歳三からの伝言
北原亞衣子 著
ずっと前に買った文庫版をやっと読み終わりました。
まぁ簡単に説明すると、燃えよ剣を大政奉還辺りから北原流人情話を加えて読みやすくして、みんなが大好き伊庭八郎も付けときました。って感じの話ですかね。
出て来る人物の描写はほぼ司馬人物像と一緒だったと思います。
北原作品を読むのは歳三からの伝言が初めてだったのですが、脇役達が史実を邪魔しない程度のいい塩梅で顔を出してきて、ほっこりさせてくれるのが心地よいです。
特にさきちゃん。架空の人物なのに、歳さん(ついでに利三郎)の傘を持ちながら、爪先でのの字書きながら待ってる姿が容易に想像出来、それが本当にいじらしい。
そういえば、さきちゃんが出てくる辺りの野村利三郎がやたらと男前で「…誰?」状態になりました。
野村利三郎といえば、史実でも酒で失敗して切腹騒動起こしたり、春日左衛門と喧嘩して抜刀沙汰になったりと宮古湾で死ぬまでに様々な事件を起こしたことが残ってるので、小説でも子供っぽく書かれることが多いのですが、この話に出てくる野村は立派な大人でした。
仙台でいきなり新選組に復帰してるからかもしれません(史実だとまだ陸軍隊ですよね)。
本来なら島田魁か中島登がやりそうなポジションを担ってる野村利三郎が新鮮でした。
史実通り宮古湾海戦で野村は死ぬのですが、最期の台詞が悟りきってるイイ男全開で惚れ惚れとしちゃいました。
野村の死に様って人によって全然違って、酷いのなんか甲鉄艦に飛び降りることなくそのまま海に落ちちゃったりするので、この本は隠れ野村ファンの私にとって当たりでした。
野村カッコいいよ、野村。
と思ったら大鳥さんに足音がうるさいって怒られてました。やっぱり子供ぽいね、野村さん。
まぁそんな感じで存在感ありまくりな野村に較べて相馬の存在感が薄いこと薄いこと。
新選組の隊長になったことすら書いてなかった…。
どの小説でも相馬の扱いが酷くて泣けてきます。燃えよ剣なんて脱走しちゃいましたしね。
私が明治新選組(まさかの相馬主役)を重宝する日々はまだまだ続きそうです。
伊庭八郎は相変わらずイイ男です。
歳三からの伝言なのに歳さんについて全然書いてないですね。
歳さんはただひたすらカッコよくてたまに弱いところを見せて女心をくすぐるいつも通りの歳さんでした。おわり。
…いやぁ歳さんは好きすぎて最早突っ込めないんです。
ほとんど野村のことばっかり書いてしまいましたが、要するに箱館新撰組好きは読んどけってことです。
むしろ何で今まで読んでなかったんだ私。
もうすぐ野村の命日ですね。