景気指数 3カ月連続低下
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が97.9と、前月から2.7ポイント低下した。低下は3カ月連続で、13年6月(97.0)以来の低水準。中国経済の減速などが響いた。同指数の基調判断はあらかじめ決められた条件に基づいて機械的に下方修正された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO42141100X00C19A3EE8000/
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一致指数の速報値が3ヶ月連続のマイナス。
基調判断が下方修正となり、戦後最長の景気拡大が幻に終わる可能性が出てきました。
最長かどうかはともかくとして、投資家として興味があるのは景気がピークを付けたのかどうか?という点です。
2011年3月は東日本大震災がありました。
これは一時的な要因だったため、景気後退とは判断されませんでした。一時的に生産設備が破壊されても復興に動き、人々は生産を再開します。
そして2014年8月も消費増税の影響だったため、やはり景気後退とは判断されませんでした。
消費増税後の落ち込みは増税前の駆け込み需要があったためであり、その落ち込みが終わればまた人々は消費を再開します。
3×3+1×1>3×1+1×3
今回はどうなのか?
やはり米中貿易戦争の行方によると思います。
落ち込みの原因はトランプ大統領の政策による人為的なものなので、貿易戦争をやめれば回復する可能性があります。
具体的には関税を撤廃し、中国に無理に買い物をさせることをやめ、すべてをもとに戻すこと。
中国に買い物をさせることは米経済にプラスになると感じるかもしれませんが、そうではありません。
例えば中国が大量のシェールをアメリカから購入すればどうなるのか?
シェールはガソリンに転用できなくもないのですが、それなりにコストが掛かります。やはり原油のほうが低コストで良い製品なのです。
原油をやめてシェールの購入を増やすことは中国のコストを増加させ、アラブの減収を招きます。
一方アメリカは現在、空前のシェールブームに湧いています。人手不足で生産地域の理髪師も大忙し。理髪師の年収が2000万円を超えたという報道もあります。
しかし完全雇用の中、シェールに人手が向かうということは、他の職業からの離職に頼ることになります。
もともとアメリカの中で付加価値創造が高い分野ではないシェールに人手を割くことは、アメリカ全体の効率もやはり落ちることになります。
関税を掛け合うのも同じ状況を作り出します。
せっかく安くて良い商品にわざわざ関税をかけ、割高な商品にシフトさせることは、全体のパフォーマンスを下げることになります。
世界は、能力の高い人が付加価値の高い仕事をするのが最もパフォーマンスの良い状態であり、3×3+1×1>3×1+1×3なのです。
関税をかけるのも中国に無理な買い物をさせるのも結局はパフォーマンスの低下を招き、同じように世界のGDPを押し下げます。
アメリカ・ファースト=保護主義は、非効率化政策でしかなく、世界が懸念していたとおり坦々と経済を破壊していきます。
これは消費増税前後のような一時的な要因ではなく、本質的なものだと考えられます。
未来は決まっている
「株価に絶対はない、未来はわからない」とよく言われます。
たしかにそうですね。明日何が起こるかわかりません。
でも、決まっている未来もあります。
明日、太陽がのぼります。そしてまた夜が来ます。
未来のことなのに決まっています。春夏秋冬の繰り返しも同じです。
以前、「株価ってランダムウォーク?」という記事を書きました。
日経平均で過去データたどると、日々の株価の上下確率は、
上昇:下落=53%:47%くらいです。
そうすると連騰・連敗確率は
連騰=53%×53%=28%
連敗=47%×47%=22%になりそうですが、そうではありません。
連騰・連敗とも若干確率が高く、連騰は30%、連敗は24%になります。
同様に
3連騰=53%×53%×53%=14.8%
3連敗=47%×47%×47%=10.4%になるはずですが
実際は3連騰が16:6%、3連敗が11.8%
やはり3連騰・3連敗ともに確率が高いのです。
4連、5連、6連、7連・・・すべて同じで、例外はありません。
株価は連騰or連敗しやすい性質を持つということになります。
ランダムウォーク仮説は誤りであり、時間を短く切るほどランダムに近づきますが、時間を長くすると一定の傾向が出てきます。
これは物理の素養のある人なら感覚的にも理解できると思いますが、微細なものはランダムに振る舞い、長大な星の運行などは時計のように正確です。
そしてどんどん時間を長くすると特定の性質がもろに株価に反映されて、今度は連騰・連敗だけの世界になります。
景気動向のみで動く。それが年足です。
年足は嘘を付きません。
景気拡大期は陽線が続き、景気後退期は陰線が続く。
一度も例外はありません。
そして人口減少・経済縮小期に入った1989年以降、年足で陰線になった場合、必ず連続しています。
陽・陰・陽となったことは一度もないのです。
2018年に大陰線となった日本株は、景気後退の明らかなシグナルだと思います。
そして景気後退が1年で終わることもありません。
今年も連続して陰線になる可能性が、極めて高いと思われます。
景気サイクルは季節の移り変わりなどと同じく、決まった未来を描くものだと思います。
トランプさん次第とはいえ、ここから景気回復に向かい2018年の高値を更新することは、通常はありえません。
夏の次に秋が来て、また夏に戻ることを信じるようなものです。
2月の政府の月例経済報告では「景気は緩やかに回復している」となっており、冒頭の景気動向指数を見ても菅官房長官は「中国の春節の影響であり景気後退ではない」と強弁します。
しかし、年足大陰線を引いたのに景気後退にならなかったことは今までありません。
過去データで見る限り、景気後退確率は100%。
景気後退ではないと言われても、一度も起こらなかったことに賭ける気にはなれません。
明日の株価はわかりません。
数カ月後も、何が起こるかわかりません。
しかし数年後の株価は、明らかだと思います。