と、タイトルを読んで「何のこっちゃ?」と思うでしょう?

 50歳で年収450万円の独身男性が結婚するための30の法則を書いた中村淳彦『中年婚活』(大洋図書 2023年)という本にある1フレーズだ。


 著者は49歳のとき妻に先立たれる。いったんは「ゆっくり時間をかけて第二の人生を模索しよう」と思ったものの、「独身男性の平均寿命は67歳」と知り、「アラフィフ男の婚活は一分一秒出も早いほうがいい」と婚活を開始する。

 

 著者はまずマッチングアプリからはじめ、次に結婚案内所に入会するという婚活長期計画を立てるが、第一段階のマッチングアプリでキャリア女性と出会い、妻の死から一年半後に再婚を果たしている。

 その経験を生かし、冒頭の「50歳で年収450万円の独身男性が結婚するため」に書いたのが本書である。

 

 

 上記の「独身男性の平均寿命」だが、世界でも一、二を争う長寿国日本のなかで独身男性だけがずば抜けて寿命が短く、生涯未婚(一生のうち一度も結婚しない者)男性の半数は68歳で亡くなっているのだとか。

 その死因は生活習慣病と悪性がん。コンビニ弁当、ファストフード、インスタント食品などの食生活と孤独によるストレスではないかと著者は分析する。

 

 今日のタイトル「未婚男性と距離を置け」であるが、正しくは「生涯未婚男性とは距離を置け」である。結婚したいなら「結婚に否定的で、運気を下げる生涯未婚の男性たちから離れるべき」が、筆者のアドバイスだ。

 

 

 この本は実に具体的だ。婚活の場でのファッション、プロフィール文の書き方といった具体的なマッチングアプリ対応から、実際に女性と会う店の選択(下見は必須)、お見合い時したときは相手を否定しない、聞かれなければ自分のことは話すななどの「べからず集」が充実している。

 

 ノウハウも大切だが、更に大切なのはメンタルの抜本的改革である。この本の目次を抜き書きしてみよう。

「今まで結婚できなかったのは自己責任!」

「『自分はキモいかも』という自覚を持つ」

「親の幸せより、自分の人生の方が大切」

 と、なかなか刺激的な文章が続く。

 本文のほうでも「子ども部屋おじさんから卒業しないと、婚活どころか大人としてのスタート地点にも立てない」とある。

 

 マッチングアプリに登録している同年代の男性のプロフィール写真などは、「自分がダサい、中年男性は醜い、おじさんは気持ち悪い、という自覚は微塵もない」ものばかりらしく、それらの写真を分析した文を読んでいると、実物を目にしていないのにまるで見ているような気がする。街を歩けばこういう人、いるよなあ。

 

 

 だが、じっとがまんして女性の話にひたすら耳を傾け、猫をかぶった状態で見事婚活に成功、結婚したあとは、どうするの? という素朴な疑問がわく。猫をかぶりつづけるのだろうか? ぽろっと「元の自分」が出て、妻になった女性の逆鱗に触れたらどうするのか?

 

 この本は婚活後の指南までは対応していない。