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「耳鼻科医として内部被曝と防塵対策に憂慮すること」山野辺滋晴
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/229.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 13 日 15:01:54: 6WQSToHgoAVCQ


 「耳鼻科医として内部被曝と防塵対策に憂慮すること」


   ■ 山野辺滋晴:共立耳鼻咽喉科院長


  
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 政府は、福島第一原発事故後に発生した放射能汚染に対して「直ちに健康被害はな
い」と繰り返していますが、原爆が投下された被爆地、長崎に住む私は、政府と原子
力安全保安院の対応に疑問を抱かざるを得ません。現在行われている被曝による健康
被害の推測は、原爆投下後に発生した放射線障害に基づいて想定されています。しか
し、DS86やDS02といった原爆放射線量評価体系は、飲食や呼吸による内部被曝の影響
を十分には反映していないとする意見も存在しています。つまり、低線量の外部被曝
だけが繰り返される環境であれば被曝量は分割されて健康被害は少なくなると評価で
きますが、呼吸や飲食による内部被曝が長期にわたって継続する環境では、たとえ内
部被曝の増加が少量ずつであっても放射能による健康被害は確実に蓄積していくと考
えるべきではないでしょうか。さらに、原子爆弾では放射性物質の拡散は一回だけで
すが、原発事故では放射性物質の拡散が低線量ではありますが継続します。したがっ
て、今回の福島原発事故では、今後長期間にわたって内部被曝の危険性が継続する可
能性があるわけですから、空間放射線量の積算だけで人々の安全性を論じることはで
きないと思います。

 内部被曝の中の呼吸による内部被曝では、放射性物質の飛散範囲が問題になります。
今回の福島原発事故では、原子炉建屋の爆発やドライベントがあった時に大量の放射
性物質が空気中に放出されました。米エネルギー省の調査によると、3号機の爆発の
後で風下になった北西方向に30~40キロにわたって高濃度の放射能汚染地帯が拡がっ
ています。今後も同様の爆発やベントが起きる可能性は否定できませんから、原発の
風下で発生する放射性降下物による内部被曝を防ぐ対策を啓蒙する必要があると考え
ます。もし再び爆発やドライベントが起こって放射性プルームが発生する様な事態が
あれば、行政は風下地域に被曝に対する警報を出すべきでしょう。

 また、一旦地上に粉塵が降下しても、塵の状態なら風によって再び舞い上がること
が知られています。これはスギ花粉でも観察される現象ですが、放射性降下物でも発
生します。気象庁気象研究所の環境放射能研究では、セシウム、プルトニウム、スト
ロンチウムなどの放射性降下物は風によって砂塵とともに舞い上がることが推測され
ていますから、放射能汚染が強い屋内退避地区などでは、風が強い日などにも内部被
曝を防ぐ防塵対策が必要になるはずです。こうした放射性物質を含む粉塵の危険性は、
内部被曝の反復を防ぐために、警察や消防関係者だけではなく一般住民やボランティ
アにも周知しておくべきだと考えます。

 このように、放射性物質を含む粉塵による内部被曝は無視できません。粉塵を肺に
吸い込むばかりではなく、鼻粘膜、咽頭粘膜、気管壁に付着した粉塵は、繊毛機能に
よって鼻汁や喀痰とともに嚥下されるからです。特に生物学的半減期が長い核種につ
いては注意が必要でしょう。現在、放射性のヨードやセシウムばかりが計測されてい
ますが、セシウム-134の生物学的半減期が約100~200日であるのに対し、ストロンチ
ウム-90の生物学的半減期は約50年にも及びます。ストロンチウム-90はβ崩壊するの
で計測が煩雑で、これまで観測対象になっていないようです。しかし、放射性ストロ
ンチウムは白血病の原因にもなるわけですから、たとえ少量ずつの内部被曝といえど
も軽視するべきではないでしょう。できれば、福島原発における爆発事故で発生した
プルトニウムやストロンチウムなど様々な放射性核種が拡散した範囲と量を確認する
べきだと思います。東京電力(参照1,2)と福島県原子力センター福島支所(参照3)
は、事故発生前に行っていた環境試料中のプルトニウムとストロンチウムの測定を事
故発生後は中止したままですから、直ちに再開すべきです。

参照1: http://www.tepco.co.jp/fukushima1-np/monitoring/index9.html
参照2: http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19780929001/t19780929001.html
参照3: http://www.atom-moc.pref.fukushima.jp/branch.html

 呼吸に伴う内部被曝を防ぐためには、放射能防護マスクや防塵マスクが必要となり
ます。現在、半径20キロ圏内の避難区域で作業する警察や消防関係者の皆さんは、
DS2,3区分などのN95やN99規格に匹敵する防塵マスクを使用しているようですが、テ
レビの放映を見ていると隙間が開いた状態で使用している人々も多く、内部被曝を適
切に防ぐことが出来ていないのではと危惧します。放射性物質による被曝を防ぐ目的
でマスクを使用する場合、マスクの漏れ率が問 題となります。たとえN95クラスのマ
スクを使用しても、マスクの漏れ率は約50%前後にも及ぶという報告もあります。し
たがって、放射性物質を吸入しないためにはマスクを正しく使用することが必須です
し、高濃度に放射能汚染された地域では原発敷地内で作業員が行っているようにテー
プ等でマスク周囲を密封することも必要でしょう。新型インフルエンザが流行した時
には、実際にテープでマスク周囲を密閉するN99マスクも市販されましたから、放射
能汚染の場合でも爆発後の風下など本当に危険性が高い環境では実践すべきだと思い
ます。手袋の着用や肌を露出させない服装などの基本的な被曝対策は言うまでもあり
ません。

 原子力安全保安院も被曝対策としてマスクの着用を勧めてはいますが、前述のよう
なマスクの選択や着脱について具体的な使用方法を説明していません。このため、屋
内退避地域でマスクを使用する場合でも一般的な花粉症用マスクを勧める人々もいま
す。しかし、スギ花粉の大きさは30~40μmで、花粉症用のマスクにはN95マスクに匹
敵するようなフィルター機能がありませんから、十分に説明することなく、ただ単に
マスクの使用を勧めるべきではありません。また、マスクを使うと周辺の塵を集塵し
ますから、高濃度の放射能汚染がある地域では一定時間使用したマスクは使い捨てと
し、適切に廃棄する必要があります。長期間使用したり、使用したマスクを触った後
で手洗いを怠ったりすれば、かえって内部被曝を誘発する危険があります。

 いま、主に放射性ヨードやセシウムの計測結果だけが公表されていますが、空間や
食物や土壌に放射性ヨードやセシウムが存在するということは、その他にも観測され
ていない様々な放射性核種が存在していることを意味します。現在のように福島原発
からの放射性物質の拡散が少ない状況が続けば問題ありませんが、今後、3号機が爆
発し4号機で火災が起きた時のような状況が繰り返された場合、セシウムばかりでは
なくストロンチウムなどの様々な放射性核種による内部被曝が増加する危険性が高ま
ります。3月14日から16日にかけて北西30~40キロの広範囲に拡がった放射能汚染が
再発する危険性は今後とも実在するわけですから、内部被曝による被曝者の増加を最
小限に抑えるために、正しい防塵・被曝防護対策を啓蒙して頂きますようお願い致し
ます。


共立耳鼻咽喉科院長
山野辺滋晴
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原発で事故るということ

子供には明らかに厳しいですね。それと、年頃の人にどの様な影響が出るのかという憶測(IAEAならびにWHOでは遺伝的影響は無いとしているようですが、福島の事故以前のチェルノブイリを特集したNHKのドキュメンタリー番組では遺伝的影響の問題が取り上げられていました。もう、そのような問題提起をNHKで観ることはできないかもしれません。)。

今、風評被害が食品について、ゴミの処分についてNEWSで散見されますが、人の差別が怖いです。
福島県内でも起きているらしいので、日本国内、世界においてもその見方がきになります。

産地偽装ならぬ出身地偽装なんか出てきそうです。私も山形なので、単純に考えたら隣県、影響有りに分類されてしまいますかね。こんなことを話すことさえ非難を浴びそうですが、敢えて書いてみました。

ホリエモンや池田のハゲが言う『原発事故と自動車事故は同じ』という説はやはり無理があります。
被害は直接的な健康被害、生命の危機以外にこういった2次的3次的被害が膨大で、容易にカウントできるものではないでしょう。ハンセン病等、種々の病気で差別の素地は日本にしっかり有ります。だからこれをタブーとして語らないことも問題だと思うんです。原発の特殊性による【不安】であらゆる人が被害に合うわけです。病は気からですが、これだけのストレスを与えてしまう物は直接目には見えない形でさえも心体を蝕んでいくものではないでしょうか。

安全で、且つ万が一事故が起きても直ちに収束できるならば原発を反対する理由がないわけですが、今の状況では容認も黙認もできなくなりました。コストやその被害の膨大さから考えても採算があう産業ではないでしょう。それ以前に捨て場所のない使用済み核燃料の問題。子々孫々まで膨大なコストを掛けて管理させるという甘え。アルミ精錬交渉が次々と潰れていった背景にある日本の電気の値段の高さ。ボロ儲けしてきた方々には申し訳ないがもうこりごりだ。
How nuclear apologists mislead the world over radiation
Soon after the Fukushima accident last month, I stated publicly that a nuclear event of this size and catastrophic potential could present a medical problem of very large dimensions. Events have proven this observation to be true despite the nuclear industry's campaign about the "minimal" health effects of so-called low-level radiation. That billions of its dollars are at stake if the Fukushima event causes the "nuclear renaissance" to slow down appears to be evident from the industry's attacks on its critics, even in the face of an unresolved and escalating disaster at the reactor complex at Fukushima.


Proponents of nuclear power – including George Monbiot, who has had a mysterious road-to-Damascus conversion to its supposedly benign effects – accuse me and others who call attention to the potential serious medical consequences of the accident of "cherry-picking" data and overstating the health effects of radiation from the radioactive fuel in the destroyed reactors and their cooling pools. Yet by reassuring the public that things aren't too bad, Monbiot and others at best misinform, and at worst misrepresent or distort, the scientific evidence of the harmful effects of radiation exposure – and they play a predictable shoot-the-messenger game in the process.


To wit:

1) Mr Monbiot, who is a journalist not a scientist, appears unaware of the difference between external and internal radiation


Let me educate him.


