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TOPIXが年初来安値 日本経済の停滞感嫌う
23日の東京株式市場では日経平均株価が大幅反落した。3月期決算企業の4~9月期決算発表を控えて投資家が買いに慎重になるなか、中国・上海株式相場が反落して始まり、東京市場でも先物主導で売りが出た。東証株価指数(TOPIX)とJPX日経インデックス400は3月23日に付けた年初来安値を下回った。日本の7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率がマイナスになりそうなことなども株式の売りを誘った。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36831300T21C18A0000000/
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TOPIXが3月の安値を割り込みました。
年初からの下落が続いていることになります。
そして修正下支えラインも割り込みました。
アベノミクスの起点とブレクジットの底を結んだものが修正下支えラインです。
ブレクジットの底はアベノミクスの上昇の半分を帳消しにする強烈なものでした。
アベノミクスの起点とその強烈な底を結んだラインをも下回ったということは、最低限の上昇力すら失ったことを意味します。
アベノミクス以降の日本株の上昇局面は、終わった可能性が高そうです。
そしてS&P500
週足ベースでも修正下支えラインを割り込んで終わりました。
最後のピースが埋まった感があります。
日米の主要株価指数が揃って天井を打った可能性が高く、先に天井を付けていた上海、DAXとともに、世界の株価は天井を迎えたのではないかと思います。
値段を見ないで売る人
一方、NYダウは、修正下支えラインまでまだかなり距離があります。
これはおそらくNYダウが時価総額の大きい銘柄で構成されているためだと思います。
資金量の大きい年金などの運用主体は、時価総額が大きく流動性の高い銘柄を買うことになります。
そしてそれらの主体は予想で売買はせず、事実で買います。
年金運用者は「米中貿易戦争で株は下がると思う」などと予想して運用することはありません。
事実として企業業績が一定の水準あれば、坦々と買うことになります。
世の中にはいろんな考え方で株を売買する人がいます。
・値段を見て売買する人
・予想で売買する人
・事実で売買する人
そして、値段を見ないで売買する人
値段を見て売買する人は言います。
「おかしい、なぜこんなに売られるんだ」「企業業績はまだ順調じゃないか」「もうすぐPER12倍割り込むぞ」と。
しかし今売ってる人は、値段など見ていません。
リーマン・ショックの底で「チャンスだ買おう」と思った人にとって見れば、「もう十分」なのです。
完全雇用に到達し、量的緩和が終わり、米中貿易戦争が始まっている。
買うときにはPERを見るでしょうが、売るときには何も見ません。
景気の頂点だと確信し、利益確定で株から離れるので、もう業績には興味はないのです。
今は「値段を見ないで売る人」が優勢になった状態だと思います。
復活はないのか?
一方で、株価は雇用とともにあります。
欧米ではドラスティックに雇用を切るため、長期の株価の天底はきれいに失業率と一致します。
失業するから物が買えない。
働かなければ付加価値を産めず、GDPに貢献できない。
長期の株価はとてもシンプルに動きます。
雇用は遅行指標とよく言われます。
ドラスティックに雇用を切る欧米の企業でも、何もないのに首を斬るわけではありません。
「貿易戦争が始まったからおそらく不景気になる。リストラを始めます!」などと宣言する経営者はいません。
雇用は予想ではなく事実で動き、事実として業績が下がり、雇用を支える見通しが立たなくなって初めて解雇することになります。
解雇がなければ景気後退もなく、株価は戻ることもありえます。
今年1月からの下落は貿易戦争を予想して始まっており、かなり予想先行で売り始めた感があります。
しかし貿易戦争の成り行きを見る中で、まだ企業業績にはそれほど悪影響が現れておらず、逆に関税引き上げ前の駆け込み需要などもあったため、10月にかけて株価は戻しました。
そして現状。
15年辺りから新車販売台数は下がり始め、17年末からは中古住宅販売件数も下落基調。
貿易統計にも貿易戦争駆け込み需要の陰りが見え始めています。
来年1月の決算シーズンで業績が良ければ「事実で買う」年金筋が買いに来るでしょうが、そこまでまで持つかどうか。
ここから持ち直して再び高値を更新するのは、かなり厳しいと思います。
日経平均
最後に日経平均です。
ザラ場ベースでは修正下支えラインを割り込みましたが、終値ではなんとか踏みとどまっています。
ちょうどリバウンドポイントに差し掛かっており、ここから跳ね上がることができれば、10月高値を再度目指す可能性が出てきます。
しかし高値を超えても超えなくても、もう大勢には影響ありません。
TOPIXはあれだけ下げています。
日経平均は先物・値がさ株に振り回されやすく、裁定取引の標的となったファースト・リテイリングのPERが40倍を超えていたことからも分かる通り、全体の流れを表現できる指数ではありません。
跳ね上がって仮に高値を更新できたとしても、10月のように「頭を出したら終わり」になる可能性が高そうです。
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世界の株価は最後の上昇?⑧
https://ameblo.jp/technote2012/entry-12429401699.html