トランプ氏、利上げ決定後にパウエルFRB議長解任を議論-関係者

 

トランプ米大統領は、今週の利上げ決定と数カ月にわたる株価低迷を受けてパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長への不満を募らせ、解任を話し合ったと事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。

  側近らはトランプ氏が実際に行動起こすとは確信を持てておらず、大統領のひとしきりの怒りが年末年始の休暇中に収まることを期待していると、関係者が匿名を条件に語った。側近の一部は、パウエル議長解任は多大な損害をもたらす行為だと大統領に警告した。

  ここ数日、トランプ大統領は何度も私的な場でパウエル議長解任を語っていたと関係者の2人は述べた。

 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-22/PK4HHV6KLVR401

 

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こちらの記事の続きです

 

パウエル議長はFRB理事時代に一度も反対票を投じたことがないことで知られています。

典型的なWASPであり、いつも良いスーツを着ているWhiteShoeFirm出身の彼が次期議長に指名されたとき、トランプ大統領のイエスマンなんだろうなと思われていました。

 

今回のFOMC直前にはほぼ毎日トランプ大統領が利上げをするなとツイートしていましたが、そんなことはお構いなしに利上げ決定。

そして会見でのパウエル議長のこの発言。

「政治的懸念は金融政策を巡る討議や決定に全く影響しない。FRBが適切とみなす行動を阻止できるものはない」

彼がはじめて反対票を投じた相手がトランプ大統領だったというのは皮肉なものです。
 

利上げを受けて株価は急落。リーマンショック以来の週間下落率となったようです。

再選を狙うトランプ大統領にとって見れば、まさに”飼い犬に手を噛まれた”というところかもしれません。

解任を検討していたというのもいかにもありそうなストーリーですが、ソースが正体不明の”関係者”であり、ブルームバーグの記事ですのであまり信用しないほうがいいかもしれませんが。

 

解任できるかどうかは微妙ですね。

大統領はFRB議長を”正当な理由があれば”解任できますが、政策方針の違いが理由では解任はできないでしょう。

FRBの独立性に関わってきます。

 

ただ、トランプ大統領が連日辞めろと連呼すれば、結果的に自らやめざるを得なくなるかもしれません。

白川総裁がそうでしたね。

政策が正しいか正しくないかにかかわらず、大統領府とFRBの対立が続くようであればマーケットは混乱します。

混乱を鎮めるために自ら辞めるというのは、ありそうです。

 

しかし辞めさせたところでどうにかなるものではありません。

今回の利上げは全会一致であり、他の人が議長でも結果は同じです。

まさかFOMCメンバー全員を入れ替えるわけにも行かないでしょう。

議長が交代するしないにかかわらず、今後もトランプ大統領とFRBの対立が続くことが予想され、週明けのマーケットは混乱するかもしれません。

 

FOMC DotPlot

利上げは正しいのか?

ちなみに利上げが正しいかどうかについては、「利上げせざるを得ない」というところではないかと思います。

 

エール大シラー教授はFOMCの政策を称賛、株価や住宅価格は高すぎた

https://web.fisco.jp/FiscoPFApl/NewsDetailWeb?nwsId=0009330020181221001

 

株価については完全雇用に到達したここからは、もう伸びしろはありません。

そして量的緩和により、債券がFRBに吸い上げられました。

行き場のない現金は、わずかでも利を生むところに集中します。

 

「利を生むところ」が”実物”になると、実態経済を壊してしまいます。

2008年は原油でした。

サブプライムが弾けた後も原油価格は高騰を続け、2008年初に株価が暴落していく中、原油は急騰します。

ガソリン価格上昇は車社会のアメリカを直撃し、景気後退のダメを押しました。

生活ができないほど原油価格が上がってしまっては駄目なのです。

 

今回、住宅価格はすでに、サブプライムバブルが弾けた頃より更に大きく上昇しています。

一部地域では普通の勤労者では住宅を購入することが不可能になりつつあります。

こうなってしまうと実体経済に影響が及び、景気後退に繋がる恐れがあります。

 

アメリカは人口が順調に増加しています。

土地は増えないが人口は増える。

株も債券もダメとなったら、マネーは土地・住宅に集中することになります。

土地や住宅がバブルを起こさないよう、マネーはマネーで利を生むよう、金利を上げ、債券を市場に戻し、金融を正常化させる必要があります。

利上げとFRBバランスシート縮小は、全体のバランスを考えれば仕方のないことだと思います。

 

あちらを立てればこちらが立たず。

結局金利を上げても下げても、全てうまくいくような方法はありません。

 

なぜこうなってしまったかと言うと、市場を歪めてしまったから。

実力以上を求めて量的緩和に走った、そのツケを払うところに来てしまったんだと思います。

 

 

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