米中間選挙が示すもの:二大政党のかい離した世界

 

共和党支持基盤は地方と白人、民主党支持基盤は都市と郊外

 【ワシントン】米中間選挙の結果から、米国の主要政党がこの10年間にたどってきた変化がより鮮明になった。民主党は主要都市とその周辺部で結果を出し、共和党は地方や小さな町を制した。

 開票結果によると、下院では民主党が(米東部時間7日夜までに確定していない17議席を除く)共和党の27の現有議席を奪取し、過半数議席を獲得した。一方、上院は(3議席が未確定ながら)共和党が2議席上積みして多数派を維持した。これは「うねり」というよりも、バラク・オバマ氏が2008年に大統領に選出されて以降、米社会を緩やかに押し流す「溶岩流」の続きとみるべきだろう。

 

https://jp.wsj.com/articles/SB12048907042135944252204584582901485955992

 

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アメリカの中間選挙では上院は共和党が抑え、下院は民主党が奪還し、上下院ねじれの結果となりました。

フロリダ州で再集計となったため、集計作業中のところも含めてすべて民主党が獲った場合には、上院勢力がイーブンになってしまう可能性も残ってはいますが、まずそれはないでしょう。

 

中間選挙を経過して今後マーケットがどのように動いていくのか?

「トランプ大統領の強硬姿勢は選挙向けのポーズだから、中間選挙を通過すれば貿易摩擦は穏やかになるだろう」という見方がありますが、おそらくこの考えは当たってないと思います。

中国共産党機関紙人民日報系の環球時報でも、「米中貿易摩擦が緩むことはない」「中国に対する強硬策は共和・民主両党と米国エリート層の共通認識であり、選挙の結果は米中関係に直接影響を及ぼさないだろう」「国内で難しくなったトランプ大統領が国際問題に力を注ぎ、中国に影響が及ぶかもしれない」との分析を出しています。

 

トランプ大統領の貿易戦争がディールだとすると、関税を武器に何を引き出したいのか?

航空機や自動車を買ってもらえば満足なのか?

それはないでしょう。航空機や自動車をいくら買ってもらっても、対中貿易赤字を相殺するには至りません。

中国だって使いようのない大量の航空機や自動車を買って倉庫に眠らせておくわけもありません。

 

では、ペンス副大統領がハドソン研究所で演説したように、「知的財産の盗用、あめ玉のように配る産業補助金など、自由で公正な貿易に反する政策を多用してきた」中国がその姿勢を転換すれば満足なのか?

それも違うと思います。

「自由で公正な貿易ルールに従う競争は、世界の経済的発展に大きく寄与するはずだ」

そんな崇高な理念を実現するために、トランプ氏は大統領になったのでしょうか?

トランプ大統領ってそんな人でしたっけ?

 

そうではなく「中国をやっつけろ!日本をやっつけろ!」って言って大統領になったんですよね?

トランプ大統領は鬱屈したラストベルトの労働者の代弁者ではなく、むしろトランプ大統領自身がそういう考え方の人なのです。

「中国が清廉潔白にルールに従って競争を勝ち抜くのであれば、それは是とする。アメリカは中国に覇権を譲ってもいい。」

そんな考え方をする人ではないことは明らかです。

 

「中国の人権問題」も「知的財産の盗用」も「補助金乱発による製造2025」も「関税や為替による不公正な貿易」も「南シナ海の軍事拠点化」も、すべては材料であり、本質は米中の覇権争い。米ソ冷戦のようにどちらかが倒れるまで続くと思います。

 

 

反騰終了か?

 

10月末以降、中間選挙に向けて世界の株価は反騰を見せました。

選挙前にはトランプ大統領から「中国とは貿易摩擦について合意するだろう」などという発言も出ましたが、こちらのほうがむしろ選挙対策のリップサービスではなかったかと思います。

 

NYダウは先週、最高値からの下落の76.2%を戻し、これはフィボナッチ数値の76.4%付近です。

S&P500は同じく62.7%を戻し、これはフィボナッチ数値の61.8%付近です。

株の場合、フィボナッチは為替ほどはあてになりませんが、このあたりで中間反騰が終わることはありえます。

そういえば2015年のチャイナ・ショックの際も日経平均は20953→16901→20012と動き、76.8%戻し。だいたいフィボナッチあたりで止まっています。

 

来週以降さらに戻りが継続するなら、特にNYダウに関しては100%戻しの可能性もありますが、そこまで戻れるかどうか?

売り遅れた機関投資家が売って来やすいタイミングであり、下落第二弾に向かう可能性が高いんじゃないかなと個人的には考えています。

10/24の記事ですが、こういうのも出てました↓

 

中国最大級ファンド、保有株を売却の用意-「世界の相場はピーク」

 

中国政府系の資産運用会社、中国光大(チャイナ・エバーブライト)は、世界的に株式のバリュエーションがピークを付けたとの懸念から、保有株を売却する準備をしていることを明らかにした。同社の保有資産は1390億香港ドル(約2兆円)に上る。

 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH28D16S972A01

 

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