みずほ、なぜ6800億円損失? 3つのポイント

 

みずほフィナンシャルグループ(FG)が2019年3月期に6800億円の損失を計上します(「みずほFG、6800億円損失 今期純利益800億円に下方修正」参照)。大規模な損失で連結純利益は前期比で86%も落ち込みます。なぜこうした事態に陥ったのでしょう。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42125910W9A300C1I00000/

 

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みずほFGが巨額損失を計上しました。

86%という減益は衝撃ですが、ほとんどは店舗統廃合やシステム償却によるものであり、他行ではすでに計上しているものです。

一気に償却したので見かけは大きいのですが、みずほはシステム統合に苦しみましたからね。仕方のないところです。

 

しかし一番気になるのはこれ

残りの1800億円は、外国債券の簿価と時価の差である含み損益の処理です。マイナス金利政策で日本国債の運用益が下がったことで、銀行は米国など外債の運用を広げていました。ところが米金利の上昇で債券の価格が下がり、含み損が膨らみました。

外国債券等の運用損失が1800億円。

マイナス金利が影響してるとのことですが、だとすると他のメガバンクでも同じでは・・?

 

いつか見た風景

おそらく他行も同じでしょう。

そして遅れて損失を計上するんでしょう。

そして過去の経験から言えば、こんな金額で済むはずがありません。

 

そしてルネサス

ルネサス、国内6工場を2カ月停止 中国需要減で在庫調整

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42124850W9A300C1EA1000/

今週出たこちらのニュースも衝撃でした。

 

その前にはこんなニュースもありましたね。

「尋常ではない変化が起きた」 日本電産の永守会長

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40149430X10C19A1000000/

 

リーマンショックからこれまで、強力な金融緩和と投機を防ぐ金融規制により、穏やかに永遠にゴルディー・ロックスが続くと思われていました。

しかしここに来てやはり、金融ショックや減産などの連鎖が起こりつつあります。

 

チャイナ・ショック、パリバ・ショック、サブプライム・ショック、ベア・スターンズ、リーマン・ブラザーズ。。。

いつか見たあの風景が思い出されます。

 

 

Minsky Moment Has Come

1989年 平成バブル崩壊

2000年 ITバブル崩壊

2007年 世界金融危機

 

景気の頂点では必ず何かのバブル崩壊や金融ショックが起きていました。

しかし今回はそのような引き金のない、はじめての景気後退になるかもしれません。

 

ハイマン・ミンスキー博士は経済危機の段階について、以下のように説明しています。

①調子のいい時、投資家はリスクを取る。
②どんどんリスクを取る。
③リスクに見合ったリターンが取れなくなる水準まで、リスクを取る。
④何かのショックでリスクが拡大する。(‘Minsky Moment’)
⑤慌てた投資家が資産を売却する。
⑥資産価格が暴落する。
⑦投資家が債務超過に陥り、破産する。
⑧投資家に融資していた銀行が破綻する。
⑨中央銀行が銀行を救済する
⑩1に戻る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

 

④何かのショックでリスクが拡大する。(‘Minsky Moment’)

technoteはこれについてずっと考えてました。

崩壊するにはなにかのショックが必要なのか?

 

トランプ大統領の貿易戦争は引き金ではありますが、これは人為的なものです。ゆっくり経済を引き下げるものの、マーケットをクラッシュさせるようなものとは、ちょっと性質が違うように思えます。

 

中央銀行は金融緩和によって市場に秩序を与え、それに従って投資家はリスクを取りに行きます。

パンパンにリスクを取ったあと、どうなるのか?

何らかの金融ショックが起こる?

しかし強力な金融規制で抜け道を塞いだらどうなるのか?

 

リーマンショック以降の世界の中央銀行がとったのは、この方法でした。

強力な金融緩和と強力な金融規制。

量的緩和とともに過度な投機が起こらぬよう、強力な金融規制も引きました。

結果、永遠とも思えるゴルディー・ロックス。

 

株価のPERは高めですが、バブルと言うほどではありません。

土地や住宅価格も前回高値を超えましたが、ローン返済にそれほど大きな滞留は見られません。

このまま本当に何も起こらないんだろうか?

風船に空気を入れ続け、針を刺さなければ、どこまでも永遠に膨らむんだろうか?

 

結論はやはり、NOなんだと思います。

ミンスキー・モーメントは、以下のように修正する必要があるかもしれません。

④何かのショックが起こるか、あるいはショックが起こらなかった場合でもすべての投資家が限界までリスクを取りきった場合には、リスクが拡大する。

今週のNYダウの崩壊は、まさにその象徴だったように思います。

 

クリスマス・ショック以降非常に強い反騰を続け、フィボナッチ76%戻しも達成。全値戻しを狙う動きにも見えました。

しかし11月高値目前で停滞。

一週間ほど揉み合いましたが、しびれを切らせて下落に転じました。

 

米中貿易協議の延長に次ぐ延長で値を保ったものの、これ以上リスクが取れないパンパンの横ばい状態が一週間ほど続き、そして目立ったショックもなく崩壊しました。

米中首脳会談で貿易戦争終結のリスクがあるので、売り方の大きな仕掛けではないと思います。

 

機関投資家のエクイティ組入れは下がり始めています。

http://www.naaim.org/programs/naaim-exposure-index/

 

買い方の誰もが、これ以上リスクを取れなかったため崩壊した。

先週はミンスキー・モーメントだったんじゃないかなと思います。

 

ここが④ミンスキー・モーメントだったなら、間もなく

⑤慌てた投資家が資産を売却する。
⑥資産価格が暴落する。

となっていくはずですが、来週以降どうなるでしょうか?

 

そして興味は、どのくらい暴落するのか?

リーマンショックのような大きな暴落になるのか?

それとも強力な金融緩和と金融規制の元、小さなショックで終わるのか?

 

technoteの結論は出ていますが、それは”宴のあと”シリーズで書いていきたいと思います。

大きなニュースが出なければ、来週はシリーズ再開できるかな?

 

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