The former is what populations were exposed to when the atomic bombs were detonated over Hiroshima and Nagasaki in 1945; their profound and on-going medical effects are well documented. [1]


Internal radiation, on the other hand, emanates from radioactive elements which enter the body by inhalation, ingestion, or skin absorption. Hazardous radionuclides such as iodine-131, caesium 137, and other isotopes currently being released in the sea and air around Fukushima bio-concentrate at each step of various food chains (for example into algae, crustaceans, small fish, bigger fish, then humans; or soil, grass, cow's meat and milk, then humans). [2] After they enter the body, these elements – called internal emitters – migrate to specific organs such as the thyroid, liver, bone, and brain, where they continuously irradiate small volumes of cells with high doses of alpha, beta and/or gamma radiation, and over many years, can induce uncontrolled cell replication – that is, cancer. Further, many of the nuclides remain radioactive in the environment for generations, and ultimately will cause increased incidences of cancer and genetic diseases over time.


The grave effects of internal emitters are of the most profound concern at Fukushima. It is inaccurate and misleading to use the term "acceptable levels of external radiation" in assessing internal radiation exposures. To do so, as Monbiot has done, is to propagate inaccuracies and to mislead the public worldwide (not to mention other journalists) who are seeking the truth about radiation's hazards.


2) Nuclear industry proponents often assert that low doses of radiation (eg below 100mSV) produce no ill effects and are therefore safe. But , as the US National Academy of Sciences BEIR VII report has concluded, no dose of radiation is safe, however small, including background radiation; exposure is cumulative and adds to an individual's risk of developing cancer.


3) Now let's turn to Chernobyl. Various seemingly reputable groups have issued differing reports on the morbidity and mortalities resulting from the 1986 radiation catastrophe. The World Health Organisation (WHO) in 2005 issued a report attributing only 43 human deaths directly to the Chernobyl disaster and estimating an additional 4,000 fatal cancers. In contrast, the 2009 report, "Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment", published by the New York Academy of Sciences, comes to a very different conclusion. The three scientist authors – Alexey V Yablokov, Vassily B. Nesterenko, and Alexey V Nesterenko – provide in its pages a translated synthesis and compilation of hundreds of scientific articles on the effects of the Chernobyl disaster that have appeared in Slavic language publications over the past 20 years. They estimate the number of deaths attributable to the Chernobyl meltdown at about 980,000.


Monbiot dismisses the report as worthless, but to do so – to ignore and denigrate an entire body of literature, collectively hundreds of studies that provide evidence of large and significant impacts on human health and the environment – is arrogant and irresponsible. Scientists can and should argue over such things, for example, as confidence intervals around individual estimates (which signal the reliability of estimates), but to consign out of hand the entire report into a metaphorical dustbin is shameful.


Further, as Prof Dimitro Godzinsky, of the Ukranian National Academy of Sciences, states in his introduction to the report: "Against this background of such persuasive data some defenders of atomic energy look specious as they deny the obvious negative effects of radiation upon populations. In fact, their reactions include almost complete refusal to fund medical and biological studies, even liquidating government bodies that were in charge of the 'affairs of Chernobyl'. Under pressure from the nuclear lobby, officials have also diverted scientific personnel away from studying the problems caused by Chernobyl."


4) Monbiot expresses surprise that a UN-affiliated body such as WHOmight be under the influence of the nuclear power industry, causing its reporting on nuclear power matters to be biased. And yet that is precisely the case.


In the early days of nuclear power, WHO issued forthright statements on radiation risks such as its 1956 warning: "Genetic heritage is the most precious property for human beings. It determines the lives of our progeny, health and harmonious development of future generations. As experts, we affirm that the health of future generations is threatened by increasing development of the atomic industry and sources of radiation … We also believe that new mutations that occur in humans are harmful to them and their offspring."


After 1959, WHO made no more statements on health and radioactivity. What happened? On 28 May 1959, at the 12th World Health Assembly, WHO drew up an agreement with the International Atomic Energy Agency (IAEA); clause 12.40 of this agreement says: "Whenever either organisation [the WHO or the IAEA] proposes to initiate a programme or activity on a subject in which the other organisation has or may have a substantial interest, the first party shall consult the other with a view to adjusting the matter by mutual agreement." In other words, the WHO grants the right of prior approval over any research it might undertake or report on to the IAEA – a group that many people, including journalists, think is a neutral watchdog, but which is, in fact, an advocate for the nuclear power industry. The IAEA's founding papers state: "The agency shall seek to accelerate and enlarge the contribution of atomic energy to peace, health and prosperity through the world."


Monbiot appears ignorant about the WHO's subjugation to the IAEA, yet this is widely known within the scientific radiation community. But it is clearly not the only matter on which he is ignorant after his apparent three-day perusal of the vast body of scientific information on radiation and radioactivity. As we have seen, he and other nuclear industry apologists sow confusion about radiation risks, and, in my view, in much the same way that the tobacco industry did in previous decades about the risks of smoking. Despite their claims, it is they, not the "anti-nuclear movement" who are "misleading the world about the impacts of radiation on human health."


• Helen Caldicott is president of the Helen Caldicott Foundation for a Nuclear-Free Planet and the author of Nuclear Power is Not the Answer


[1] See, for example, WJ Schull, Effects of Atomic Radiation: A Half-Century of Studies from Hiroshima and Nagasaki (New York: Wiley-Lis, 1995) and DE Thompson, K Mabuchi, E Ron, M Soda, M Tokunaga, S Ochikubo, S Sugimoto, T Ikeda, M Terasaki, S Izumi et al. "Cancer incidence in atomic bomb survivors, Part I: Solid tumors, 1958-1987" in Radiat Res 137:S17-S67 (1994).


[2] This process is called bioaccumulation and comes in two subtypes as well, bioconcentration and biomagnification. For more information see: J.U. Clark and V.A. McFarland, Assessing Bioaccumulation in Aquatic Organisms Exposed to Contaminated Sediments, Miscellaneous Paper D-91-2 (1991), Environmental Laboratory, Waterways Experiment Station, Vicksburg, MS and H.A. Vanderplog, D.C. Parzyck, W.H. Wilcox, J.R. Kercher, and S.V. Kaye, Bioaccumulation Factors for Radionuclides in Freshwater Biota, ORNL-5002 (1975), Environmental Sciences Division Publication, Number 783, Oak Ridge National Laboratory, Oak Ridge, TN.

http://news.livedoor.com/article/detail/5464092/


●笑いたくないが、笑っちゃう

 近ごろ都に、はやるもの。ACの大量広告と、いきなり中継が始まる枝野官房長官の要領を得ない会見。ウンザリしているのは官邸記者も一緒のようで、こんな戯れ歌が出回っている。

「大丈夫?」っていうと

「大丈夫」っていう

「漏れてない?」っていうと

「漏れてない」っていう

「安全?」っていうと

「安全」って答える

そうして、あとで怖くなって

「でも本当はちょっと漏れてる?」っていうと

「ちょっと漏れてる」っていう

こだまでしょうか?

いいえ、枝野です

 AC広告で使われている金子みすゞの詩をもじったものだが、別パターンもある。

「安全?」って聞くと

「安全」と答える

「健康被害は?」と聞くと

「直ちに影響はない」っていう

詐欺師でしょうか?

いいえ、枝野です

 他には、AC広告のこんなパロディーも。

「こころ」は見えないけれど

震災利用の「下心」は透けて見える

「思い」は見えないけれど

「思い上がり」は誰にも分かる

 スッカラ菅のことをちゃかしているのは、言うまでもない。

(日刊ゲンダイ2011年4月1日掲載)

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転載元http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/d0af0b61dfa94848ae3a43c39ccb784a?fm=rss


2週間以上制御不能は世界初。最悪の事態になれば日本沈没
2011年03月28日 | 放射能と情報操作
『小沢氏が岩手入り 菅内閣の原発対応批判』

民主党の小沢一郎元代表は被災直後から地元入りを探っていたが、警備や受け入れ先の負担を考え、断念していたが28日、東日本大震災後初めて地元の岩手県に入った。
福島第一原発の事故について、
『原子炉の溶融はずっと前から指摘する人がいたのに、原子力安全・保安院、内閣、東京電力とも明確な話はずっと避けてきた。』
『事実を直接知りうる立場にないが、2週間以上たって制御不能なのは世界でも例がない。最悪の事態になれば日本沈没の話になってしまう。』
『内閣としても、総理をはじめとして思い切ってやってもらいたいとひたすら願っている。』と東京電力や菅内閣などの対応を批判した。

『日本沈没の前に放射能汚染水で原発が水没』

03月 28日国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、東京電力福島第1原子力発電所について『事故の解決には依然程遠い』、『原発の危険な状況があと数週間は続く可能性』を示唆した
また簡易プールにある使用済み核燃料棒の状況を最大の懸念要因に挙げ、冷却システムが復旧しなければ『温度が上がり』、新たな放射線漏れの恐れがあると指摘した。
とうとう恐れていた最終段階に徐々に近づきつつあるようです。
東京電力福島第一原子力発電所3号機タービン建屋地下1階で被曝した3人の足元にあった水たまりには、セシウム137など、核燃料の内部にあるものの、通常の状態では冷却水中に漏れ出すことはない放射性物質が含まれていた。
経済産業省原子力安全・保安院や東電は25日の事故当時、被曝の原因となった水たまりができたのは、原子炉につながる配管などに何らかの損傷が起き、炉内の水が漏れ出た可能性が高いとの見方をしていた。
核燃料が損傷しているとみられ、1号機でも高い放射性物質濃度の水たまりを確認されていた。
冷却機能を失った3号機では、仮設のポンプを原子炉につないで海水を注入し、冷やしていたが緊急措置だっただけに、無理な接続によってすき間から水が漏れた可能性があるという見解であった。
ところが排水作業にかかって、とんでもないことが発覚する。
2号機のタービン建屋内の放射線量は毎時1千ミリシーベルト以上で計測器の針は振り切れ計測不能。
1000万倍のヨウ素137の発表がコバルトに変わり最終的にはセシウム137に変わる大混乱。
東電によれば『再計測しようにも放射線量が高すぎ、現場にいられる時間が足りない』状態である。
それ以上の大問題も発覚する。
冷却の目的で放水している1-4号機の建屋全てに水が溜まりその量が増えていて、溜まり水とは呼べない1.5メートルにも達する建屋が出ている。
理由は、排水作業では、汚染水をポンプでくみ上げ、『復水器』と呼ばれる装置に注入しているが復水器の容量は1号機が1600立方メートルで、2~4号機が各3千立方メートルですでに満杯状態。
あれだけ消防が命がけで連日放水していれば、どれほど大きくとも何時かは満杯になるのは目に見えていたのに、保安院では『別タンクが必要になるかもしれない』と人事のような無責任発言。
東京電力や政府の脳みその方がほぼメルトダウンしているのかも知れないが、チェルノブイリの爆発事故でも10日間でほぼ冷却が終結しているのですが、日本の福島第一原発は2週間以上も温度が下がらず、未だに大量放水を続けていけば溢れて水浸しになるのは当然の結果であった。
これ以上の消防による原子炉に対する注水や燃料プールや消化に対する放水活動には限界が出て来た模様で、核物質の混じった汚水が垂れ流し状態。
次の対策を立てづに2週間以上も漫然と消防による放水という緊急処置をとり続けていた政府や東京電力の無能ぶりは際立ている。
緊急処置とは、短時間だから効果も有るし弊害も少ない。
その短時間に限定されている屋内退避とか消防による海水注水などを桁外れに長い2週間以上続ければ、今回の様にとんでもない想定外の異常事態に遭遇するのは当然であろう。

