9月の日米の金融政策が出そろいました。
甘い「日銀バズーカ」の総括、高まりにくい株高・円安の期待
[東京 21日 ロイター] - 日銀の「総括的検証」に対し、市場では冷ややかな声が少なくない。バズーカと呼ばれる「量」の政策効果に対する評価が甘かったためだ。大胆な緩和策は目標に達せず失敗したとの見方が市場では多いが、今回の検証では一定の効果があったと評価した。日銀と市場の認識ギャップは埋まらないままで、今後の追加緩和においても株高・円安の期待は高まりにくいとみられている。
http://jp.reuters.com/article/cross-mkt-eye-idJPKCN11R1LV?pageNumber=2&sp=true
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
甘い「日銀バズーカ」の総括、高まりにくい株高・円安の期待
[東京 21日 ロイター] - 日銀の「総括的検証」に対し、市場では冷ややかな声が少なくない。バズーカと呼ばれる「量」の政策効果に対する評価が甘かったためだ。大胆な緩和策は目標に達せず失敗したとの見方が市場では多いが、今回の検証では一定の効果があったと評価した。日銀と市場の認識ギャップは埋まらないままで、今後の追加緩和においても株高・円安の期待は高まりにくいとみられている。
http://jp.reuters.com/article/cross-mkt-eye-idJPKCN11R1LV?pageNumber=2&sp=true
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
イエレン米FRB議長の会見要旨
[ワシントン 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は21日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定した。ただ、労働市場が一段と改善するなか、年内に一回の利上げを行う可能性を強く示唆した。
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-yellen-idJPKCN11R2SH?sp=true
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
会見では今回の金融政策の変更は緩和縮小ではないと強調していた黒田さん。
予想通りこれまでの金融政策の効果を主張する総括となりましたが、市場の反応は芳しくなく、黒田さんが発言するたびに時間外の先物は下落していく展開となりました。
今回の内容は、
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf
いろいろと変更してるようですが、小手先にすぎないように思います。
骨子のイールドカーブ・コントロールについて。
10年国債に0%のアンカーを打ち、短期金利はおそらく今後マイナス金利を深堀していく。
10年より長い国債はプラス金利になるようにし、イールドカーブをスティープ化する。
銀行や生保は長短金利差で鞘を稼ぐことができます。
しかし前回のマイナス金利導入以降は、すべての年限で金利を抑制する方法をとったため、金融機関の収益を圧迫するという批判が出ました。
今回は金融機関の利益を圧迫しないように配慮したつもりですが、これは無理があります。
そもそも中央銀行は、長期金利をコントロールできないとされています。
これは日銀自身もそのように認めているので、詳しくはそちらを読んでいただければと思います。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchokinri.htm/
簡単に言うと、金利は市場で決まります。
日銀は一バンカーとして市場に介入することにより、金利をコントロールしています。
そしてオーバーナイト翌日物などの短期金利は、現時点の金融政策や経済動向などの確定した情報を反映して市場で値が決まります。
しかし長期金利は未来の話です。
未来の経済状態や金利状態がどうなっているのかは、市場参加者の予想でしかありません。
日銀がいくら長期金利を上げようと思っても、市場参加者が低金利時代が長く続くと予想すれば、長期債は買われて金利はどんどん下がってきてしまいます。
また資金需要のない中、運用先が増えるわけではないので、金融機関は喜んで長期債を買いに行きます。
今後日銀はあまり長期債を買うことができず、売り手に回る場面も出てくるでしょう。
しかし売ると言っても、手持ちの長期債が尽きればそれで終わりです。
日銀が保有する10年超の国債保有残高は80兆弱。それに対して黒田日銀が銀行からとりあげた国債は270兆。
潤沢な市中銀行の資金の前に、日銀の手持ちの長期債はすぐに食べ尽くされてしまうでしょう。
今後、年間80兆円の買い入れペースを保つのはおそらく無理でしょう。
今回の措置はテーパリング気味に見えます。
また、実体経済への影響については、
長期金利を高めに保つことで、住宅バブルが発生する見込みは低くなりました。
短期金利を低く保つことで、これまで通り企業の設備投資は高水準で推移し、供給過剰となり、消費者物価はデフレ気味に推移するでしょう。
すべて静かに、バズーカ前に戻って行きそうな気がします。
そして日銀のイールドカーブ・コントロールが事実上銀行への補助金として機能し、日銀の財務は悪化します。
これは将来の不安定要素になりそうです。
おそらくいくら見直しても、結果が出ることはありません。
「量的緩和でマイルドインフレが起こる」
この理論が根本的に間違っている以上、いくらその方向で努力しても結果が出るはずがないのです。
日銀の金融政策の名前は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」から「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に変わったそうです。
黒田さんは名前を付けるのが好きですが、実を伴わなければどうしようもありません。
今回の金融政策の変更も、早くも「日銀はできない約束をしている」と言われ始めています。
