トヨタの「カンバン方式」というのはよくお手本にされてますが、カンバン方式が改善のすべてであるように喋るコンサルタントが昔は横行していたものです。


あまり手の内は明かせませんが、実際に作業効率を改善するのは多種多様なアプローチがございます。

残念ながら、製造業以外での作業改善というのは意外と進んでおらず、またコンサルタントを依頼するにしてもコンサル本人がマニュアル通りのVA.VE,IEしか知らない為に手が付けられないことも多々あるようです。


一例ですが、農家さんで田植えの手伝いの応援に行ったときの話をしましょう。

当時勤めていた製造会社の同僚10人ほどと、その農家の方5人ほど計15人での作業でした。


私は初のお手伝いでしたが、30分ほど作業していてあまりの効率の悪さに同僚を通じて農家の方に声掛けして、簡単な流れ作業用のラインを作りました。

作ったといっても、工事をしたりシステム入れたりではありません。

人の動きと作業内容を見て、適正な人員配置と作業場の配置、作業の平準化というごく当たり前の作業改善です。

分析用シートやストップウォッチなども一切なく、ただ作業しながら観察していただけです。


15人での作業を流れ作業にした結果、通常は土日2日かかる田植えの準備作業が土曜の14時で終了してしまいました。


通常は2日間たっぷり、午前8時から午後6時まで休憩1時間で2日間15人ががりで行っていたそうです。

単純に計算すれば9時間×15人×2日でのべ工数で270時間かかる計算です。


それが休憩除いて5時間×15人×1日、のべ工数で75時間で終わってしまったのです。


長い間慣習にとらわれて行っていた作業が、本当の意味で無駄であったことがはっきりわかってしまうわけです。

農家の方が「きつい、稼げない」とよく聞きますし、トラクターなど高価な機械を借金して買われていますが、作業が楽にならず応援読んでて手間代払って、という言ってしまえば「無駄」を放置していたわけです。


上記の数式で計算すれば、195時間を無駄に使っていたわけです。

何にも考えずに1時間のバイト代として1000円払えば、195000円を払うわけですよね。

それ以外にごちそう作ったり飲み物用意したりと、経費は非常にかかっているわけです。

そして疲労も残り、割りに合わないと助っ人に来てくれた人は次回からは来なくなる。


これでは食いつぶししているだけで、農業離れが進んだり後継者が育たないとか、敬遠されたりとかしかねません。

約20万の前述のバイト代を払うためにどれだけの米を育て販売しなければいけないのでしょう?


今回の事例は、コストがかかるわけでもなく作業者に無理や努力を強いるものは一つもありませんでした。

ただただ作業を

「楽に」

「簡単に」

「無駄を省く」

これだけで大幅な改善がなされたわけです。


コストは当然軽減されますし、無駄な作業をしないから疲労度も軽減。

翌日以降の仕事にも影響しますし、浮いた時間やコストを別のことに使うこともできます。

例えば作業改善のために時間を使うとか、今はやりの六次産業化を行う時間へ当てるとか、ですね。


もちろんすべてが無駄とは言いませんが、疲れが多い、人員を要する、時間がかかるなど人的な問題に関しては改善の余地が大きい場合が多々あります。


作業改善はなんにでもできるマルチなものです。

結果がコストなり人なりに繋がり、繰り返して広範囲に改善を進めることで経営にも変化がでることも多々あります。


その作業は本当に必要なものでしょうか?