『何故チェルノブイリのように石棺で覆へないのか』

したくても今は無理で、水での冷却以外には方法は無いでしょう。
最悪の爆発事故を起こしたチェルノブイリでも最初は単なる水による火災の鎮火と原子炉の冷却を行っていた。
コンクリートの石棺で覆って放射能汚染の封じ込めに完全に成功するまでに3年間を要しています。
火山などでも噴火口から徐々に少しずつ噴出する場合よりも、休火山のように噴火口の無いのでマグマが一時に一気に出るマグマ爆発の方が恐ろしい。
福島第一原発は地震直後に自動停止しているので稼動時の1%以下に出力(熱量)が低下している。
普通ならその後に燃料棒を緊急冷却するはずが、発電機の故障で冷却出来ていない。その為に高温になった燃料棒がメルトダウンした。
圧力容器の温度や圧力が急上昇して爆発の危険があるのでベントを開いて外に放射性物質を意識的に逃がしたのです。
燃料棒が熔けると化学反応で水素が発生しこれが密閉構造の建屋ビル内に貯まり、水素爆発を起こして、1,3,4号機では1mもある頑丈なビルを完全に破壊して2号機も破壊して穴を明ける。
2号機3号機では鋼鉄製の頑丈な密閉構造の格納容器までが爆発で破壊されている。
チェルノブイリのようにコンクリートの石棺で覆った場合、今以上に恐ろしいでしょう。
既にだいぶ以前から自動停止していて温度が低い5号機6号機でも使用済み燃料棒の貯蔵していた簡易プールの水温が上昇したので、爆発を恐れて密閉ビルの天上を破壊して穴を開けた。
東電や政府は最悪の事態を恐れているのです。
そのために今は密閉されていないので核汚染物質がだらだらと垂れ流されている状態ですが、これは最悪の事態を回避する最善策であり、今後もしばらく間はこの状態が続くと思われます。
これではチェルノブイリのようにコンクリートで密閉出来ない。
今後の対策ですが、汚染水を排水出来なければ人が近づけず、水を止めれば温度が上がる。ところがこれ以上の水の注入は汚染水を増やすだけで有り矢張り続けるのにも問題が多き過ぎる。
今の福島原発ですが巨大なダム様の堤防を築き、全ての原発を水没させる以外には安全に対処出来ないのではないか。
しかしこの場合には少しずつでも水面からの放射能物質のの外部流失が完全には止められないでしょう。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110327/trd11032719410008-n1.htm
戸惑う農家「正確な情報ない」 作付け延期、耕作、すき込みも自粛




戸惑う農家「正確な情報ない」 作付け延期、耕作、すき込みも自粛
2011.3.27 19:39 (1/3ページ)
 食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出され、農家は出荷できなくなった野菜の処分や種まきなど農作業の延期に、頭を悩ませている。どこまで汚染が広がっているか正確な情報がない中、農家での取り組みには限界があり、国の早急な対応が求められている。

 「農作業はすべてストップ。間違いなく土壌が汚染されている状態なのか。何も情報がなくて農家は困惑している」

 福島第1原発から約50キロ離れた福島県郡山市。地元JAの担当者は嘆息をもらす。福島県では4月から田植えや野菜の作付けが本格化する。だが土壌汚染の恐れがあるため、県の災害対策本部は今月25日、県内の全農家に対し、作付けの延期や耕作の自粛を求めた。

 JAの担当者は「作付けを遅らせるといっても、東北の気候だと、あと1、2週間が限界。それ以上だと、今年は断念せざるを得ない」と話し、「国は責任を持って補償してくれるのか。それが心配」と先行きに不安を募らせる。

福島県で生産される野菜はキュウリやトマトなど夏の収穫がメーンだが、一部ではホウレンソウなどの葉物野菜を作る農家もあり、出荷シーズンのまっただ中だった。出荷制限を受け、「刈り取ったものは補助の畑に置いたり、刈り取っていないものはそのまま放置されている」(福島県農業振興課)状態だという。

 処分の手間が省け肥料にもなるため、一般的に、天候不良で傷んだりして売れない農作物は収穫せずにトラクターなどで畑にすき込んで土壌と混ぜ合わせる。だが、農林水産省は放射性物質が検出された野菜の廃棄方法について、「すき込みや焼却は望ましくない」と通知した。土にすき込む方法だと放射性物質が拡散する恐れがあるためだ。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故による汚染に詳しい四日市大非常勤講師の河田昌東氏は、農作物の表面や土壌の表層にとどまっている放射性セシウムなどが、地中の比較的深くまで入り込んでしまう可能性を指摘。放射性セシウムは量が半分になる半減期が約30年と長く、野菜がよく吸収してしまう特性もあるため、とくに注意が必要だという。

一方で、汚染レベルが低ければ、土にすき込んでも問題はない。河田氏によると、放射性セシウムは土壌に吸着されやすく、雨で染みこむことは少ない。チェルノブイリ原発事故の調査では10年後でも、汚染はほとんどの土の表面から5センチ程度にとどまっていたといい、汚染度が高くても表層から約10センチの土の入れ替えで十分だという。

 急がれるのは正確な汚染状況の確認だ。作付けが可能なのか。土壌の入れ替えが必要なレベルなのか。

 群馬県では20日、県産のホウレンソウなどから基準値を微量に上回る放射性物質が検出。しかし2回目以降の検査では基準値を下回っている。JA群馬中央会の関係者は「どの汚染レベルでどのような対応を取ったらいいのか…。既にすき込みをしてしまった農家もある」と対応に苦慮する。

 福島県の農業振興課は「どの水準だと農作業を続けるうえで安全な数値なのか。政府には早急に安全性の評価を示してほしい」と話している。
転載:http://news.livedoor.com/article/detail/5445511/?p=1
東京電力の清水正孝社長の顔が全然見えないのは、政治家たちに政治献金をタカられて忙しいからか?


◆「トップの顔の見える会社」という言葉が、一世を風靡したことがある。「いい会社と悪い会社」を区別するための重要な指標の1つに数え上げられてきた。最近では、農家や酪農家が、農産物や酪農製品に、自分の名前に顔写真を掲載したシールを貼って、消費者からの信頼を得ようと懸命な努力をしている。

 だが、東京電力はどうだろう。経営トップの清水正孝社長の顔が全然見えないのである。菅直人首相が、マスメディアの取材を極力避けようとしているのと、双璧を成している。清水正孝社長が姿を現さないワケについて、巷では様々に憶測しており、そのなかの傑作は、「菅直人首相が清水正孝社長を恐喝的に政治献金を巻き上げた話を聞いた民主党国会議員や労組幹部、左翼のゴロツキらが、相次いで押しかけているので、清水正孝社長は、その応対に忙しくて、表に出てくる暇がないのだろう」という訳知り顔の解説である。いかにももっともらしく、本当にあり得そうな解説である。

◆しかし、日テレNEWSが3月22日午後4時45分、「清水正孝東京電力社長、福島県知事に謝罪面会を拒否される」と報じていたのを思い出すと、清水正孝社長が、多くの国民に向かっては、顔を出して謝罪しようともしないのに、県知事という権力者のところには、自ら赴いて謝るのだと、その人間性のお粗末さに呆れざるを得ない。日テレNEWSは、こう報じていた。

 「福島第一原子力発電所の事故について、福島県知事の佐藤雄平氏は3月22日に東京電力の清水正孝社長の謝罪面会の申し入れを断ったことを明らかにしました。断った理由に対して、佐藤雄平知事は『一刻も早くこの事態を収束するのが先決と(社長の面会を)断った』と語っています。さらに佐藤雄平知事は、福島第一原発近くの海水から基準を上回る放射性物質が検出されたことに対して『風評被害が出ないよう正確な情報をいち早く出してほしい』と述べ東京電力に対し、正確な情報の提供を求めました。やはり、面会を拒否したのは、住民感情を考慮してのことなのでしょうか?」

 この日テレNEWSの真骨頂は、最後のところで、「面会を拒否したのは、住民感情を考慮してのことなのでしょうか?」と疑問符をつけて、怪しみながら結んでんでいるところにある。というのは、佐藤雄平知事が、東京電力と極めて親密な関係にあるからである。日テレNEWSの記者は、そのことを知っているからこそ、訝っているのである。

(佐藤雄平知事は、福島県南会津郡下郷町生まれで、福島県立田島高等学校、神奈川大学経済学部卒業。大学卒業後、叔父にあたる渡部恒三衆議院議員(元通産相=原発推進派=元衆議院副議長)の秘書を長らく務めている。1998年、参院議員選挙に無所属(民主党・社会民主党・公明党推薦)で福島県選挙区から出馬し、初当選を果たした。

 2004年の参院選挙で再選。2006年、佐藤栄佐久福島県知事(同じ民主党に属する玄葉光一郎衆議院議員の義父にあたる)の辞職に伴う福島県知事選挙に、参院議員を辞職して出馬。民主党、社会民主党の推薦を得て、自民党が擁立した弁護士の森雅子らを破り、当選した。

 2010年8月、東京電力が福島第1原子力発電所3号機(大熊町)で計画していたプルサーマル導入の受け入れを決定した。

 このプルサーマル受け入れ決定により、「核燃料リサイクル交付金」計60億円が福島県に交付されている。同年10月の福島県知事選挙では、政党からの推薦は受けなかったけれど、民主、社民両党の支援に加え、自民・公明両党の県連からの支援も受け、日本共産党公認の佐藤克朗を大差で破り再選を果たしている。

 東京電力は、プルサーマル導入推進派の政治家には、政治資金や選挙資金を惜しみなく注ぎ込むことで知られてきた。佐藤雄平知事が、その恩義をたっぷり受けてきたことは、十分にあり得る。それが、どうして、清水正孝社長の面会を断ったのか、不思議である。その答えについて、やはり巷では、「政治献金を増額せよと、謎をかけたのではないか」と憶測があちこちに飛びかっている。


◆これに対して、東京電力に群がる薄汚い政治家たちや福島第1原発の事故現場から遠く離れた安全地帯にいて、ぬくぬくとした生活をしている清水正孝社長ら経営首脳陣との大きな落差を感じさせる記事を朝日新聞が3月27日付け朝刊「社会面」(30面)で、「過酷労働もう限界、両親は不明…原発の東電社員がメール」という見出しをつけて「原発復旧現場」の「悲痛な声」を、以下のように掲載している。

