こちらの記事の続きです

 

デフレは貨幣現象、金融政策で変えられる=安倍首相

2013年2月7日 / 11:26 / 6年前

 

[東京 7日 ロイター] 安倍晋三首相は7日午前の衆議院予算委員会で、デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられるとの認識を示した。民主党の前原誠司委員の質問に答えた。

人口が減少するなかで、構造問題を解決しないとデフレは脱却できないのではないかとの質問に、安倍首相は「人口減少とデフレを結びつける考え方を私はとらない。デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられる。人口が減少している国はあるが、デフレになっている国はほとんどない」と答えた。

日銀の物価目標について当初2─3%が必要と主張していた点については「デフレ脱却にはマインドの変換が必要だ。エコノミストと話した時も、ショックを与える意味でも3%とか4%とかという数字を出すべきだという話だったので、強めの数字を言った」と説明。「政治は多くの人の理解を得る必要があるので、結果を出すということで(最後は)2%にした」と述べた。

自身が日銀法改正に言及してきたことに関しては「日本以外の多くの国が採用している中銀と政府、国民との関係に戻す必要があるのではないかという問題意識があった。一つはインフレターゲット、もう一つは雇用に対しても責任を持つということだ」とした上で、「今の段階で日銀がそういう認識を持ち始めたことは良かったと思っている」と語った。

 

https://jp.reuters.com/article/tk0608943-abe-deflation-idJPTYE91601820130207

 

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2013年の記事です。なつかしいですね。

アベノミクス。第一の矢はここからスタートしました。

そして白川日銀総裁を更迭し、黒田総裁を迎え、メンバーの過半をリフレ派で揃え、「黒田バズーカ」「マイナス金利」へと突き進んでいきます。

 

デフレは貨幣現象

安倍首相は法学部政治学科卒なので、こんな言葉を知ってるはずがありません。

誰かの入れ知恵です。

入れ知恵をしたのはもちろんリフレ派のメンバー。

当時周りにいた高橋洋一氏、浜田宏一氏、岩田規久男氏。

このあたりでしょう。

 

そしてリフレ派の論理的支柱であるノーベル賞経済学者のクルーグマン氏が「中央銀行の独立性など無視して構わない。量的緩和をやらないような日銀総裁は銃殺せよ」と叫ぶに至り、リフレ派の気勢は手のつけられないものとなり、白川総裁がデフレの責任を押し付けられる格好で辞任することになります。

 

クルーグマン氏に限らず、リフレ派は声はでかいのですが、結果の出るはずのないメルヘン理論を臆面もなく吹聴し、責任を取らないという面があります。

 

日銀副総裁の椅子に座った岩田規久男氏もかつて週刊東洋経済誌上で翁邦雄氏と論戦を繰り広げ、結果、全面的に岩田規久男氏が間違っていたという結果に終わりました。

翁-岩田論争

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%B0%E8%A6%8F%E4%B9%85%E7%94%B7#%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E8%AB%96%E4%BA%89

しかし彼は反省もせず、その間違った理論を抱えたまま日銀副総裁の椅子に座り、退任した今もいまだにリフレが失敗したのは消費増税のせいだと言い張っています。

前回見た通り消費増税の関係ないアメリカでも量的緩和はむしろデフレ方向に働いたのですが、彼が反省することはないでしょうね。

 

そして先のクルーグマン氏はその後、あっさりと宗旨変えをします。

Rethinking Japan 
http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/

”確かに日本の経済成長率は全体で見れば低いものであったが、 それはかなりの部分人口動態(労働人口の減少等)によるものであり、労働人口一人あたりの生産性の伸びは2000年以降でみれば米国より高く、過去25年を見ても米国とほぼ変わらず欧州よりも高かった。  
よってこの間の日本はデフレであったにもかかわらず米国よりも潜在成長に近い状況であったとみることは妥当である。”

”現実をそのまま受け取るなら、日本はデフレの罠のせいで潜在成長率を大きく下回っているという前提こそがあやまりであり、日本はデフレであるにも関わらず欧米よりも潜在成長率に近い水準の成長を達成していた、と考え直す必要が出てくる”

”日本の人口動態は非常に悪い状況にあり、それが原因で潜在成長率は低下し、さらに自然利子率は恒常的にマイナスになってしまっている可能性がある。自然利子率が恒常的にマイナスの状態であればたとえ中央銀行が「無責任になることを信頼できる形で約束」したとしても金融政策ではデフレを脱却できない。”

 

ちょっと待ってください、クルーグマンさん。

今頃何言ってるんですか?

そんなこと、最初からみんなそう言ってましたよね?

 

冒頭の記事の下線部。安倍首相が「デフレは貨幣現象」と言い放ったその日、記者からも同じ質問が出てます。

人口が減少するなかで、構造問題を解決しないとデフレは脱却できないのではないかとの質問に、安倍首相は「人口減少とデフレを結びつける考え方を私はとらない。デフレは貨幣現象であり、金融政策で変えられる。」と答えた。

 

「デフレは人口減少による構造問題だから、金融政策では無理じゃないの?」

リフレ以外の人は、みんなはじめからそう言ってましたよ?

