Oil spill:原油流出

 

先日の「vessels collision :原油流出」に追記で少々書いていたのですが、

長くなってきたのと、状況に変化が起きたので、改めて書き足します。

 

沈没以降:

東シナ海タンカー沈没、4方向に油流出 仏パリの広さに拡散」(AFPBB)

“桑吉”轮突然爆燃后沉没 或出现有毒物排放」(综合自新华社、央视新闻)

日本のEEZ内で沈没後、継続して流出が続いているのに、得られる情報は中国

からのものばかりで、日本ではあまり伝えられていません。

また、「問題の海域」「ではない(衝突地点に近いのは中国名「龍井」・日本名「翌檜

(あすなろ)」)」せいか、「中国公船が多数活動しているのに静観している」印象が

あります。(沈没地点により近いのは、「春晓油气田」・日本名「白樺」の方です。)

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1週間後:

東シナ海タンカー沈没 原油の流出範囲、1週間で3倍に」(AFPBB)

Chinese mainland, Iran, Panama and HKSAR launch joint investigation into Sanchi collision」(CGTN)

左:Sanchi 右:CF Crystal (交通运输部救助打捞局

Sanchiに積載されていたコンデンセートの重量が111,130tに訂正されました。

流出範囲はさらに拡がっています。イカの産卵場も被害に遭っている様です。

加えて、関係各国によるCF Crystalの調査開始の合意が得られた様です。

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2週間後:

重油流出事故の情報が発信されない理由を海上保安庁の中の人に聞いてみました」(Yahoo! News)

海上保安庁の油流出関係のサイトでは、関連施設を地図から探し出すGISしか実装されて

おらず、肝心の流出情報をリアルタイムで伝達する方法が整備されていません。

また、それをWeb上の文書公開でカバーしようという工夫も出来ていません。残念。

 

英国の国立海洋研究所の解析(English):

Sanchi oil spill contamination could reach Japan within a month (update)」(NOC.UK)

このレポートは1月16日に出されたものですが、すでに十島村に到達しています。

鹿児島県の宝島に「油のようなもの」漂着、沈没タンカーから流出か」(AFPBB)

 

上記NOCのレポートより、3か月分の汚染リスク分布図)

Figure 2. This shows the pollution risk based on virtual oil particle distribution. 

 

東側で流れの早い黒潮に乗った分は比較的高速で移動し、かつ希釈も進みますが、

北側に回った分はそうも行かず、あまり希釈が進まないまま大半が済州島に到達し、

その後に対馬を経由して日本海側に流入すると考えられています。

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東側については黒潮の蛇行度合い(JAMSTEC)にもよりますが、北側については

60日前後で済州島に到達、更に10日程で対馬に到達すると予測されています。

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上記NOCのレポートより、3か月分の到達日数分布図)

Figure 3. This shows the trajectories of all virtual oil particles across all release scenarios. 

3-4週間で橙色、2か月目は緑色、3か月目は紫色の領域まで到達すると予測されています。

 

東側で流れが速く流量も多い黒潮に乗った場合は高速で拡散・希釈されて行きます。

北側では速度が遅く流量も少ないので拡散・希釈が進みません。現在は橙色あたりです。

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到達時間が短いほど希釈されないうちに到達してしまう訳で、実際既に奄美方面に

到達、「因果関係は不明」としつつも、後手に回って対応を始めた様です。

 

漂着油でアオウミガメ死ぬ 奄美大島の海岸、6日回収」(産経ニュース)

奄美大島等における油状物関連情報」(海上保安庁)

 

海上保安庁と中国側の発表に微妙に差が出ています。:

中国発表:コンデンセート111,130t、A重油120t、C重油1,900t

日本発表:コンデンセート136,000t、A重油120t、C重油2,000t

 

いずれにしても、いままでの原油流出事故としては上位10位前後に入る量ですので、

侮ることは出来ないと思います。

 

沖縄本島北部に油状の固まり タンカー事故の流出油か」(朝日新聞)

オスプレイ部品落下か=海岸漂着、けが人なし-米軍側、通知せず・沖縄県伊計島」(Jiji)

 

油以外のものも流れ着いている様です。

 

関連船舶:

第十管区海上保安本部: PL69 こしき 海上保安庁海洋情報部: HL01 昭洋

国立研究開発法人 水産研究・教育機構: 陽光丸

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米崙斷層:衛星による解析」に続きます。流出した油の衛星画像を追加しています。

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(追記)

奄美大島等における油漂着事案に関する環境省の対応状況について」(環境省)

油漂着 沖縄本島西海岸で拡大 県など緊急会議、11管調査」(琉球新報)

どこまで拡大するのか 油の漂着物、沖縄県内8市町村・300個超え」(沖縄タイムス)

縦割り行政の弊害で、部署ごとに異なる見解となっていて、収拾がついていません。

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(以上)