 「東京電力の福島第二原子力発電所で働く女性社員が、東電本社の幹部に、現場の状況を電子メールで伝えてきた。事故を起こした企業の社員であり、被災者でもある立場の苦しさもつづっている。両親の行方はわからないという。(永田稔)

 メールを受けた幹部はかつて女性の上司として第二原発で働いていた。幹部からメール転送された東電関係者が、社員の名と所属を伏せて記者に見せた。関係者は『いまの状況で見せることが適切なのか迷ったが、社員の希望でもあり、現場の様子を知る参考にしてほしい』と話す。メールの送信日時は23日正午過ぎ。送り主は46歳の事務職の女性社員だ。次のような内容でつづられている。『1F(福島第一原発)、2F(第二原発)に働く所員の大半は地元の住民で、みんな被災者です。家を流された社員も大勢います。私自身、地震発生以来、緊急時対策本部に缶詰めになっています。個人的には、実家が(福島県)浪江町の海沿いにあるため、津波で町全体が流されました』『実家の両親は津波に流され未(いま)だに行方がわかりません。本当なら、すぐにでも飛んでいきたい。でも、退避指示が出ている区域で立ち入ることすらできません。自衛隊も捜索活動に行ってくれません。こんな精神状態の中での過酷な労働。もう限界です』福島第一、第二原発では、2010年7月時点で東電の社員約1850人、関連会社や原発メーカーなど協力企業の社員約9500人が働いている。東電によると、9割が福島県内在住で、そのうちの7~8割は原発周辺の双葉地域の住民。事故後は東電、協力企業の地元社員だけでなく、全国から集められた社員らが交代で作業している。『被災者である前に、東電社員としてみんな職務を全うしようと頑張ってます。特に2Fは、自分たちのプラントの安全性の確保の他に、1F復旧のサポートも同時にやっていた状況で、現場はまるで戦場のようでした。社員みんな心身共に極限まできています。どうかご理解下さい』『今回の地震は天災です。でも、原発による放射性物質の汚染は東電がこの地にあるせいです。みんな故郷を離れ、いつ戻れるかどうかもわからない状況で、不安を抱え怒りを誰にぶつけてよいのか分からない! それが今の現実です』社員は『この現実を社内外に届けてください』と伝え、本社の支援を求めている」
東電を真正面から見つめ、批判する記事を出すことは難しいことをネットユーザーは知っている。電事連には自民党系、電気系労組には民主党がそれぞれ付いている。又、東京大学はこれら電気カルテルから多額の寄付金を受け取っており、TVに出演する学者はつまり彼らの息がかかっているということだ。

TV・新聞も例外ではい。原爆投下以降日本は反核運動が盛んであった。その後、第五福竜丸の被曝事件により:wiki→(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%94%E7%A6%8F%E7%AB%9C%E4%B8%B8)反米感情に火を付けた。これにより米国は日本が共産圏に組み込まれることを恐れ、読売新聞の正力松太郎と手を組み日本に原発導入を行い、反核及び反米感情も払拭しようと試みた。正力松太郎のアメリカCIAでのコードネームは有名で『ポダム』と呼ばれた。彼らの巧みな戦略により日本国民は、原発は未来のエネルギー、クリーンでエコであるという洗脳に染まっていった。

あなたは自分を責めることもあるかもしれない。原子力発電により今の生活を享受してきたと考えるからだ。原発は被曝労働者なしでは存在できない仕組みになっている。被曝労働者の晩年は悲惨なものだ。体中が被曝によってボロボロになり、癌に侵されるからだ。其れを認めてこなかったのが日本政府、裁判所、マスコミ、そして電気カルテルだ。その末端にあなたは位置するだろう。

地球温暖化を防ぐ?原子力発電によって生み出される熱は火力発電の何倍の熱量であろうか。原発で生み出される電力はその3分の2を捨てなければならない程の膨大なエネルギーであり、熱なのだ。この為冷却用の海水は7t必要でそれを常に循環させることが必要となる。しかもその海水は微生物や不純物を消滅させるために強力な薬剤を使用する。これに加え、放射能がその水にも入り込む。其れを冷却に使用した後、海に放出するのだ。そしてその放出した海は温度が7℃上昇する。
地球温暖化防止?クリーンエネルギー?ふざけるな!

転載元http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/reports/kr79/kr79pdf/abstract-JF.pdf


