「世界は大恐慌以来の景気悪化」IMF専務理事が警鐘
【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は9日の講演で「新型コロナウイルスで、2020年の世界経済は大恐慌以来のマイナス成長になる」と指摘した。世界は金融危機だった09年も0.1%のマイナス成長になったが、さらに上回る落ち込みを予測した。世界各国は8兆ドル(約870兆円)の財政出動を用意しているとし、21年には「部分的に持ち直す」と主張した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57868210Z00C20A4MM8000/
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ここまでの動き
S&P500は3/23を底としてリバウンドしました
大恐慌との比較です。
大恐慌通りなぞるなら、3/25でリバウンドのはずですが、2日ほどずれました。
波形は似ており、下落率もほぼ同じです。
しかしその後の値動きは違います。
S&P500は3/23の底から13営業日で半値戻しを達成しました。
大恐慌のときは半値戻しまで54営業日かかっていますので、今回の方が急速な戻しとなっています。
急すぎる戻しは良くありません。
VIXもコールのIVも高すぎ、長続きしません。
むしろこの状況は、下落の途中に出るパターンです。
想定の範囲
<想定の下限>
先日の3/23で下げ止まり。これが妥当なところだと思います。
今回の波形は大恐慌と同じく、下落の初動に出ていますが、実はリーマン・ショックの日経平均と大恐慌のNYダウもほとんど同じ波形です。
リーマンのときは下落の初動ではなく、終盤で出ました。
下落率はほぼ同じ。
相関係数は90を超えます。
状況に関わらず類似の波形が出ることから、人間が感じる最大の恐怖がこの波形なのではないかと、個人的には思っています。
大恐慌と同水準の下げを演じたのですから。これ以上はちょっと想像しにくいです。
<想定の上限>
コロナは疫病です。
人の動きが止まっているだけで、インフラが破壊されたわけではありません。
戦争のようにインフラが破壊されたわけではなく、人さえ動けば前と全く同じ状況に戻ってもおかしくありません。
コロナが終息すれば全戻し。
マーケットはそれを期待して、ここまで半値戻したんだと思います。
想定外の範囲
しかし大恐慌以来の大暴落を演じたわけですから、想定外の値動きもありえます。
想像を膨らませておいたほうがいいと思います。
<大バブル>
まず、想定外の上昇ですが、全戻しにとどまらず、大バブルになってしまうことです。
全世界の中央銀行が力加減もわからずとんでもない額の資金を市場に注入しようとしているので。
これを期待してる買い方さんも多いと思います。
しかしコロナ前から日本についてはリーマン級の景気後退が鮮明となっており、大バブルはちょっと想像しにくいなと考えています。
<大恐慌超え>
今回のリバウンドには、いくつか疑問点があります。
まず下落日数が少なすぎること。
米株は大天井からわずか1ヶ月強で底打ちとなっています。
この日数で底打ちというのは、通常はありえません。
そして値動きが全く落ち着かず、急激に半値を戻してしまったこと。
これはむしろ下落の途中で出るパターンです。
教科書に出てくるような下落5波-戻り3波のようにも見えます。
通常はここからまた下落が始まります。
先にコロナを封じ込めた上海が最も戻りが鈍く、25日線で押し戻されているのも気になります。
武漢の封鎖も解除され、中国には普段の生活が戻ってきています。
初の連休となる4/4-4/6の人出はすごかったようです。
中国の観光地に押し寄せる人波、リスクは依然大きいと専門家が警告
このパワーを目の当たりにしてるはずの上海の値動きが冴えないのは、どうも腑に落ちません。
しかし、もしここから下落第二弾ということになれば、大恐慌を超えることになります。
これはどう考えたらいいのか?
大恐慌より上なんてことがあるんだろうか?
大恐慌は最大の下落のように思いがちですが、実はそれを超える暴落が、そのわずか10年前に起こっています。
上記は日本株の150年チャートですが、これまでで最も大きな下落は1919年から1930年にかけて起こっています。
前半は大正恐慌。後半は大恐慌。
実は大恐慌と呼ばれているのは、一連の下落の後半。下げ3波動のC波であり、前後半合わせると実に80%を超える下落に見舞われたそうです。
この部分を取り出してみると以下のようになります。
いかに前半の大正恐慌が凄まじかったかがわかります。
本当に今回、こんな事が起こりえるのかどうか。
自分でこうやって書いていても、とても実際に起こるとは思えません。
今回のコロナは戦争とは違います。
インフラが破壊されたわけではありません。
世界中の中央銀行が爆発的な資金供給を行っています。
日銀はプリンティングマネーで買い支えています。
とてもこんな下落になるとは思えません。
しかしチャートの形は、下落第二弾に向かってもおかしくない形をしています。
実際に起こるかどうかはともかく、頭の隅には置いておいたほうがいいかもしれません。