米失業率、4月の実態は20%近く 労働省「隠れ失業者が多数」

 

[8日 ロイター] - 米労働省は8日、4月の失業率が戦後最悪となる14.7%に悪化したことについて、働いていなくても就業者と見なされる「隠れ失業者」が多数いたと認め、実際の失業率は20%近くに達した可能性があると明らかにした。

それによると、休暇取得などの理由による欠勤扱いの就業者数は1150万人だったが、このうち欠勤理由が「不明」な人は800万人強に上ったと指摘。その上で「追加で750万人相当がレイオフ(一時帰休)による失業者と見なされるべきだった」とし、こうした人を加味した失業率は19.5%に達したとの見方を示した。

 

https://jp.reuters.com/article/usa-economy-unemployed-undercount-idJPKBN22K2JQ

 

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5月の米雇用統計は歴史的な失業率となりました。

 

16%台の予想が14%台。

しかし記事によれば、実態は20%近かったようです。

 

こうなってしまえば、14%も20%も大して違いはありません。

問題はここから回復するかどうか。

 

壊滅的なファンダメンタルズをよそに、米株はかなりいいところまで戻っています。

 

S&P500

 

Nasdaq

 

特にNasdaqはコロナ暴落の最初の揉み合い位置を抜けてきました。

S&P500も追随して抜けてくる可能性はありそうです。

 

戻ってきた背景は、ロックダウン解除。

人々が普通の生活に戻るのではないか?

生産設備が破壊されたわけじゃなし、不況で失業者が溢れてるわけでもない。

ロックダウンさえ解除されれば人々はまた職場に戻り、元の経済水準に戻るのではないか?

さらにはじゃぶじゃぶのお金でコロナバブルが発生するのではないか?

そんな単純な発想です。

日経平均が30000円になるなんて声も聞かれますね。

 

今後どのように推移するのか?

 

まずコロナバブルですが、ちょっと考えにくいと思います。

お金がじゃぶじゃぶになれば、株価が上がるわけではありません。

使われないお金は、使われないままです。

じゃぶじゃぶにすればバブルが発生するのであれば、2000年以来20年以上ずっとじゃぶじゃぶの日本は、世界一の株バブルになるはずです。

 

実際はPERも15倍未満。

ファンダメンタルズが肯定する水準までしか上がりません。

これはアメリカも同じでした。

唯一ファンダメンタルズを無視し始めたかに見えたのは、昨年10月以降の米株でしたが、コロナによって止まってしまいました。

じゃぶじゃぶにすればお金は行き場を求めて右往左往はしますが、ファンダメンタルズを無視するわけではないようです。

 

おそらく最も調子のいいNasdaqでも、史上最高値を超えられないんじゃないかという気がします。

 

史上最高値を超えるには、ファンダメンタルズが元に戻ること。

つまり雇用がもとに戻る確度が高くなることが必要だと思います。

コロナが完全に治まれば、もとに戻ってもいいようなものですが、本当に失業率3%水準まで戻れるのかどうか?

 

長く労働を休んでいたので、必需品が不足し、企業は一気に雇用を戻すかもしれません。

一方で、目に見えて衰退していくのに踏ん切りがつかず、だらだらと営業を続けてきた一部のゾンビ企業は、コロナを理由に廃業するところもあるでしょう。

 

リーマンショックから10年超。

その間に世の中は変わり、社会に必要とされなくなってきたインフラもあります。

アマゾンエフェクトで、小売店舗はあまり必要ではなくなってきています。

コロナをきっかけにテレワークが進めば、オフィスもそんなにいらなくなるでしょう。

一方、自宅内で仕事をするのであれば、家族と共用のパソコンでは無理です。

パソコンは売れるでしょうし、自宅内で仕事をするために必要な環境を整えるためのいくらかの設備は必要になるでしょう。

 

景気循環の本質はこういった社会の変化に伴う企業の栄枯盛衰。

それに伴う失業と新しい仕事の創出にあります。

健全な新陳代謝であり、市場を歪めるような金融緩和はゾンビ企業を生み出し、新陳代謝を阻害することになります。

 

おそらくコロナ・ショックを区切りとして、廃業する企業は一定の割合発生し、新しい産業が生まれて雇用の受け皿となり、完全雇用の状態に戻るには、やはりいつものように数年かかるのではないかという気がします。

 

現状は2月高値から見ると短期的に下げすぎ、3月安値から見ると短期的に上げすぎ。

相反する見方で、どちらにも流れて行けない状態です。

 

最大の焦点は6月の雇用統計。

ロックダウン解除で果たしてどのくらい雇用が戻るのか?

それを見てみたいというのが市場の関心事だと思います。

 

見てみたいと言っているうちはあまり動かない。

おそらく6月頭まではじわじわと上値を試すものの、大きくは変動しないというのが本線じゃないかなと予想しています。

 

ただ、コロナ次第ではわかりません。

5/6あたりから欧州は段階的にロックダウン解除してきていますが、感染者の増加で再度のロックダウンが見込まれるようになれば、また暴落が始まる可能性もありそうです。

短期トレードの場合は、現状は逆張りが有利。

こまめに利確しながら、決定的なニュースが出た場合には機敏にトレンドフォローに転換したほうが良さそうです。