チェルノブイリ原発事故による放射能影響に関する最近のトピックス
今中哲二
京都大学原子炉実験所
チェルノブイリ事故に関し、放射能放出量、汚染面積、被曝量、被曝リスクといった放射
能影響に関連する基本的な事項をまとめた。おおざっぱに見積もって、原子炉内にあったヨ
ウ素131 の50~60%、セシウム137 の30~50%が環境中に放出された。事故発生時の放射
能量で表すと、それぞれ4000~5000 万Ci と200~400 万Ci に相当する。ヨーロッパの13
カ国における、1平方km 当り1Ci 以上のセシウム137 汚染地域の総面積は、19 万平方km
に達している。もっとも大きな汚染を受けた3カ国(ベラルーシ、ウクライナ、ロシア)の
総人口に対する集団甲状腺被曝量は160 万人・Gy と推定されている。また、3カ国の主な
汚染地域に居住している516 万人に対する事故後10 年間の集団実効線量は4 万2600 人・
Sv と推定されている。これらの集団被曝量の値とICRP1990 年勧告に示されている放射線
リスク係数を用いると、1万3000 件の甲状腺ガンと2100 件のその他のガン死が、それぞ
れの集団において予測される。
本レポートの他の論文では以下のようなことが示されている。ベラルーシでは 2000 年末
までにすでに約4400 件の放射線誘発甲状腺ガンが観察された。また、汚染地域住民や事故
処理作業従事者の間で他のガンの増加傾向が認められた。汚染地域の子どもや胎内被曝を受
けた子どもにおいて、健康悪化や精神発達障害が観察された。こうした知見のすべては、チ
ェルノブイリ事故による健康影響の大きさやICRPのリスク係数の適用性について結論する
ためには、十分に組織された疫学研究が必要なことを示している。
1986 年6月1日段階でのチェルノブイリ周辺での放射線量率を示す地図を紹介する。そ
の放射線量率を用いて事故直後避難住民の被曝量を推定したところ、30km 圏内のいくつか
の村では、かなりの割合の住民において急性放射線症状があった可能性を確認した。
<2. p.11-27>
チェルノブイリ型原発:その特徴と事故原因
Mikhail V. MALKO
ベラルーシ科学アカデミー・原子力合同研究所
本報告では、チェルノブイリ型原発の主要な特徴と 1986 年4 月26 日に発生した事故の
原因について報告する。事故後に行われた科学的調査結果は、炉心設計の欠陥、安全設計規
則の無視、ならびに原子炉運転マニュアルの不備がチェルノブイリ事故の主要な原因であっ
たことを示している。さまざまな事故シナリオについて検討した結果、チェルノブイリ4号
炉では核爆発が起きた可能性が大きく、その爆発力はTNT火薬200 トン分と考えられる。
<3. p.28-44>
チェルノブイリ原発事故の原因とシナリオ、ならびに敷地周辺への放射能放出
Boris I. GORBACHEV
ウクライナ科学アカデミー・学際科学技術センター「シェルター」
チェルノブイリ事故の原因に関して、新旧データの検討に基づいて現実的なシナリオを考
案した。従来の公式見解と違って、新しいシナリオに基づくと、これまでうまく説明されな
かった事故時の状況や事故プロセスについて合理的な説明が可能となる。4号炉の運転員が
298
緊急停止ボタンAZ-5 を押したのは、炉心で最初の爆発が起きた後であった。それから、も
っと強力な第2の爆発があり、その振動がチェルノブイリ原発から100~180km 離れた3カ
所の地震計に記録された。また、これまでほとんど知られていない、4号炉建屋周辺への燃
料飛散データについても報告する。
<4. p.45-58>
崩壊したチェルノブイリ4号炉内の核燃料
Volodymyr M. PAVLOVYCH
ウクライナ科学アカデミー・核科学研究所
本報告では、崩壊したチェルノブイリ原発4号炉の核的安全性の問題と、「石棺」内の核
燃料の分布・存在量の問題とを検討する。石棺内に存在する核燃料の量と放出された量を決
定する方法を詳細に検討した。核燃料の存在に関連しては、炉心直下の305/2 室が核的にも
っとも危険な場所であり、そこに特別の注意を払った。これらの知見と核燃料含有物質サン
プルの分析結果を基に、核的安全性の計算を行い、仮想的条件下での事故連鎖反応のシナリ
オを検討した。そうした計算結果の一部を紹介する。
<5. p.59-73>
チェルノブイリ原発周辺地域における放射能汚染の解析
Alexander GAYDAR and Oleg NASVIT*
ウクライナ科学アカデミー・核科学研究所、*イノベーション研究実施企業“Stroom”
チェルノブイリ事故により大量の放射性物質が環境中に放出され、広大な地域に拡散した。
放射性物質の沈着がもっとも大きかったのは、チェルノブイリ原発に隣接する地域である。
本報告では、最新の技術を用いたサンプリングならびに測定が実施され、放射能汚染レベル
とその組成について信頼できるデータが膨大に得られているチェルノブイリ原発隣接地域
の放射能汚染調査について、これまでの調査の概要と最近の状況を紹介する。地形学統計解
析を用いたデータ処理によって、汚染レベルと組成の地域的傾向を明らかにし、セシウム137、
ストロンチウム90、アメリシウム241 およびプルトニウム同位体といった核種について詳
細な汚染地図を編集することが可能となった。超ウラン元素に対しては、核実験にともなう
地球規模汚染とチェルノブイリ由来の汚染を分別し、アメリシウム241 による将来の汚染地
図を予測した。
著者らによって開発された新しい地形情報技術は、放射能汚染の形成における地形学的要
因の解明を可能にしている。こうした地形学的アプローチを基に、高汚染地域の場所や形状
の特殊性を説明する試みを行った。
<6. p.74-85>
チェルノブイリ原発冷却池における放射能生態系の現状
Oleg NASVIT
イノベーション研究実施企業“Stroom”
チェルノブイリ原発冷却池における水中放射能モニタリングデータの解析結果は、セシウ
ム137 濃度の定期的な季節変動を示している。一方、ストロンチウム90 についてはそのよ
うな傾向は認められなかった。セシウム137 のこの変動現象は、微生物活動によって支配さ
れる、湖底土から水中へのセシウム137 移行の季節変化によるものであることが強く示唆さ
れた。水深の大きな湖底における汚泥中でのセシウム137 の深度分布分析もこの推測を支持
299
している。
2001 年8 月に実施した調査によって得られたデータは、供用停止間近である冷却池が、
放射能生態学的に安定した段階にあることを示している。冷却池の湖底土に蓄積されている
放射能量は、セシウム137、ストロンチウム90、アメリシウム241 について、それぞれ4,400、
650、18 Ci と推定されている。供用停止にともなって湖水面が自然レベルまで低下した場
合、セシウム137 の70%、ストロンチウム90 の50%、アメリシウム241 の80%が、水面
下にとどまるであろうと評価されている。冷却池に生息するさまざまな魚類、水生植物、貝
類の汚染データも紹介する。
<7. p.86-96>
ロシアの汚染地域におけるヨウ素131 汚染、甲状腺被曝量、甲状腺ガン
Valery F. STEPANENKO, Evgeny M. PARSHKOV, Viktor A. SOKOLOV, Mark Yu. ORLOV,
Alexander I. IVANNIKOV, Valery G. SKVORTSOV, Elena K. IASKOVA,
Timofey V. KOLIZSHENKOV, Irina G. KRYUKOVA, Anatoly F. TSYB
ロシア医学アカデミー・医学放射能研究センター
チェルノブイリ事故により約 1,800PBq のヨウ素131 が環境中に沈着した。ロシアで最も
汚染が大きかったのは、ブリャンスク州、ツーラ州ならびにオリョール州であった。ヨウ素
131 の約80%は事故後の最初の一週間で沈着した。この放射能の崩壊は早い(半減期約8
日)ので、沈着量の直接的な測定データは限られている。一方、長半減期であるセシウム137
については広汎な測定が実施されている。その結果、甲状腺被曝量を推定するために、ヨウ
素131 とセシウム137 の放射能比を用いて、ヨウ素131 の土壌沈着量を推定した。甲状腺
中のヨウ素131 を直接測定したデータと、土壌中のヨウ素131 とセシウム137 測定データ
を組み合わせて、甲状腺被曝量を評価するための経験式を考案し、1986 年にヨウ素131 が
測定されていない地域について適用した。
甲状腺中ヨウ素 131 の直接測定結果に基づく被曝量評価によると、甲状腺被曝量のメディ
アン値は、カルーガ州(7 地区)については子供で30mGy、大人で8mGy であった。ブリ
ャンスク州5 地区の大人に対するメディアン値は、30mGy から140mGy であった。セシウ
ム137 の汚染レベルが3.7 kBq/m2(0.1 Ci/km2)以上の地域における集団甲状腺被曝量は、
ブリャンスク、オリョール、ツーラ、カルーガの各州について、72,600、16,900、13,400
および3400 人・Gy であった。
最も汚染されたブリャンスク州で、事故のときに 0 歳から50 歳であった住民の1986 年
~2000 年における甲状腺ガン発生率データを紹介する。事故後の最初の5年(1986-1990)
は、年齢グループ別(0-4 歳、5-9 歳…)の甲状腺ガン発生率は安定していた。調査された
すべての年齢グループで1991 年から甲状腺ガンの着実な増加が始まった。ブリャンスク州
の最汚染4 地区での甲状腺ガン例(事故時0-18 歳)26 件について、半経験モデルを基に個
人線量を評価したところ、甲状腺ガン発生の被曝量への依存性が認められた。
<8. p.97-102>
ウクライナ・ジトーミル州ステパニフカ村の食品放射能汚染:1992 年と2001 年
Volodymyr TYKHYY
ウクライナ科学アカデミー・サイバネティックス研究所
チェルノブイリ事故よって汚染されたある村で、食品サンプルの放射能汚染測定を1992
年と2001 年に実施した。そのステパニフカ村はチェルノブイリ原発の西方120km にあり、
300
セシウム137 による地表汚染はその地域での典型的な値(3~5 Ci/km2)である。調査を行
ったのは、ウクライナのNGO「緑の世界」と国際ルネッサンス基金とによって設立された、
キエフ独立環境ラボである。
調査の結果、2001 年の牛乳中のセシウム137 濃度は、1992 年に比べ9 分の1 となってい
たが、野生のキノコやベリーの汚染は同じレベルにとどまっていた。食品と飲料水を通して
のステパニフカ村の人々の年間セシウム137 摂取量は、1992 年に比べ2001 年は約3 分の1
に減少していた。一方、セシウム137 の減少傾向と異なり、牛乳や乾燥ベリー中のストロン
チウム90 濃度は、1992 年に比べ2001 年は有意に大きかった。
<9. p.103-111>
ベラルーシ食品中のチェルノブイリ事故由来の放射性物質濃度
Vladimir P. MATSKO and Tetsuji IMANAKA*
ベラルーシ科学アカデミー・放射線生物学研究所、*京都大学原子炉実験所
ベラルーシの食品と飲料水について、チェルノブイリ事故由来の放射能汚染に関する最近
のデータをレビューした。ストロンチウム90 とセシウム137 が人々に内部被曝をもたらす
主要な核種である。公営農業部門(コルホーズ、農業組合)からの農産品の汚染レベルは、
内部被曝量が年間1mSv以下になるよう定められた現行の法的基準RAL-99 を概して下回っ
ている。一方、個人的農業部門における農産品では、RAL-99 を上まわる汚染がしばしば認
められ、なかでも、もっとも深刻な汚染をうけたゴメリ州の集落において顕著である。汚染
地域における畑以外からの食品、すなわちキノコ、ベリー、魚、野獣の肉については特別な
注意が必要である。たとえば、ゴメリ州のある集落では生キノコ1kg 当り約37,000Bq とい
うセシウム137 汚染が記録されており、この値はRAL-99 基準値の100 倍である。飲料水
についてはきわめて良好な状況にあり、この10 年間、RAL-99 を越える値は記録されてい
ない。
<10. p.112-122>
チェルノブイリ周辺における魚の放射能汚染の長期的観察
Igor N. RYABOV
ロシア科学アカデミー・エコロジー進化問題研究所
チェルノブイリ事故によって放射能汚染を受けたさまざまな水系に生息する漁獲対象魚
種について、セシウム137 蓄積量の変動を調査した。最も大きなセシウム137 濃度は、1986
年にチェルノブイリ原発冷却池の魚に記録された、生重量1kg 当り500kBq であった。この
15 年間すべての水系において魚の放射能レベルは低下しているが、その低下速度はさまざ
まである。食物連鎖の階層に依存した、セシウム137 蓄積の特性が観察されている。事故後
数ヶ月間は、キエフ貯水湖の非肉食魚種のセシウム137 濃度は、カワカマスの10 倍であっ
た。1987 年以降は、捕食魚種の濃度が非捕食魚種の2~3 倍となった。カワカマスやパーチ
といった魚が高濃度を示している。2001 年までに、魚のセシウム137 濃度は、冷却池で生
重量1kg 当り5kBq 以下に、テテレフ川で0.09kBq 以下に、キエフ貯水湖で0.5kBq 以下
となった。一方、チェルノブイリ原発から100~200km も離れているものの、ロシア・ブリ
ャンスク州やベラルーシ・モギリョフ州にあって、カリウムイオン濃度が低くよどんだ閉塞
性の湖では、高濃度のセシウム137 が継続している。生殖臓器の異常が捕食性魚種において
最も多く観察されている。
301
<11. p.123-141>
チェルノブイリ事故処理作業従事者のEPR による被曝量評価
Vadim CHUMAK
ウクライナ医学アカデミー・放射線医学研究センター
本報告では、歯エナメルの EPR を用いた被曝量評価に関して、ウクライナでの研究開発
と応用の現状を紹介する。ここで述べるEPR 被曝量評価の手順は、SCRM(放射線医学科
学センター)によって開発され、チェルノブイリ事故処理作業者(リクビダートル)の被曝
量を遡って評価するために実際に応用されている。SCRM では、オリジナルなESR 被曝量
評価手順をあみ出すとともに、見せかけ誤差要因の究明とその排除のために精力的に実験研
究を実施した。そうして考案されたEPR 被曝量評価手順は、高精度、高感度でかつ再現性
をもち、技術的実用性を備えている。SCRM のEPR 被曝量評価手順の高い品質は、一連の
国際比較測定を含めた品質保証プログラムによって証明されている。恒常的で全国的なネッ
トワークを確立して歯を収集することが、ウクライナにおいてEPR 被曝量評価を成功させ
るもうひとつのキーポイントとなっている。
チェルノブイリ被災者への医療支援において、EPR 被曝量評価を応用するための最適な
方法について述べる。ウクライナにおける主要な用途は、事故処理作業者の被曝量を高精度
で評価することと、EPR によって得られた値を他の被曝量評価方法によって得られた値の
基準値として用いることである。後者は、チェルノブイリ事故に対するEPR 被曝量評価手
法のもっとも効果的な活用である。EPR 線量評価は、FISH、ADR、SEAD、RADRUE と
いった遡及的被曝量評価方法の確かさを検証するために使われている。EPR 被曝量評価は
現在、チェルノブイリ被災者の医学的追跡において必須の役割を果たしている。
<12. p.142-151>
ロシアの放射能汚染地域住民の歯エナメルEPR 測定を用いた遡及的被曝量評価
Alexandre I. IVANNIKOV, Valeri G. SKVORTSOV, Valeri F. STEPANENKO
ロシア医学アカデミー・医学放射能研究センター
ロシア・ブリャンスク州の放射能汚染地域住民を対象に、歯エナメルの EPR スペクトル
測定を用いて実施した大規模な被曝量評価結果を報告する。対照グループには、隣接するカ
ルーガ州の非汚染地域住民を選んだ。放射能汚染にともなう過剰な放射線被曝量は、自然放
射線バックグランドによる歯の年齢分のEPR シグナルへの寄与を差し引いて決定した。汚
染地域ごとに住民の平均被曝量を求めた。平均被曝量の誤差は、検査対象人数と個人的な結
果のバラツキに応じて、4 から25mGy であった。平均被曝量は地域によって大きく変動し、
最大で70mGy であった。歯エナメルEPR スペクトルによる平均外部被曝量の値は、直接
的な被曝量測定値や他の遡及的被曝量評価値と概して一致した。グループ内の何人かには、
平均被曝量を大きく上回る被曝が認められた。このことは、歯エナメルのEPR 測定を用い
て、大きな被曝をうけた住民を見出し、放射線リスクの大きい医学的モニタリング対象グル
ープに含めることが可能であることを示している。
<13. p.152-159>
ベラルーシの汚染地域住民に対する放射線リスクの評価
Vladimir A. KNATKO, Mikail M. KOMOCHKOV*, Alla E. YANUSH
ベラルーシ科学アカデミー・放射線生物学研究所、*ロシア合同核研究所
302
ベラルーシの汚染地域に居住する大人について、チェルノブイリ事故後の異なる期間の集
積被曝量を評価した。1986 年から2001 年の間の平均集積被曝量は、南部汚染地域と東部汚
染地域でそれぞれ50mSv と39mSv と評価された。得られた被曝量データを用いて、最近
の放射線生物学の研究に基づいて考案された2重防護モデル(TDR)によって、汚染地域の
