海外勢、日本株を8週連続売り越し 1兆4817億円、9月9~15日

 

 財務省が21日発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(週間・指定報告機関ベース)によると、海外投資家は9月9~15日に日本株を8週連続で売り越した。売越額は1兆4817億円。2018年3月18~24日以来の規模だった。14日の株価指数先物・オプション9月物の特別清算指数(SQ)の算出に伴う売りが出たという。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL21HIB_21092018000000/

 

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今年は海外勢の日本株売りが、アベノミクス以降最大になりそうです。

海外投資家は、現物株は先週でほぼ売り切ったんじゃないかなと思います。

 

財務省 対外・対内証券投資

https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/itn_transactions_in_securities/index.htm

 

 

上記は海外投資家の株式の売買集計結果です。

一見して分かる通り、海外投資家が年間トータルで売り長になることはほとんどなく、売った時はほぼ大天井だということがわかると思います。

2007年はサブプライムローンが弾け、2008年のリーマン・ショックでは7兆を越える売りとなりました。

 

海外投資家の中でも「海外年金筋」と「年金以外の海外勢」では、投資行動が違います。

海外年金筋は主にアメリカの年金ですが、人口の増えているアメリカでは一貫して年金資金は流出より流入が多く、基金は増える一方です。

そのため海外年金筋は基本的に、毎年坦々と買います。「サブプライムが弾けたから今年は買わない」なんてことはできません。

 

それに対して「年金以外の海外勢」は、パッシブ運用のファンド以外は基本的に相場観で売買します。

坦々と買う年金がいるのにトータルで売り長になる年は、よほどのことです。

 

2015年はチャイナ・ショックが起こり、2016年は5兆程度の売り越しとなりました。

2015年にはアメリカも完全雇用に到達しており、通常であれば景気循環の頂点。

株価も大天井になっておかしくない年でした。

しかしトランプ大統領が法人税減税を持ち出したため、ボーナス・ステージになったものと思われます。

 

 

先物による買い支えは終了?

 

「年金以外の海外勢」は相場観で売買するとはいえ、資金が大きいためすぐには逃げられません。

通常半年以上かけて売りぬきます。

その際に先物がよく使われます。

 

先物はレバレッジが効き、反対売買の必要もないため、資金効率よく運用することができます。

先物で高めに釣り上げておけば値崩れの心配がなさそうに見え、一般投資家を誘い込むことができます。

日本ではTOPIXを見ている人はあまりおらず、報道も日経平均がメインなので、日経平均さえ持ち上げておけば格好は付きます。

TOPIXも先物はありますが、現物が巨額なので買い支えは無理です。

今年2月以降NT倍率が拡大傾向にあるのはそのためです。

 

https://nikkei225jp.com/data/nt.php

 

また先物を現物より高めに持ち上げておけば、裁定業者がサヤ取りのために先物を売って現物を買いに来るため、その現物買いに自らが溜め込んだ現物の売り玉をぶつけることができます。

 

先週9/21金曜は特にサヤが大きく、先物が現物より50円以上高い状態が続きました。

コストを掛けて厚めにサヤを取ることで、裁定業者の現物買いを誘いたかったのでしょう。

おかげで東証一部の売買代金は4兆円近い大商いになりました。

クライマックスっぽい商いですね。

 

値動きの様子から先週も海外投資家が現物売に回っていることは予想でき、9/16-9/22の週を入れると今年累計で7兆円を超える売り長となる可能性があります。

既にリーマン・ショックの年に匹敵する売り玉であることから、おそらく相場観で売り買いする「年金以外の海外勢」は、アベノミクス以降のキャピタルゲイン狙いの買い玉については、ほぼ全量を売り切ったのではないかと思います。

海外勢は逃げ切りですね。

 

この後どうなるのか?

もちろん相場観で売買しているので、先高期待となれば海外投資家が戻ってこないとも限りません。

しかし全量を売ってしまった海外投資家が戻ってくるのか?

大口の海外投資家は仕込みにも撤退にも半年以上かかるので、安倍政権誕生やトランプ政権誕生など、明確に少なくとも2-3年の先高を予想できるような材料がないと戻ってこないと思いますが・・?

 

個人投資家主体の戦場となれば、大きな値動きが予想されます。

個人投資家は海外大口投資家と違い、先物で値崩れを防ぎながら半年かけて売るなどということはしません。

いきなり全量ぶん投げるのが個人投資家です。

 

今週も先物の方が高い状態が続けば、まだ売り切っていない大口投資家がいるのでしょう。

しかし現物とのサヤがなくなり、急落を始めたら要注意です。