中学受験の話ではありませんが、小学生の皆さんには、今のうちにしっかり身につけていただきたい力があります。
想像力です。
昨今、ツイッター動画やYouTubeなどでアルバイト学生が不適切動画を流して、飲食店やお客に大損害を与えてしまう問題が絶えません。
とても愚かで、悲しい問題です。
愚かなのは言うまでもありませんが、なぜ悲しいのかと言うと、
自ら流した動画によって、自分の人生を台無しにしてしまっているからです。
そんなことを、好んでやる若者なんていません。
やっているときは、当然、良かれと思ってやっているわけで、その後の反応が全く想像できてないわけで。
「あんな馬鹿なことはぼくはしないよ」
あの映像を見れば、誰だってそう思います。
でも、誰にだって、あんなことをしてしまう危険性を秘めているのです。
スマホが手元にある限り、その可能性は決して拭えないのです。
その先に何があるのか？
自分の行動のその先にはなにがあるのか？
目の前には、スマホがある。
一緒に馬鹿なことをしてくれる友達がいる。
その先には、自分たちの流した映像を見て笑ってくれる仲間がいる。
楽しんでくれる仲間たちに拡散してくれる視聴者がいる。
あとは？・・・・。
そこで想像が止まっている。
正確には、
あえて想像を止めている。
なぜか？
その方が興奮するし、熱にうなされていられるから。
危険な香りに包まれていたいから。
「俺は人とは違う。特別なんだ。お前らにはできないだろ？」
それを、想像できる範囲の視聴者にだけ向けて発信している。
その先を、あえて想像しない。
なぜならその方が熱にうなされていられるから。
その危険は誰にもあります。
特に若い君たちには。
じゃあぼくたちの時代には、そんなことをする若者はいなかった？
いいえ。
もっとたくさんいましたよ。
大人にもたくさんいました。
飲食店に入ると、厨房で悪ふざけをしている従業員なんて、たくさんいました。
もっとひどいことをしている店なんていくらでもありました。
ひどい客もたくさんいました。
でも、それを発信する発想はありませんでした。
なぜなら、そのアイテムがないからです。
だから問題になっても、店主から一発殴られたら終わりました。
クビになっておしまい。
でも今は、スマホがあります。
簡単に映像が撮れます。
それを世界中の人に見てもらうのも簡単。
視聴者を増やしたければ、より刺激的であればいいだけ。
全てがすごく簡単。
自分の人生を狂わすのも、溺れるのも、堕ちるのも、終わらすのも、いともカンタンなのです。
ポチッと押せばいいだけ。
スマホが登場する前、私たちは世界とは繋がっていませんでした。
バイト先ではバイト仲間とだけです。
だからバカなことをしても、そこだけの小さな世界での出来事です。
でも今は、自分の部屋と世界が繋がっている。
覗くことも覗かれることもカンタン。
それを防ぐのも取り締まるのも自分です。
自分で自分を取り締まるしかありません。
人は失敗する生き物です。
でも、その世界ではたった一度の失敗も許されない。
「失敗も経験だよ」
ネットの場合、そのたった一度の失敗が人生を台無しにします。
ネットは子供にも厳しい。
だから、想像力なのです。
お酒に酔っ払ってフラフラしている大人を見ると情けないでしょう？
あなたたちがSNSでいいねを増やすために躍起になっている姿もまさにそれです。
同じなんです。
ルールを破れば飲酒運転と同じ。
飲酒運転で事故を起こしたら誰も許してはくれません。
自動車保険に入っていても保険は適用されません。
「ごめんなさい」
と、謝っても許してもらえないのです。
「だって自分でポチッとしたんだろ」
想像しましょう。
あなたが友達とノリで、ウケ狙いでやることで、誰が見て、どこまで広がっていくか。
誰がどのような辛い思いをするか。
世界がいかに狭いか。
自分がどれだけ監視されているか。
今の時代は生きづらいのです。
便利と監視は背中合わせです。
便利には必ず守らなければならないルールがあります。
ルールを破れば罰せられる。
罪は償えば許される。
でもSNSは許してくれない。
半永久的に。
スマホを手に取った瞬間に世界とつながっている。
魔法です。
魔法は、人を簡単に幸せな気分にしてくれる。
でも簡単な幸せには、リスクやら責任やら、良からぬもの。
いろんなものがついてくる。
中学受験で得られる幸せには、良からぬものはついてはきません。
なぜなら、その幸せは簡単には手に入らないものだから。
簡単なもの、便利なものには、それなりの対価を払います。
常識ですよね。
簡単にいいねを手に入れたいあなたはなにを払っていますか？
想像してください。
3年A組は、素晴らしいドラマですね。
女王の教室を思い出しました。
想像してみて〜。
あのセリフを思い出しました。
それくらい昔から言われてることです。
つまり、口を酸っぱくして言わないと難しいんです。
想像することは。
想像する訓練が必要でしょうね。
訓練をしないと、想像できない。
今はそういう時代です。
悲しいですが。
明日は想像する訓練について書きます。
今大阪からの帰りの新幹線で書いてます。