大人に対するガン死の相対過剰リスクを求めた。その結果、チェルノブイリ事故によるガン
死の相対過剰リスクは生涯で5-6%となった。この値を、国際放射線防護委員会1990 年
勧告に基づく値と比較してみると、TDR モデルの値の方が約6 倍大きかった。
<14. p.160-167>
ヨウ素131 吸入によるベラルーシ汚染地域住民の甲状腺被曝量
Vladimir A. KNATKO and Inga N. DOROZHOK
ベラルーシ科学アカデミー・放射線生物学研究所
土壌サンプルにおける 131I と137Cs の関係と、各集落における137Cs 汚染データとを用い
て、ベラルーシの東部汚染地域と南部汚染地域の各集落(1,079 カ所と316 カ所)での131I
の沈着密度を推定した。その結果によると、131I 沈着密度の90%範囲は、東部汚染地域で
500~2,300 kBq/m2、南部汚染地域で700~3,500 kBq/m2 であった。131I の沈着密度を用い
て、それぞれの地域での放射能沈着の時期と特徴を考慮しながら、131I 吸入にともなう甲状
腺被曝量を求めた。吸入にともなう大人の平均甲状腺被曝量は、東部汚染地域で3 から
80mSv、南部汚染地域で40 から370mSv となり、それぞれの中央値は、20mSv と130mSv
となった。評価手法にともなう甲状腺被曝量の不確かさについても考察した。
<15. p.168-187>
ロシア全国医学被曝登録に基づく疫学研究:チェルノブイリ事故処理作業者に
観察されたガン影響と非ガン影響
Marat M. MAKSIOUTOV
ロシア医学アカデミー・医学放射能研究センター、国家放射線疫学登録
1986 年6 月、ソ連保健省は放射線被曝者全ソ登録という大規模なプログラムを開始した。
オブニンスク市のロシア医学アカデミー・医学放射能研究所(現在のロシア医学アカデミ
ー・医学放射能研究センター)が、登録プログラムの創設と管理を行う中心組織に指定され
た。国家登録の課題は2つであった。第1に、チェルノブイリ事故にともなう健康影響を評
価し、その影響を緩和するための最適な戦略を考案すること、第2に、放射線被曝にともな
う実際のリスクを評価するための長期的な疫学研究を組織することであった。2001 年12 月
現在、ロシア全国医学被曝登録(RNMDR)は、ロシア領内に居住するチェルノブイリ事故
被災者58 万5121 人の医療ならびに被曝データをもっている。そのうち、事故処理作業者
は18 万7596 人(登録の32.1%)である。
本論文では、RNMDR に含まれる事故処理作業者集団の医学的および被曝量データを解析
した結果を示す。放射線被曝にともなうガン影響と非ガン影響についてとくに留意した。
ICRP によって勧告されている放射線被曝リスクは主として1945 年の広島・長崎の被爆生
存者集団(LSS コホート)の疫学調査に基づいている。統計的に有意な日本の被爆者集団の
被曝リスク係数は、0.3Sv 以上の個人被曝量範囲から得られている。低被曝量域(0.2Sv ま
で)については、外挿に基づいているだけで、疫学的に直接的に確認されたものではない。
したがって、RNMDR は、事故処理作業者集団に対する医学的ならびに被曝の情報を基に、
低被曝量のリスクを明らかにできる最初の研究である。
303
本報告は、以下の5つの章で構成される。第1章は、RNMDR の組織と概要を述べ、事故
処理作業者集団の特徴を述べる。第2章から第4章では、国家登録の実際のデータに基づい
て、放射線リスクを推定するための研究を示す。白血病と固形ガン、ならびに非ガン疾病に
ついて、事故処理作業者での発生率に基づく放射線リスクについて議論する。最後の第5章
では、事故処理作業者の死亡率を扱い、放射線被曝との関係を示す。本報告の内容は、国家
登録の専門家によってまとめられ、これまでに著名なロシアと国際的科学雑誌に発表された
論文に基づいている。
<16. p.188-201>
チェルノブイリ事故によるウクライナ住民への医学的影響研究によって
得られた疫学的知見
Anatoly Ye. PRYSYAZHNYUK, Volodymir G. GRISHTSHENKO, Zoya P. FEDORENKO*,
Ludmila O. GULAK*, Mykola M. FUZIK
ウクライナ医学アカデミー・放射線医学研究センター
*ウクライナ医学アカデミー・腫瘍研究所
チェルノブイリ事故による被害をうけた、さまざまなウクライナ人集団の健康状況を明ら
かにすることは、事故被害低減にあたってもっとも重要な問題のひとつである。健康影響や
チェルノブイリ被災者の登録データに基づく多くの科学的研究が、事故処理作業従事者、プ
リリャチ市や30km 圏からの避難住民、放射能汚染地域住民といった被災者集団の健康悪化
を示している。チェルノブイリ事故によるもっとも顕著な確率的影響は、これらのウクライ
ナ人集団での甲状腺ガン増加として現われている。また、女性の乳ガンと、その他のいくつ
かの固形ガンについても増加が示唆されている。確率的ならびに非確率的影響について今後
の長期的な調査が必要である。
<17. p.202-230>
チェルノブイリ事故によって胎内で急性被曝をうけた子供たちの知性と脳障害
Angelina I. NYAGU, Konstantin N. LOGANOVSKY, Tatiana K. LOGANOVSKAJA,
Viktor S. REPIN*, Stanislav Yu. NECHAEV*
ウクライナ医学アカデミー・放射線医学研究センター、放射能臨床研
*ウクライナ医学アカデミー・放射線医学研究センター、放射能障害予防疫学研
本研究の目的は、胎内において急性的な被曝をうけた子供たちの精神的、神経生理的、神経
精神的状態を明らかにすることである。チェルノブイリ事故の際に胎内被曝をうけて母親とと
もにキエフへ移住してきた子供100 人(1986 年4 月26 日から1987 年2 月26 日の間に出生)
をランダムに選び、彼らのクラスメート100 人を対照グループに選んで調査した。調査項目
は、Wechsler 子供知能指数(WISC)、脳電流グラフ(EEG)、ならびに臨床検査である。被
曝グループの胎児被曝量は11-92mSv で、対照グループでは0-3mSv であった。また甲状腺被
曝量はそれぞれ、0.2-2Gy と0-0.04Gy であった。被曝グループの平均言語的IQ はコント
ロールグループより低く(105.3±13.1 対 118.1±13; p < .001) 、平均全スケールIQ もコント
ロールより低かった (112.1±15.4 対 120.9±11.5; p < .001)。被曝グループではさらに、次の
ようなことが観測された。言語能力低下をともなうWISC 実行・言語指数の不一致、低電圧・
高周波のEEG パターンと左脳機能低下の頻度増加、δ波とβ波の増加(p<0.001)とθ波と
α波の低下(p<0.001)、発作的で器質的な精神障害頻度の増加、身体的自律神経異常、精神
304
の発達障害、挙動および情緒障害である。大脳の機能障害は病因的にさまざまであった。本研
究は、0.2~2Gy の胎内甲状腺被曝ならびに11~92mSv の胎児被曝が検出可能な大脳障害を
もたらすことを示している。
<18. p.231-239>
チェルノブイリ事故に被災したベラルーシの子供たちの健康状態:事故から16年
Alexander N. ARYNCHYN, Tatiana V. AVHACHEVA, Nika A. GRES,
Ekaterina I. SLOBOZHANINA*
ベラルーシ保健省・放射線医学内分泌学臨床研究所
*ベラルーシ科学アカデミー・光生物学研究所
チェルノブイリ事故により被災したベラルーシの子供たちの健康状態を調査するため、前
向きの固定集団調査を実施した。被曝グループは放射能汚染地域にずっと居住している133
人の子供で、対照グループは自然放射線だけの地域に住んでいる186 人の子供である。調査
期間中、被曝グループが余分に受けた年間実効線量は0.13~2.24mSv であった。両グルー
プのすべての子供は、1990 年~2001 年の間に少なくとも2回の臨床検査をうけた。鉛、カ
ドミウム、水銀といった重金属の尿中濃度も測定した。臨床検査の結果は、両グループにお
いて、自覚症状や臨床的症状が時間とともに増加していることを示している。自律神経系失
調症にともなう心臓循環器系疾患と消化器系疾患の増加がもっとも顕著であった。1回目と
2回目の両方の臨床検査において、すべての病理症状で、被曝グループでの頻度が対照グル
ープよりも大きかった。被曝グループにおける大きな相対リスクが、低血圧症(1回目と2
回目でそれぞれRR=2.21 と3.73)ならびに心臓疾患(RR=4.66 と3.33)で認められた。
ベラルーシの子供たちの健康悪化は、環境要因によって増加している病気に対して緊急の予
防対策を行う必要性を示している。
<19. p.240-255>
チェルノブイリ事故によるベラルーシでの甲状腺ガン
Mikhail V. MALKO
ベラルーシ科学アカデミー・原子力合同研究所
ベラルーシにおける甲状腺ガンの発生率と死亡率の評価を行った。1987 年から2000 年の
間にベラルーシでは放射線被曝によって約4400 件の甲状腺ガンが発生し、そのうち692 件
が子供の甲状腺ガンで、3709 件が青年・大人の甲状腺ガンであった。そのうち致死的な甲
状腺ガンは約350 件であった。甲状腺ガン発生率と集団甲状腺被曝量から求めた、甲状腺ガ
ン発生の絶対過剰リスク(EAR)は、1万人・年・Gy 当り2.5~5.0 件となった。甲状腺ガ
ン死のEAR は、1万人・年・Gy 当り0.20~0.40 件であった。一方、甲状腺ガン発生の相
対過剰リスク(ERR)は、1Gy 当り11.2~22.4 となった。本報告で明らかとなった甲状腺
ガンリスクは、チェルノブイリ事故被災者に比べ数1000 倍も大きな被曝量率で放射線をう
けた原爆被爆生存者を基に得られた値より大きい。顕著な潜伏期間が認められていないこと
も、チェルノブイリ事故によるベラルーシの甲状腺ガンのもうひとつの特徴である。
<20. p.256-267>
放射線被曝事故によるヒトリンパ球染色体異常の解析
Galina SNIGIRYOVA and Vladimir SHEVCHENKO*
ロシア保健省・レントゲン放射能学科学センター,
305
*ロシア科学アカデミー・一般遺伝学研究所
目的:チェルノブイリ事故処理作業従事者(リクビダートル)の細胞遺伝学的検査を行い、
染色体異常の頻度に基づいて被曝量を遡及的に評価すること。
材料と方法:主として1986 年と1987 年にチェルノブイリ事故ゾーンで作業にあたった1500
人以上のリクビダートルを対象に1986 年から検査を行った。すべての対象者を、不安定型
染色体異常を調べる従来の細胞遺伝学的手法を用いて検査した。また、クルチャトフ研の専
門家12 人を含む64 人については、対称転座を調べることが可能なFISH 法で検査した。
結果:1986 年の検査結果では、リクビダートル集団における2動原体頻度が対照集団に比
べ16 倍も大きかった。その後、その頻度は顕著に減少した。しかしながら、事故から15
年後においても、リクビダートル集団の2動原体染色体異常頻度は対照集団に比べ有意に大
きかった。2動原体の頻度と被曝量・効果関係の校正曲線データを用いて、1986 年に検査
したリクビダートルの被曝量を推定した。平均被曝量は0.14Gy であった。転座を調べた52
人のリクビダートルでの平均被曝量は0.16Gy であった。対照集団に比べ大きな転座頻度を
示した18 人の個人被曝量推定値は、0.22Gy から1.0Gy の間であった。
1996 年に、22 人のクルチャトフ研究所の専門家を検査した。大部分(13 人)において、
末梢血液中リンパ球の2動原体頻度が対照集団値に比べ有意に増加していた。5人の被検査
者では、複数の染色体異常を含む細胞が認められた。3人は、とりわけ大きな被曝を受けて
おり、その2動原体染色体頻度は、対照集団の100~1000 倍であった。転座データに基づ
く、5人のクルチャトフ研専門家の被曝量は0.21~2.51Gy であった。これらの被曝量推定
値には、さまざまな被曝量率で数年間にわたって被曝を受けたことに対する修正を考慮に入
れていない。これらのことを考慮に入れるならば、推定被曝量はもっと大きくなるであろう。
結論:細胞遺伝学的手法は、細胞の遺伝的構造を明らかにするのに十分な感度を備えて
いる。不安定型染色体異常の分析は、原子力事故にともなう多数の放射線被曝者をモニ
タリングするにあたって不可欠な方法である。細胞遺伝学的検査データは、さまざまな
疾病に対するリスク増加集団を決定する上で重要な指標となりうる。FISH 法による安
定的転座の分析は、生物学的被曝量評価において、今後もっとも期待される手法のひと
つである。転座頻度に基づく被曝量の検出限界値は、20~25cGy である。
<21. p.268-276>
チェルノブイリ事故処理作業者における染色体異常の追跡調査
Natalia M. SLOZINA and Elizaveta G. NERONOVA
ロシア緊急事態省・全ロ緊急放射線医療センター
1986 年から1989 年にかけてチェルノブイリ事故処理作業に従事した359 人を対象に
細胞遺伝学的検査を実施した。検査時期は被曝をうけてから6年から12 年後にわたっ
ている。事故処理作業従事者において、断片対、2動原体、環状染色体といった染色体
型異常の頻度が、対照グループに比べ有意に増加していた。染色分体型交換は、事故処
理作業従事者にのみ認められた。1986 年に作業に従事した243 人を対象に、被曝マー
カーの経年的変化を調べた。2動原体頻度の経年変化は、被曝後8年から12 年にかけ
て増加を示すという、説明しがたい傾向を示した。さまざまなタイプの染色体異常頻度
と、喫煙、コーヒー、アルコール消費量などといった生活習慣要因との相関性を、ステ
ップ型多重因子回帰法で解析した。統計的に有意な相関性は、喫煙と染色分体型異常に
のみ認められ、事故処理作業従事者のうち、喫煙者サブグループでの頻度が非喫煙サブ
306
グループより大きかった。被曝からかなり後の時期においても不安定型染色体異常の頻
度が増加していることは、被曝の直接的作用に加えて、別の遺伝学的負荷の存在を想定
させるものである。
<22. p.277-286>
チェルノブイリ原発30km 圏無人ゾーン居住者の血液リンパ球染色体異常
Larysa BEZDROBNA, Tetyana TSYGANOK, Olena ROMANOVA, Larysa TARASENKO,
Volodymyr TRYSHYN, Ludmila KLIMKINA
ウクライナ科学アカデミー・核研究所
1998 年から1999 年にかけて、チェルノブイリ原発30km 圏無人ゾーンの自発的居住者
33 人と、キエフ州ヤホティン地区の住民31 人を対象に、細胞遺伝学的比較調査を実施した。
それぞれの居住区域におけるセシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム238,239+240
の地面汚染密度は、前者においてそれぞれ74–477 kBq/m2、33–288 kBq/m2、1.5–10.0
kBq/m2 で、後者においてそれぞれ1.9–5.8 kBq/m2、0.6–2.8 kBq/m2、0.01–0.05 kBq/m2
であった。無人ゾーンの放射線状況に関するさまざまなデータに基づいて、事故後の居住期
間全体にわたる自発的居住者の全身実効線量は30-333mSv と評価された。無人ゾーン自
発的居住者の染色体異常細胞頻度と染色体異常頻度の平均値は、ヤホティン地区住民にくら
べ有意に大きかった。同時に、ヤホティン地区住民の値は、文献に示されている自然発生レ
ベルよりも大きかった。染色体異常の個人的バラツキは、無人ゾーン居住者の方がヤホティ
ン地区住民に比べ有意に大きかった。両グループは、細胞当り染色体異常数の分布において
も異なっていた。無人ゾーン居住者20 人について2001 年に再検査を実施したところ、染
色体型染色体異常の有意な減少が認められたが、それは主として染色体断片頻度の減少によ
るものであった。しかしながら、染色体異常全体の頻度は1998-99 年と2001 年では変化は
認められなかった。
<23. p.287-296>
事故後の数年においてチェルノブイリ地域で観察された農作物に対する
放射線の細胞遺伝学的影響
Stanislav A. GERASKIN, Vladimir G. DIKAREV, Yevgenia Ya. ZYABLITSKAYA,
Alla A. OUDALOVA, Yevgeniy V. SPIRIN
ロシア農学アカデミー・農業放射能学農業生態学センター
1986 年のチェルノブイリ原発事故にともなう放射能汚染の農作物への細胞遺伝学的影響
を調査した。外部からのβ線とγ線が中心であった事故後の急性期(1986 年)には、細胞
遺伝学の基礎実験が示すのと同様な、急性γ線照射にともなう効果が認められた。(被曝線
量が低く慢性的となった)1987 年~1989 年には、チェルノブイリ原発周辺10km の植物の
葉の分裂組織での細胞遺伝学的異常が、汚染レベルに依存して増加した。細胞遺伝学的損傷
の減少は、放射線被曝の減少よりかなり遅れて現われた。3世代にわたるライ麦と小麦を観
察して遺伝的な影響を調べたところ、第2世代と第3世代において慢性的放射線照射に対す
る細胞遺伝学的損傷の感受性が増加した。

