米8月ISM非製造業総合指数6年半低水準、景気減速浮き彫りに

[6日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が発表した8月の非製造業部門総合指数(NMI)は51.4と、7月の55.5から低下し、2010年2月以来およそ6年半ぶりの低水準となった。生産や受注の落ち込みが響いた。

指数は市場予想の55.0も大きく下回った。前月比の下落幅は金融危機で世界経済が混乱していた2008年11月以来の大きさだった。

指数は50より上が景気拡大、50より下が景気縮小を示す。

http://jp.reuters.com/article/ism-idJPKCN11C21D

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8月のISM製造業指数は50を割り込み、ISM非製造業指数も大幅に悪化しました。
株価や失業率等の水準を考えると、2009年以降拡大してきたアメリカの景気は数か月以内にピークを迎えるかもしれません。

ISM製造業指数

ISMM201608
http://info.finance.yahoo.co.jp/fx/marketcalendar/detail/9011


ISM非製造業指数

ISMN201608
http://info.finance.yahoo.co.jp/fx/marketcalendar/detail/9021

前回ISM製造業指数が50を割り込んだのは2015年11月。
数か月割り込んだ後50を回復しましたが、今回2016年8月に再び割り込んでしまいました。

前回の2015年11月は、非製造業指数は55付近をキープしたまま大きく落ち込むことはありませんでした。
しかし今回は予想に反して大幅悪化となっており、製造業の景況悪化が非製造業に伝播してきている可能性があります。


2007年の推移

今度は時間軸を変えて、ISMの長期推移を見てみると。

ISM_Long

上記は2006年1月から2015年12月のISM製造業・非製造業指数とS&P500指数の推移です(出典:SBI証券

2007年に米株がピークアウトしたタイミングを見てみると、
2007年1月に製造業指数が50割れ。その後持ち直すも、再度2007年12月に50割れ。
株価のピークは2007年10月

今回は
2015年11月に製造業指数が50割れ。その後持ち直すも、再度2016年8月に50割れ。
株価のピークは今のところ2016年8月。

2007年も今回も、完全雇用に到達した後の50割れです。
すべてのリソースを使いつくし、供給は最大消費を上回る状態にあり、経済の拡大は限界にきている。
現在は前回の景気循環で言えば、2007年後半あたりに位置しているように感じます。

景気循環の長さ

日本は現在第16循環にいて、2012年11月を底として現在も拡大が続いているとすると47ケ月。歴代4位の長さになります。
景気拡大の長さとしては十分な期間を経過しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AF%E6%B0%97%E5%BE%AA%E7%92%B0

米国はどうかというと2009年6月を底として現在も拡大が続いているとすると87ケ月。こちらも歴代4位の長さになります。

US-BC

http://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sa08-02/pdf/s2-08-2-z.pdf

最高では120ケ月という長さのものがありますが、これはITバブルです。
95年には株価が頭打ちとなっていましたが、95年はインターネット元年と言われる年であり、前年にはyahoo!、amazonなどが創業。そのままドットコムショックまで走っていきます。

この時の株価はファンダメンタルズからは説明できないような大きな上昇となっていました。
IT革命のように未来が変わると多くの人が感じるような社会変化があれば、このような上昇も期待できるのですが、お金を刷っても誰も使わず手詰まりの現状では、そのようなバブルは起きそうにありません。

米金利上昇は非常に緩慢であり、現時点では何の金融ショックも起こっていません。
しかし2度のISM製造業の50割れと非製造業の悪化は、確かに秋風を感じさせる内容です。

秋の次には必ず冬が来ます。

冬が来ずにまた春になったということは、歴史上ありません。
株価のピークは、景気のピークより前に来ます。
そろそろ冬の準備をした方がいいかもしれません。

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