどおこりやすいそうです。
さて、長々と、絞りを絞りすぎる事が駄目な理由を書きましたが、いきなりPモードをやめてしまったときに、してしまいがちな、典型的な間違いであり、わかりやすい例として説明しました。
さて、なぜ、こうした失敗が起きるのでしょうか。
Pモードは、初心者用か
なぜ、Pモードをやめることで、なぜ、失敗するのでしょうか。
ひとつは、単純に知識不足です。
はっきりいわせてもらうと、PASMの各モードの意味が分かっていないのに、出鱈目に設定しても上手くいくはずがありません。
逆に、Mモードなんか使ってしまうと、かえって下手になっているのに、俺うめーなんてて勘違いしがちなのは問題です。
ここで、問題になるのは、なぜ、その機能の意味を知らないのに、闇雲に使おうとするのでしょうか。
それは、Pモードが初心者用モードと理解されているからにほかなりません。
ですから、初心者用から、脱出しようとする人が、初心者用モードから脱出しようとして、Pモードから移ろうとしているという事だと思います。
ただ、はっきりいいたいのは、初心者モードをやめたからといって初心者から脱出するわけではないということです。
また、Pモードが初心者用モードであるという前提があるので、Pモードをやめないと、初心者から脱出できないという、論調になってしまうのです。
では、本当にPモードは、初心者まーどななのでしょうか。
Pモードの本質は
カメラがセンサーで測った明るさを基に、カメラが自動で露出を計算し、最適と思われる、絞りと、シャッター速度、ISO感度を決定するモードといっていいでしょう。
いってみれば、全自動モードといっていいかもしれません。
そして、全自動モード=初心者用というイメージがあります。
初心者用というイメージはここが源泉となります。
では、あえて言います、デジタルカメラにおける自動モードは、Pモードだけでしょうか?
答えは明確にNOです。
そもそも、Mモードにしても、露出の要素のうちISO感度は自動ですし、露出には、露出をどこでどういう風に、図るのかという、測光モードというものもありますし、AFつまり自動でピントを合わせるモード、一度合わせたものに合わせ続ける、追尾AF、人物の顔を自動で見つける、顔認証。顔認証を一歩進めて瞳にピントを合わせる瞳AF、色味を調整するホワイトバランス。手ブレを感知して、自動的にセンサーやレンズ面を動かして、補正する手ブレ補正。レンズの収差を補正するレンズ補正。
現在のデジタルカメラはありとあらゆることが自動化されています。
ではこれらの機能をすべて、オフにしないと初心者脱出できないでしょうか。
では、Pモードはどういうモードだけが、なぜ初心者モードとして、やり玉に挙げられるのか。
されは、目立つところにダイヤルがある からに他なりません。
ですので、初心者を上手くなったと錯覚させるには、都合のい機能なんです。
では、Pモーどは何のためにあるのでしょうか。
これは、主にカメラメーカーが考える、標準的な露出設定に設定するモードと考えます。
カメラメーカーは言うまでもなくカメラの専門家です。彼らが、この露出状態であれば、もっとも多くのシーンに適合するであろうと、考えるカメラの設定に合わせるということです。
僕が、数値設定が分からなくなったらPモードに戻りましょうというのは、こうしたPモードの特性にあります。
きちんとMモードを使っている人は、こうしたプロセスを自分の経験によって行っています。
前提として、自分のむ経験として、体感で基準を持っているという事です。ですので、経験の少ない初心者がMモードを使うのは、経験豊富な人間が使うより難しいです。ですが、体得してしまうとそれがあたりまえになっているので、初心者との間に乖離が生まれているというのが、現状だと思います。
Pモードのやめ時
ここまでの話は、あくまで前提となります。
では、Pモードをいつ辞めればいいのかというです。
結論から言うと
カメラを買った初日でもいいし、いつまでも使っていても構わないということです。
矛盾しているようにも思えるかもしれません。
ようは、使い分けの問題です。
つまり、たとえは、ボケを生かした写真を撮りたければ、Aモードを使い、シャッター速度を使った効果を狙いたければ、Sモードを使った方がいいです。ただMモードの使用はお勧めしません。
そして、特にこだわりのない写真はPモードで構いません。
あえて、AモードやSモードで撮る場合、できれば、Pモードや複数の設定で撮影して、効果を確かめましょう。
こうした、経験を踏まえていくことが重要になります。