日経平均は先週17000円の大台を捉え、9月の高値も抜けてきたことから、テクニカル勢からは上昇トレンド入りの声が大きくなっていますね。

それに反して、アメリカ株は今一つぱっとしません。

株価や世界の景気は現在どうなっているのか、ファンダメンタルズの面から考えてみたいと思います。

 

 

アメリカの景気はどうなっているのか?

 

大所のアメリカですが、まずはISM非製造業指数から

 

ISM製造業指数の方は地割れが激しいので、非製造業指数を見てみると。

最近数か月はブレが激しく、景気が良くなりつつあるのか何なのかよくわかりません。

一年平均はなだらかな下降を続けています。

 

また「最長」となっているのはISM非製造業指数が最低の37.3を記録した2008年11月からの累積平均です。

リーマンショック以降の累積平均を割り込みつつあることから、楽観はできない状況だと思います。

 

次に雇用です。

 

米失業率ですが、最近はあまり改善がなく、なだらかな上昇傾向にも見えます。

同時にインフレ率も見ておきましょう。

 

米CPIは15年9月以降顕著な上場傾向にあります。

原油の下落は2016年2月まで続いているので、これは原油が原因ではありません。

 

これはおそらく、米雇用がNAIRUの水準に達したことが原因と思われます。

NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment)というのは、詳しい説明は省略しますが、失業率が一定以上小さくなるとインフレが発生しますよという理論です。

 

つまり完全雇用とほぼ同じ意味合いであり、2015年9月に失業率が5.3%→5.1%に改善したところでインフレ傾向となり、アメリカは事実上の完全雇用に入ったものと思います。

そしてこれはFRBの事前予想(5.2%-5.6%)の下限とほぼ一致します。

 

長い失業率のグラフを見ればわかりますが、アメリカの株価の推移は、失業率とともにあります。

 

 

http://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=LUR&c1=US&s=&e=

 

数か月のブレはありますが、米株の天底と失業率の底天は、年次ではきれいに一致します。

これは欧米がドラスティックに雇用をカットする社会であることと、無縁ではないと思います。

 

安倍首相は100万人の雇用を創出したと言いますが、そもそも日本では不況期に雇用を切ることはあまりありません。

一方、アメリカではリーマンショックで失われた雇用は数千万人です。

数千万人が失職し、貯金はあっても再就職までつつましい生活を強いられ、雇用の回復とともに消費が戻り、株価が上昇する。

アメリカはそういう社会なんだと思います。

 

そして完全雇用に達した以上、ここからアメリカの企業業績が大きく伸びることはありません。

そして話が長くなるので端折りますが、日米欧、世界中が同様の状況にあります。

ファンダメンタルズからは、今年もしくはどんなに遅くとも来年で、世界経済は頭打ちと思われます。

 

 

日米の株価は?

 

最後に株価です。

アメリカの5年チャートは以下のようになっています。

 

2015-2016年はあまり伸びてないことがわかります。

完全雇用に到達し、雇用がこれ以上増えないことと歩調を合わせる動きです。

 

次に日本株ですが、ドル建て日経平均の5年チャートを見てみると。

 

 

やはり同様に、2015-2016年はほとんど伸びていないことがわかります。

日本円ベースでみると日本株は低迷しているように見えますが、ドルベースでみると米株と遜色なく、十分に高値圏に位置しています。

 

これ以上上に行こうとすると、外国人は喜んで売ってくるでしょう。

国際資本市場が整備され、海外金融資産の売買が低コストで行われるようになった現在では、どうしても似たような構図になりがちです。

 

つまり、ここから上は、ファンダメンタルズでは買えません。

買うのであれば企業業績を無視したバブルの到来を予想することになります。

 

本当にバブルは来るのか?

そのような熱気はあるのか?

買うのであればリスキーな位置にいることを認識しながら、進んでいった方がいいと思います。

 

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