 

日本は十分な社会インフラを蓄え、人口分の供給能力は十分に持ってます。

そこに人口が減れば、供給過剰になるのは当たり前です。

働く人も減りますが、手作りで商品を生産してるわけではありません。

人口が減ろうが、工場の供給能力はそのままです。人手不足は省力化投資で克服してしまいます。

そして供給側は滅多なことでは減産しません。競合他社がいる中で自分だけ減産すればシェアを奪われてしまいます。

 

結局、供給能力はそのままで、人口減少により需要側が減っていく。

リフレ以外の人にとって見れば、デフレは人口減少によるものというのがごく普通の考え方です。

 

そこにリフレ派は異を唱えたんですよね?

「いや、リフレで大丈夫」

「人口なんか関係ない」

「金融政策で何でもできる」

 

そして世界中を巻き込んで大実験をした結果、御大クルーグマン氏の結論がこれですか?

「デフレは人口現象だった。金融政策では克服できない」

 

あ た り ま え だ ろ

 

ええ、普段はそんな事言いませんが、リフレ派は態度が悪いので言わせてもらいますね。

結局、日銀理論通りでした。白川総裁が正しかったということです。

 

市場が必要ともしないのに、マネタリーベースを無理に増やしても、マネーストックは思うように増えません。

必要とされてないんだからあたりまえです

信用乗数は定数などではありません。それ自体には何の性質も有さないただの割合です。

市場が必要としてないならマネタリーベースを増やしてもマネーストックはびくともせず、その分信用乗数が下がるだけです。

黒田バズーカでマネタリーベースを4倍に増やしましたが、マネーストックはあまり増えず、信用乗数がきっちり12→3に下がり四分の一になっただけです。

緑:マネーストック

青:マネタリーベース

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9

 

リフレの人たちは未だに反論しますよね?

「じゃあ中央銀行は何もできないのか?」と。

日本の現状では、需要喚起という面に関しては、そのとおりです

 

日銀が「国債買いまーす!」と叫べば、資金需要が増えるんですか?

「日銀が国債を買うのか。じゃあ工場を拡充しよう」そんなメルヘン起こりますか?

1999年からずっとゼロ金利をやってます。借りる人は遅滞なく借りてます。

「今は金利が高いから借りないでおこう」そんな人残ってません。

いまさらプラスαで需要が増えると思いますか?

なぜ因果関係を考えないんです?

 

日銀が叫んだって、社会は変わりません。

消費者は必要もないものは購入しません。企業も必要のない投資はしません。

人々の行動は、そんなことでは変わりません。

日銀を見ながら生活してる人などいないのです。

 

もう十分でしょう。

10年に渡る世界的大実験で、目の前で見ましたよね?

自分たちのリフレ理論が間違っていた姿は十分に目に焼き付いているはずです。

 

リフレのみなさんは、白川総裁に汚名を着せて放逐したんですよね?

心あるなら自らの過ちを認め、白川総裁の名誉回復をしてくださいね。

 

 

胡散臭い経済学者達

「デフレは人口現象だった。金融政策では克服できない」

クルーグマン氏はノーベル賞を受賞した経済学者であり、経済学の教科書も執筆しています。

その方が一周回って、凡百の我々と同じところに帰ってきてしまいました。

ノーベル賞受賞経済学者が、学部生程度の経済学も理解していなかったことになります。

他の学問の分野ではこのようなことは起こりません。

 

そして白川総裁の恩師でもあり、アベノミクスの論理的アドバイザーとして内閣官房参与に就任した浜田宏一氏の発言も以下のように変遷していきます。

「白川方明総裁の後任が今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できる」
「日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべき」
「教え子だった白川方明日銀総裁はどこで道を誤ったのか」
「白川君、忘れた「歌」を思い出してください。お願いです」
「日銀は正しい薬を持っていたのに出さなかった」
「インフレ目標はそれより高く3%でもいいのではないか」


■黒田総裁が必要な政策はすべて打ったと発言


「インフレ期待など人々の期待がそのまま実現する社会は存在しない」
「物価をどうして2%にしなければいけないのか、全く分からない」
「金融政策の限界が見えた」
「増税がもろに効いている」

 

この方も東京大学名誉教授、イエール大学名誉教授など、来歴は相当なものです。

しかしこういう方々が、学部生程度の経済学も理解せず、大騒ぎした挙げ句に間違ってましたなどというのが経済学の世界です。

 

今回の例に限らず、歴史的に見ても、時の政権には功名心にはやった山師のような”経済学者”が接近し、デタラメな妄想理論を唱えては実態経済を破壊して去っていきました。

経済学とは正しいのか?社会にとって有益なんだろうか?

そんな疑問さえ湧いてきます。

続きます。

 

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