Wing and shot


第15章
プロの訓練

 全般的に言ってプロの訓練者は大変重要な人々のグループである。彼等の間には他の幾つかの社会に見出されるような親愛の情がある。そして、その各人は犬を散歩させ、チャンピオンシップのフィールドにおける完全な演技犬という通常の決勝点に向かって努力を捧げている。私が知り合いになった殆んどの訓練者は、フィールドにおける成功によって、犬の訓練よりも多くの経済的の報酬を獲得している。その代りに、彼等は、スポーツと犬と戸外運動に対する尽きる事のない愛情を、人生における唯一の道に捧げる事を余儀なくされている。そして無視する事の出来ない事実として、素晴しい訓練者の背後には、協力と理解と忍耐とで、彼の経歴を成功させるのを援助した奥さんが、例外なくいることである。貴方の犬をプロトレーナーの所で訓練したら良いか否かを定めるのは私ではない。これはあなたが犬から何を期待し、どれ程の時間と金を、この最終産物の為に費すか、という質問なのである。全ての鳥猟犬飼育者にとって、プロトレーナーに依頼する事なしに、素晴しい結果に到達する事は可能である(勿論それを正しく行なった場合であるが)。

 もし貴方がこの本の中で勧められているように、犬の為に時間を費す用意が出来ないならば、あらゆる意味においてプロトレーナーに彼を訓練して貰った方が良い。犬の所有者が、プロトレーナーによって加えられた訓練の結果について不平を言うのをしばしば聞くことであるが、しかし彼等に対して疑問を投げかける場合には、そのトレーナーは唯単に犬を2~3ヵ月預ったという事であり、その間に所有者は全く完全に訓練され終ったシューティングドックが出来上ることを期待すると言うことになる。多くの場合犬がプロトレーナーに委ねられる場合、既に半分は駄目にされ掛かっている。プロトレーナーは、この本に記載してある事と全く同様な仕事に従わねばならない。それは多分非常に永い年月を要する事だろう。犬の訓練には決して省略という事はあり得ない。世界中の立派な訓練者は皆、貴方がそうであるように、沢山の仕事と時日を掛けなければならないのである。

 私は単なる一時的の訓練者が、進歩しつつある若犬の段階の仕事を省略しようとするのを見た事がある。このような省略についての極く一般的のものは、犬のコンディション調整について、何頭も一緒に走らせたり、革具をつけて牽き運動をさせ、それから、養殖鳥とか鳩に当てて調教する事等である。そして犬は訓練されたと考える。成程、彼は訓練されたに違いないが、しかし彼は決して進歩していない。彼の天賦の性質とか、猟欲等は決して十分に実現されていない。これ等は自然の猟野における実際的な猟によってしか得られないものである。これには時間も要し、大変な仕事である。殊にフィールド・トライアルにおいてそうである。もし貴方が御自分の犬をプロトレーナーに委ねる決心がついたら、彼の進歩の何の段階においてでも良かろう。

 殆んどの訓練者は仔犬を引受ける場合には、以前に彼等の仕事を大変困難にするような障害があったかという事を大変心配する。もし貴方が、私の奨めるような方法で発育させることが出来たならば、殆んどの訓練者は彼の訓練を喜んで完成する事が出来るに違いない。あなたが訓練者に犬を渡す際には、今迄どのように訓練して来たかを詳しく話し合い給え。そして彼と一緒に、あなたの今迄の命令をやって見せ、犬を働かせるのを見て貰い給え。貴方も彼も同じ用語を用いるよう注意しなくてはいけない。そして両者共可能な限り犬を似たような方法でハンドルしなくてはならない。同様の事が彼が戻って来た場合にも言える。犬を自分一人で働かせようと思う少なく共1日前に、訓練者と一緒に犬を働かせるようにし給え。

 訓練者に犬を渡す際、今迄犬と一緒にいて、何か特別な問題があったとか、訓練者の今後の訓練に影響すると思われるような、今迄起った事を彼に告げるように注意し給え。これらの事は彼に大変手助けとなろう。訓練者に対しては奇跡を作るよう期待してはいけない。彼に仕事を正しく行なうのに十分な時日を与え給え。大抵の場合、彼は貴方が期待すると同じように立派な仕事をするよう意気込むであろうし、彼が出来得る全ての事を為してくれるだろう。しかし、それには時間がかかるのである。もし貴方が自分の犬を、プロトレーナーの訓練を受けさせようと考えた場合には、トレーナーを選択するのに、かつて仔犬の選択の時にしたより以上の判断を働かせるが良い。殆んどのトレーナーが誠実であり、貴方の犬を訓練する能力を持っているにしても、尚一部には、何時の世にも、望ましくないものもある。訓練者を選ぶ場合、注意しなくてはならないのは、彼が有名であるかを注意しなくてはならない。彼の経歴を調べ、彼の才能と犬の両方を調査し給え。もし彼の犬が健康で楽しそうであり、彼の犬舎が清潔できちんとしており、更に又、順序立ててやる能力と十分な才能を有するならば、彼は多分貴方の為に良い仕事をしてくれるだろう。しかしもし、犬舎は片付けられておらず、グランドが泥だらけであり、一見して不注意のような所が見える場合は、この人には任せられない。誠実な、良心的で熱心な管理者以外に立派な管理者など居る筈がない。彼が訓練に用いるグランドと、自然と、そして飼育している鳥の供給具合を調べるよう注意が必要である。

 彼が貴方の望んでいるタイプの犬を作ることが出来るか確認し給え。訓練者の中には例えば、グラウスドック、フィールド・トライアル・ドック、或はクウェールドック等のような、シューティングドックの或る特殊なタイプのものを専門にしている人がある。貴方が完成犬への過程において正に何を望んでいるかを、彼と十分に話し合い給え。

 貴方が犬の進歩を見、彼と一緒に働くことが出来るように、成可く近くにいる訓練者を選ぶようにし給え。犬が家に戻って来た時にそれに準ずる事が出来るように、彼の技術と方法を完全に理解するよう、心掛ける事が必要である。