米株主要指数が最高値更新、利下げ期待で
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 米国株式市場は独立記念日の祝日を控えた短縮取引の中、主要指数がそれぞれ終値での過去最高値を記録した。景気鈍化の兆しが経済指標によって新たに示され、米連邦準備理事会(FRB)がよりハト派に傾くとの見方が強まった。
https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-idJPKCN1TY2LN
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NYダウが史上最高値を更新し、S&P500・ダウ・Nasdaqの三指数揃って2018年の高値を超えました。
リーマン・ショック以降の景気拡大期のアメリカ株の高値は、2018年ではなく、2019年だったことになります。
しかし現在のアメリカ株はマクロ・シーリング(マクロ経済的な天井)付近にあります。
これ以上の高値は望めません。
”頭を出したら終わり”
7/3はアメリカ株の大天井であった可能性が、極めて高いと思います。
S&P500の週足
週足なのでうまく引けていませんが、リーマン・ショックの底とチャイナ・ショックの底を結んだ下支え線をクリスマスショックで下回りましたが、そこから回帰を果たしています。
この下支え線はリーマン・ショック以降の景気拡大局面における最低限の株価成長線であり、これを割り込む頃に株価はピークアウトします。
そして2018年1月高値と2018年9月高値を結んだものがマクロ・シーリング。
これは完全雇用下での株価の限界を示しています。
人が働いて付加価値を積み上げ、それが企業収益となり、GDPになります。
事務職の人は目の前のパソコンで仕事をし、工事の人は目の前の重機で仕事をします。
積み上げる付加価値は米中がどうなろうと同じです。
景気拡大とは雇用の回復とともにあり、完全雇用になればこれ以上の付加価値の積み上げはできません。
しかし眼の前のパソコンや重機が新しくなれば、仕事が少し効率化し、積み上げる付加価値はその分増えます。
また、アメリカは人口が増えているため、その増分があります。
そのように人・モノ・カネ、すべてのリソースを使い尽くした上でも、更に成長余地があります。
その成長が潜在成長であり、最近のGDP成長率は3%半ば。
そしてマクロ・シーリングの仰角は3.6%。
ほぼ同水準です。
また、マクロ・シーリングを左に伸ばすと、ほぼ2000年高値と接します。
2000年のITバブルの高値は、振り返ってみると妥当だったということになります。
S&P500の日足
ちょっと拡大して日足ベースで見てみると、7/3時点ではわずかにマクロシーリングに届いていないことがわかります。
あとわずか1%。
届くか届かないかはともかく、このあたりがマクロ経済的には天井です。
そして下落に向かうのであれば、”未達”であることが多いです。
あと1%を残して未達で下落に向かうのであれば、チャート的には非常に綺麗です。
S&P500の変動幅
そして変動幅。
5月頭からS&P500はほぼ一ヶ月下落。
そして6月頭から再上昇。
もみ合っています。
この間の変動幅は9.8%。
3月頭からこのレンジ内で推移しています。
統計的に見るとS&P500の7ヶ月の最低変動幅がだいたいこのくらい。
つまり9月末までには上下どちらかにレンジアウトする可能性が高いことになります。
市場が冷静で、PERを見て投資している間は、マクロ・シーリングより上にはいけません。
下にレンジアウトする可能性が高いと思います。
そしてS&P500の半年の変動幅は、平均的に見れば20%程度あります。
下に20%であれば、やはり下落相場への転換を示唆することになります。
クリスマス・ショックの下落率は20%を超えましたが、戻ってきました。
統計的に見ればかなり可能性が小さく、驚くべき結果ですが、これは量的緩和という金余りと米中のドタバタが引き起こした特殊事情下のおおきなボラティリティだったと思います。
そして大きいように見えるクリスマスショックの下落ですが、これも下落ではなくブレだったとなると、今度はかなりの長期間の揉み合い状態と考えられます。
具体的には2017年4月以降、554日に渡ってもみ合っていることになりますが、S&P500は統計的に見ると554日あれば最低でも28.2%。平均的には52%変動します。
つまり最低の変動幅を下回っており、このまま揉み合いを続けることはできません。
株価はいつも釣鐘型。
底からの立ち上がりは強烈で、どうせ景気回復するのだからと、投資家は値段も見ずに買い急ぎます。
そして安定した景気拡大期を終え、最後は完全雇用となり、なだらかにマクロ・シーリングでしばらく頭を抑えられた後、天井を付けてピークアウトします。
天井はなだらかなので、一点で当てるのはほとんど不可能です。
technoteも2018年が米株の天井だと予想していましたが、予想は外れました。
しかし此処から先はもう、高値更新しようがしまいが、あまり関係がありません。
高値更新しても、ほんの僅かです。
買いから入るのはハイリスク・ローリターンになります。
売りから入る場合に警戒しなくてはいけないのはバブルです。
企業業績を無視したバブルが来るのかどうか?
非伝統的な量的緩和政策がその引き金になるのかといえば、そんなことはなさそうです。
日本は世界に先駆けてゼロ金利・量的緩和を導入していましたが、バブルは起きませんでした。
使われないお金は放置されるだけ。
おかしな金融政策をしても、積み上げる付加価値は変わりません。
お金をジャブジャブにしたところで、現実はついてこないのです。
平成の金融政策で、結果は出ています。
AIバブルが来るのかどうか?
これが最も関心があったのですが、起こる気配がありません。
起こるのであれば、AlphaGoが人間に勝ったあたりで後ろを振り返らないようなバブルになってもおかしくなかったと思うのですが、そうはなりませんでした。
景気後退を経験した後、次の拡大期なのかもしれません。
バブルが来ないのであれば、下方向。
9月末までにレンジアウトという準備期間を考えれば、このあたりで大天井だと思います。