「異次元緩和」というどこか幼稚な、ふざけた趣すらあるネーミングの金融政策は、日本金融政策史の悪政として名前が残ってしまうかもしれないなという気もしています。
アメリカは12月のFOMCで利上げが濃厚な気配ですが、トランプ氏が大統領になるようなことがあれば、その見通しも大きく変わります。
12月の前に、11月の大統領選挙のトランプリスクを市場は織り込みに行くでしょう。
日銀金融政策決定後に株価は上昇しましたが、長続きはしないかもしれません。
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-yellen-idJPKCN11R2SH?sp=true
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
会見では今回の金融政策の変更は緩和縮小ではないと強調していた黒田さん。
予想通りこれまでの金融政策の効果を主張する総括となりましたが、市場の反応は芳しくなく、黒田さんが発言するたびに時間外の先物は下落していく展開となりました。
今回の内容は、
13:16 日銀金融政策決定会合・結果発表
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
① 金融市場調節方針(賛成7反対2)
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、長期国債の買入れを行う。
買入対象については、平均残存期間の定めは廃止する。
② 長短金利操作のための新型オペレーションの導入(賛成8反対1)
(i)日本銀行が指定する利回りによる国債買入れ(指値オペ)
(ii)固定金利の資金供給オペレーションを行うことができる期間を 10 年に延長(現在は1年)
(2)資産買入れ方針(賛成7反対2)
① ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。
② CP等、社債等について、それぞれ約 2.2 兆円、約 3.2 兆円の残高を維持する。
(3)オーバーシュート型コミットメント
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。
消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2016/k160921a.pdf
いろいろと変更してるようですが、小手先にすぎないように思います。
骨子のイールドカーブ・コントロールについて。
10年国債に0%のアンカーを打ち、短期金利はおそらく今後マイナス金利を深堀していく。
10年より長い国債はプラス金利になるようにし、イールドカーブをスティープ化する。
銀行や生保は長短金利差で鞘を稼ぐことができます。
しかし前回のマイナス金利導入以降は、すべての年限で金利を抑制する方法をとったため、金融機関の収益を圧迫するという批判が出ました。
今回は金融機関の利益を圧迫しないように配慮したつもりですが、これは無理があります。
そもそも中央銀行は、長期金利をコントロールできないとされています。
これは日銀自身もそのように認めているので、詳しくはそちらを読んでいただければと思います。
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchokinri.htm/
簡単に言うと、金利は市場で決まります。
日銀は一バンカーとして市場に介入することにより、金利をコントロールしています。
そしてオーバーナイト翌日物などの短期金利は、現時点の金融政策や経済動向などの確定した情報を反映して市場で値が決まります。
しかし長期金利は未来の話です。
未来の経済状態や金利状態がどうなっているのかは、市場参加者の予想でしかありません。
日銀がいくら長期金利を上げようと思っても、市場参加者が低金利時代が長く続くと予想すれば、長期債は買われて金利はどんどん下がってきてしまいます。
また資金需要のない中、運用先が増えるわけではないので、金融機関は喜んで長期債を買いに行きます。
今後日銀はあまり長期債を買うことができず、売り手に回る場面も出てくるでしょう。
しかし売ると言っても、手持ちの長期債が尽きればそれで終わりです。
日銀が保有する10年超の国債保有残高は80兆弱。それに対して黒田日銀が銀行からとりあげた国債は270兆。
潤沢な市中銀行の資金の前に、日銀の手持ちの長期債はすぐに食べ尽くされてしまうでしょう。
今後、年間80兆円の買い入れペースを保つのはおそらく無理でしょう。
今回の措置はテーパリング気味に見えます。
また、実体経済への影響については、
長期金利を高めに保つことで、住宅バブルが発生する見込みは低くなりました。
短期金利を低く保つことで、これまで通り企業の設備投資は高水準で推移し、供給過剰となり、消費者物価はデフレ気味に推移するでしょう。
すべて静かに、バズーカ前に戻って行きそうな気がします。
そして日銀のイールドカーブ・コントロールが事実上銀行への補助金として機能し、日銀の財務は悪化します。
これは将来の不安定要素になりそうです。
おそらくいくら見直しても、結果が出ることはありません。
「量的緩和でマイルドインフレが起こる」
この理論が根本的に間違っている以上、いくらその方向で努力しても結果が出るはずがないのです。
日銀の金融政策の名前は「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」から「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に変わったそうです。
黒田さんは名前を付けるのが好きですが、実を伴わなければどうしようもありません。
今回の金融政策の変更も、早くも「日銀はできない約束をしている」と言われ始めています。
「異次元緩和」というどこか幼稚な、ふざけた趣すらあるネーミングの金融政策は、日本金融政策史の悪政として名前が残ってしまうかもしれないなという気もしています。
アメリカは12月のFOMCで利上げが濃厚な気配ですが、トランプ氏が大統領になるようなことがあれば、その見通しも大きく変わります。
12月の前に、11月の大統領選挙のトランプリスクを市場は織り込みに行くでしょう。
日銀金融政策決定後に株価は上昇しましたが、長続きはしないかもしれません。