「空海展」が、4月13日から6月の9日まで奈良国立博物館で開催されている。

 

 空海を通して密教を立体的に描き出す展覧会で、日本、中国、インドネシアから第一級の品がこれでもか! といわんばかりに出品される。なんと重要文化財だけでも約(チラシにそう書いてある。三分の一ぐらい欠けているとかそういうこと??)60件、国宝に至っては30件に及ぶ。

 

 前期と後期で展示品に入れ替えがあるので、どっちにしようか(何といっても当日券は2000円なので、前後2回行くのは結構ハードルが高い)と考えたが、同行者の都合が前期の方がいいとのことで、早々とこのGWに行ってきた。

 

 

 入ってすぐの第一室の呼び物(?)は、五智如来座像だ。東寺の立体曼荼羅にならい、大日如来を中央に、それを取り囲むように阿閦、宝生、阿弥陀、不空成就の4如来が配されている。何でも5体そろっている最古のものだそうだ。

 

 5仏は兄弟のようによく似た顔立ちをしているが、よく見るとそれそれの個性が伝わってくる。個人的には宝生如来の静謐さに惹かれた。離れては近づき×4回ぐらい繰り返したが、先は長いので名残惜しく次の会場へ向かった。

(あとで展覧会グッズ売り場で葉書を探すが、5仏一緒のものしかなかった。しかも写真ではあの静謐さが伝わってこない。また行くしかないのか……)

 

 

 さて、ここで質問です。

 空海さんといえば……?

 高野山? 筆の誤り……三筆? はい、それです。日本でも三本の指に入る能筆家というやつですね。

 

 その空海の真蹟が……次から次へと出てくるという展示が第3室だ。

 平安時代初期、8世紀に書かれた文字が、時の流れを感じさせない鮮明さで残っている。1200年間、どれだけ大切に扱われてきたかがうかがえるではないか。

 

 1巻ぐらいなら「空海さんはこんな字をお書きでしたか」ぐらいで終わる。だが、唐から持ち帰った仏典・密教用具等の一覧。“論文”の下書き、そして最澄にあてた手紙など、確かにどれも同じ筆跡だと気づいたときの驚き。ありがたいというか、恐ろしいというか。

 

 

 その他にも、修理されてからはこれが初めての公開となる「高雄曼荼羅」、空海が唐から持ち帰った密教法具などもある。私が大好きな快慶の「孔雀明王坐像」は、高野山からはるばるご光臨。二年ぶりの再会を果たすことができた。

 

 最後の展示室にたどり着いたときには、どれもただの「書」、「掛け軸」にしか見えなくなってきた。這うようにして会場から出ると、椅子に座り込んでしまった。年か。

 展覧会を見て、こんなに疲れ果てたことがあっただろうか、いやない(反語的表現)。ああ、さすがに本物。オーラが半端でなかったようだ。やっぱり年か。

 

 帰宅して食事もそこそこ、9時半に寝ました。そして10時間近く眠りました。