http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html


廃炉も解体も出来ない原発い
 一九六六年に、日本で初めてイギリスから輸入した十六万キロワットの営業用原子炉が茨城県の東海村で稼動しました。その後はアメリカから輸入した原発で、途中で自前で造るようになりましたが、今では、この狭い日本に一三五万キロワットというような巨大な原発を含めて五一の原発が運転されています。

 具体的な廃炉・解体や廃棄物のことなど考えないままに動かし始めた原発ですが、厚い鉄でできた原子炉も大量の放射能をあびるとボロボロになるんです。だから、最初、耐用年数は十年だと言っていて、十年で廃炉、解体する予定でいました。しかし、一九八一年に十年たった東京電力の福島原発の一号機で、当初考えていたような廃炉・解体が全然出来ないことが分かりました。このことは国会でも原子炉は核反応に耐えられないと、問題になりました。

 この時、私も加わってこの原子炉の廃炉、解体についてどうするか、毎日のように、ああでもない、こうでもないと検討をしたのですが、放射能だらけの原発を無理やりに廃炉、解体しようとしても、造るときの何倍ものお金がかかることや、どうしても大量の被曝が避けられないことなど、どうしようもないことが分かったのです。原子炉のすぐ下の方では、決められた線量を守ろうとすると、たった十数秒くらいしかいられないんですから。

 机の上では、何でもできますが、実際には人の手でやらなければならないのですから、とんでもない被曝を伴うわけです。ですから、放射能がゼロにならないと、何にもできないのです。放射能がある限り廃炉、解体は不可能なのです。人間にできなければロボットでという人もいます。でも、研究はしていますが、ロボットが放射能で狂ってしまって使えないのです。

 結局、福島の原発では、廃炉にすることができないというので、原発を売り込んだアメリカのメーカーが自分の国から作業者を送り込み、日本では到底考えられない程の大量の被曝をさせて、原子炉の修理をしたのです。今でもその原発は動いています。

 最初に耐用年数が十年といわれていた原発が、もう三〇年近く動いています。そんな原発が十一もある。くたびれてヨタヨタになっても動かし続けていて、私は心配でたまりません。

 また、神奈川県の川崎にある武蔵工大の原子炉はたった一〇〇キロワットの研究炉ですが、これも放射能漏れを起こして止まっています。机上の計算では、修理に二〇億円、廃炉にするには六〇億円もかかるそうですが、大学の年間予算に相当するお金をかけても廃炉にはできないのです。まず停止して放射能がなくなるまで管理するしかないのです。

 それが一〇〇万キロワットというような大きな原発ですと、本当にどうしようもありません。

「閉鎖」して、監視・管理
 なぜ、原発は廃炉や解体ができないのでしょうか。それは、原発は水と蒸気で運転されているものなので、運転を止めてそのままに放置しておくと、すぐサビが来てボロボロになって、穴が開いて放射能が漏れてくるからです。原発は核燃料を入れて一回でも運転すると、放射能だらけになって、止めたままにしておくことも、廃炉、解体することもできないものになってしまうのです。

 先進各国で、閉鎖した原発は数多くあります。廃炉、解体ができないので、みんな「閉鎖」なんです。閉鎖とは発電を止めて、核燃料を取り出しておくことですが、ここからが大変です。

 放射能まみれになってしまった原発は、発電している時と同じように、水を入れて動かし続けなければなりません。水の圧力で配管が薄くなったり、部品の具合が悪くなったりしますから、定検もしてそういう所の補修をし、放射能が外に漏れださないようにしなければなりません。放射能が無くなるまで、発電しているときと同じように監視し、管理をし続けなければならないのです。 

 今、運転中が五一、建設中が三、全部で五四の原発が日本列島を取り巻いています。これ以上運転を続けると、余りにも危険な原発もいくつかあります。この他に大学や会社の研究用の原子炉もありますから、日本には今、小さいのは一〇〇キロワット、大きいのは一三五万キロワット、大小合わせて七六もの原子炉があることになります。

 しかし、日本の電力会社が、電気を作らない、金儲けにならない閉鎖した原発を本気で監視し続けるか大変疑問です。それなのに、さらに、新規立地や増設を行おうとしています。その中には、東海地震のことで心配な浜岡に五機目の増設をしようとしていたり、福島ではサッカー場と引換えにした増設もあります。新設では新潟の巻町や三重の芦浜、山口の上関、石川の珠洲、青森の大間や東通などいくつもあります。それで、二〇一〇年には七〇~八〇基にしようと。実際、言葉は悪いですが、この国は狂っているとしか思えません。

