FRB年内利上げ想定せず、資産縮小9月終了へ ハト派姿勢に転換

 

[ワシントン 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は19─20日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、成長ペースが鈍化する中、2019年の想定利上げ回数をゼロとし、よりハト派的な政策スタンスへの転換を鮮明にした。

 

https://jp.reuters.com/article/march-fomc-idJPKCN1R12DY

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

3月のFOMCはサプライズとなりました。

政策金利の現状維持は想定通り。

しかし年内2回の利上げが1回になるのではとの予想でしたが、それがゼロ。

もしかしたらFRBのバランスシート縮小を来年は停止するかもしれないとの見方でしたが、早くも今年の9月に停止と表明しました。

 

 

パウエルさんは完全に市場に敗北したようですね。

経済指標を見て政策を決めるはずのFRBが、好調な経済指標にもかかわらず、予断を持って大きな緩和を実施せざるを得ない。

量的緩和という麻薬からの脱出がいかに困難かということを如実に物語っています。

 

Japanification

リーマン・ショック後に量的緩和に向かう中で、しばしば登場したのが「日本のようになるな」という警鐘でした。

しかしアメリカもやはり、その道を歩み始めたように見えます。

 

平成バブルの頃、絶好調の日本経済を見て、欧米では日本独自の企業風土に注目が集まったことがあります。

不況になればドラスティックに解雇する欧米と違い、日本は不況期でも雇用を守ります。

熟練工を守るからこそ、日本は緻密で素晴らしい部品を作るんだ。

どんどん雇用を切って新しい人間を一から教育する欧米よりずっと効率がいいのではないか?そう思われていた時期もありました。

 

しかしそれでは時代の変化についていけません。

安住の地を見つければ、ずっとそこに居続ける。それもまた人間の本性なのです。

破壊がなくては新しいものは生まれません。

よく言われる話ですが、かつてアメリカの時価総額上位に居たGE,GM,IBMなどは、今は上位に姿はありません。現在ではGAFAと言われるIT企業が独占しています。

一方日本はずっとトヨタです。

 

日本はバブル崩壊以降ずっと金融緩和状態であり、世界に先駆けて量的緩和・ゼロ金利などを導入。企業に優しい環境を続けてきましたが、その結果新陳代謝が進まず、企業は余っている旧来の製品を変わらず生産し続け、デフレになり、時代の変化に取り残されてしまいました。

 

今回のアメリカも、景気の頂点から景気後退に向かう現時点でも、政策金利は2.5%。

2006年の頂点では5.25%、2000年は6.5%だったことを考えると、明らかに小さい金利のまま景気後退を迎えようとしています。

低金利と減税で企業経営は楽になるかもしれませんが、その分、日本と同様に新陳代謝が進まなくなる可能性があります。

 

 

今後の株価の推移は?

新陳代謝の話は今後の米中の覇権争いの行方に影響してくる可能性がありますが、それは長い時間軸の話。

目先の株価はどうなっていくのか?

 

サプライズのFOMCを受けて為替は急落。米株は乱高下となりました。

「ハト派で株高!」と「そんなに米経済は悪いの?」という対立する見方に別れたため、この様になったと思います。

 

今晩のNY市場を見てみないとわかりませんが、総じて反応は良くなく。米株は一昨日で戻りの高値をつけた可能性があると思います。

米株は昨年末、2009年3月-2016年2月(リーマンショックの底と2015年チャイナ・ショックの底)を結ぶ下値支持線を割り込みました。

クリスマスショックの底から下値支持線への回帰を目指しましたが、2018年10月が大天井であれば、この回帰は失敗するはずです。

 

もう少し時間を短くして1時間足を見てみると

 

2009-2016の下値支持線へ何度かトライしながら、回帰を失敗している様子がわかります。

そしてクリスマスショックから3/8の安値を結ぶ下値支持線とも非常に近いところにあります。

 

本来は3/4に高値だったところが、米中貿易協議の延長に次ぐ延長やBREXITの延長によるエクステンションの状態ですね。

下値支持線付近で推移していて跳ね上がる力はなく、時間調整以外の何物でもありません。

一度休んだら終わりの形をしています。

 

この2つの下値支持線が交わるのは3/27。

既に大天井をつけているのであれば、これを超えて値を保つことは通常はないはずです。

 

そして為替。

株は見方が分かれたため乱高下となりましたが、為替は円高方向の見方しかありません。

昨年大天井を付けた前提であれば、日経平均が3/4の高値を更新するためには112円半ばが必要になりますが、為替がそこまで戻るのはかなり難しいと思います。

日本株は3/4で戻り高値をつけた可能性が高そうです。

 

パウエルさんは景気後退のオバケに怯えて利上げをしないという選択をしました。

しかしこれは利下げ余地がなくなったということでもあります。

日本株を見て分かる通り、低金利であれば株は下落しないかと言うと、そんな事はありません。

むしろ金融緩和の手立てがなく、フリーフォールになる可能性もあります。

 

そもそも今回の景気後退の原因は金利ではありません。

金利が高すぎて企業があえいでいるわけではないので、緩和的に金融政策を運営してもあまり効果はありません。

鍵を握っているのは米中貿易戦争。トランプ大統領だと思います。

 

フォローしてね…

↓他のブログも読んでみる?
にほんブログ村 経済ブログ 実体経済へ