 これから先、必ずやってくる原発の閉鎖、これは本当に大変深刻な問題です。近い将来、閉鎖された原発が日本国中いたるところに出現する。これは不安というより、不気味です。ゾーとするのは、私だけでしょうか。

どうしようもない放射性廃棄物
 それから、原発を運転すると必ず出る核のゴミ、毎日、出ています。低レベル放射性廃棄物、名前は低レベルですが、中にはこのドラム缶の側に五時間もいたら、致死量の被曝をするようなものもあります。そんなものが全国の原発で約八〇万本以上溜まっています。

 日本が原発を始めてから一九六九年までは、どこの原発でも核のゴミはドラム缶に詰めて、近くの海に捨てていました。その頃はそれが当たり前だったのです。私が茨城県の東海原発にいた時、業者はドラム缶をトラックで運んでから、船に乗せて、千葉の沖に捨てに行っていました。

 しかし、私が原発はちょっとおかしいぞと思ったのは、このことからでした。海に捨てたドラム缶は一年も経つと腐ってしまうのに、中の放射性のゴミはどうなるのだろうか、魚はどうなるのだろうかと思ったのがはじめでした。

 現在は原発のゴミは、青森の六ケ所村へ持って行っています。全部で三百万本のドラム缶をこれから三百年間管理すると言っていますが、一体、三百年ももつドラム缶があるのか、廃棄物業者が三百年間も続くのかどうか。どうなりますか。

 もう一つの高レベル廃棄物、これは使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出した後に残った放射性廃棄物です。日本はイギリスとフランスの会社に再処理を頼んでいます。去年(一九九五年)フランスから、二八本の高レベル廃棄物として返ってきました。これはどろどろの高レベル廃棄物をガラスと一緒に固めて、金属容器に入れたものです。この容器の側に二分間いると死んでしまうほどの放射線を出すそうですが、これを一時的に青森県の六ケ所村に置いて、三〇年から五〇年間くらい冷やし続け、その後、どこか他の場所に持って行って、地中深く埋める予定だといっていますが、予定地は全く決まっていません。余所の国でも計画だけはあっても、実際にこの高レベル廃棄物を処分した国はありません。みんな困っています。

 原発自体についても、国は止めてから五年か十年間、密閉管理してから、粉々にくだいてドラム缶に入れて、原発の敷地内に埋めるなどとのんきなことを言っていますが、それでも一基で数万トンくらいの放射能まみれの廃材が出るんですよ。生活のゴミでさえ、捨てる所がないのに、一体どうしようというんでしょうか。とにかく日本中が核のゴミだらけになる事は目に見えています。早くなんとかしないといけないんじゃないでしょうか。それには一日も早く、原発を止めるしかなんですよ。

 私が五年程前に、北海道で話をしていた時、「放射能のゴミを五〇年、三百年監視続ける」と言ったら、中学生の女の子が、手を挙げて、「お聞きしていいですか。今、廃棄物を五〇年、三百年監視するといいましたが、今の大人がするんですか? そうじゃないでしょう。次の私たちの世代、また、その次の世代がするんじゃないんですか。だけど、私たちはいやだ」と叫ぶように言いました。この子に返事の出来る大人はいますか。

 それに、五〇年とか三百年とかいうと、それだけ経てばいいんだというふうに聞こえますが、そうじゃありません。原発が動いている限り、終わりのない永遠の五〇年であり、三百年だということです。

住民の被曝と恐ろしい差別
 日本の原発は今までは放射能を一切出していませんと、何十年もウソをついてきた。でもそういうウソがつけなくなったのです。

 原発にある高い排気塔からは、放射能が出ています。出ているんではなくて、出しているんですが、二四時間放射能を出していますから、その周辺に住んでいる人たちは、一日中、放射能をあびて被曝しているのです。

ある女性から手紙が来ました。二三歳です。便箋に涙の跡がにじんでいました。「東京で就職して恋愛し、結婚が決まって、結納も交わしました。ところが突然相手から婚約を解消されてしまったのです。相手の人は、君には何にも悪い所はない、自分も一緒になりたいと思っている。でも、親たちから、あなたが福井県の敦賀で十数年間育っている。原発の周辺では白血病の子どもが生まれる確率が高いという。白血病の孫の顔はふびんで見たくない。だから結婚するのはやめてくれ、といわれたからと。私が何か悪いことしましたか」と書いてありました。この娘さんに何の罪がありますか。こういう話が方々で起きています。

 この話は原発現地の話ではない、東京で起きた話なんですよ、東京で。皆さんは、原発で働いていた男性と自分の娘とか、この女性のように、原発の近くで育った娘さんと自分の息子とかの結婚を心から喜べますか。若い人も、そういう人と恋愛するかも知れないですから、まったく人ごとではないんです。 こういう差別の話は、言えば差別になる。でも言わなければ分からないことなんです。原発に反対している人も、原発は事故や故障が怖いだけではない、こういうことが起きるから原発はいやなんだと言って欲しいと思います。原発は事故だけではなしに、人の心まで壊しているのですから。

私、子ども生んでも大丈夫ですか。たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ。
 最後に、私自身が大変ショックを受けた話ですが、北海道の泊原発の隣の共和町で、教職員組合主催の講演をしていた時のお話をします。どこへ行っても、必ずこのお話はしています。あとの話は全部忘れてくださっても結構ですが、この話だけはぜひ覚えておいてください。

その講演会は夜の集まりでしたが、父母と教職員が半々くらいで、およそ三百人くらいの人が来ていました。その中には中学生や高校生もいました。原発は今の大人の問題ではない、私たち子どもの問題だからと聞きに来ていたのです。

 話が一通り終わったので、私が質問はありませんかというと、中学二年の女の子が泣きながら手を挙げて、こういうことを言いました。 

 「今夜この会場に集まっている大人たちは、大ウソつきのええかっこしばっかりだ。私はその顔を見に来たんだ。どんな顔をして来ているのかと。今の大人たち、特にここにいる大人たちは農薬問題、ゴルフ場問題、原発問題、何かと言えば子どもたちのためにと言って、運動するふりばかりしている。私は泊原発のすぐ近くの共和町に住んで、二四時間被曝している。原子力発電所の周辺、イギリスのセラフィールドで白血病の子どもが生まれる確率が高いというのは、本を読んで知っている。私も女の子です。年頃になったら結婚もするでしょう。私、子ども生んでも大丈夫なんですか?」と、泣きながら三百人の大人たちに聞いているのです。でも、誰も答えてあげられない。

 「原発がそんなに大変なものなら、今頃でなくて、なぜ最初に造るときに一生懸命反対してくれなかったのか。まして、ここに来ている大人たちは、二号機も造らせたじゃないのか。たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ」と。ちょうど、泊原発の二号機が試運転に入った時だったんです。

 「何で、今になってこういう集会しているのか分からない。私が大人で子どもがいたら、命懸けで体を張ってでも原発を止めている」と言う。

 「二基目が出来て、今までの倍私は放射能を浴びている。でも私は北海道から逃げない」って、泣きながら訴えました。

 私が「そういう悩みをお母さんや先生に話したことがあるの」と聞きましたら、「この会場には先生やお母さんも来ている、でも、話したことはない」と言います。「女の子同志ではいつもその話をしている。結婚もできない、子どもも産めない」って。

 担任の先生たちも、今の生徒たちがそういう悩みを抱えていることを少しも知らなかったそうです。

 これは決して、原子力防災の八キロとか十キロの問題ではない、五十キロ、一〇〇キロ圏でそういうことがいっぱい起きているのです。そういう悩みを今の中学生、高校生が持っていることを絶えず知っていてほしいのです。

原発がある限り、安心できない
 みなさんには、ここまでのことから、原発がどんなものか分かってもらえたと思います。

 チェルノブイリで原発の大事故が起きて、原発は怖いなーと思った人も多かったと思います。でも、「原発が止まったら、電気が無くなって困る」と、特に都会の人は原発から遠いですから、少々怖くても仕方がないと、そう考えている人は多いんじゃないでしょうか。

 でも、それは国や電力会社が「原発は核の平和利用です」「日本の原発は絶対に事故を起こしません。安全だから安心しなさい」「日本には資源がないから、原発は絶対に必要なんですよ」と、大金をかけて宣伝をしている結果なんです。もんじゅの事故のように、本当のことはずーっと隠しています。

 原発は確かに電気を作っています。しかし、私が二〇年間働いて、この目で見たり、この体で経験したことは、原発は働く人を絶対に被曝させなければ動かないものだということです。それに、原発を造るときから、地域の人達は賛成だ、反対だと割れて、心をズタズタにされる。出来たら出来たで、被曝させられ、何の罪もないのに差別されて苦しんでいるんです。

 みなさんは、原発が事故を起こしたら怖いのは知っている。だったら、事故さえ起こさなければいいのか。平和利用なのかと。そうじゃないでしょう。私のような話、働く人が被曝して死んでいったり、地域の人が苦しんでいる限り、原発は平和利用なんかではないんです。それに、安全なことと安心だということは違うんです。原発がある限り安心できないのですから。

 それから、今は電気を作っているように見えても、何万年も管理しなければならない核のゴミに、膨大な電気や石油がいるのです。それは、今作っている以上のエネルギーになることは間違いないんですよ。それに、その核のゴミや閉鎖した原発を管理するのは、私たちの子孫なのです。

 そんな原発が、どうして平和利用だなんて言えますか。だから、私は何度も言いますが、原発は絶対に核の平和利用ではありません。

 だから、私はお願いしたい。朝、必ず自分のお子さんの顔やお孫さんの顔をしっかりと見てほしいと。果たしてこのまま日本だけが原子力発電所をどんどん造って大丈夫なのかどうか、事故だけでなく、地震で壊れる心配もあって、このままでは本当に取り返しのつかないことが起きてしまうと。これをどうしても知って欲しいのです。

 ですから、私はこれ以上原発を増やしてはいけない、原発の増設は絶対に反対だという信念でやっています。そして稼働している原発も、着実に止めなければならないと思っていあす。

 原発がある限り、世界に本当の平和はこないのですから。



優しい地球 残そう子どもたちに

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筆者「平井憲夫さん」について:

1997年1月逝去。
1級プラント配管技能士、原発事故調査国民会議顧問、原発被曝労働者救済センター代表、北陸電力能登(現・志賀)原発差し止め裁判原告特別補佐人、東北電力女川原発差し止め裁判原告特別補佐人、福島第2原発3号機運転差し止め訴訟原告証人。
「原発被曝労働者救済センター」は後継者がなく、閉鎖されました。