[東京 29日 ロイター] - 日銀は28─29日に開いた金融政策決定会合で、上場投資信託(ETF)の買い入れを倍増する追加緩和を決定した。追加緩和期待を織り込んでいた市場は日銀の発表直後、円高に反応した。
http://jp.reuters.com/article/boj-etf-increase-idJPKCN1090BB?sp=true
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日銀が追加緩和を実施しました。
小規模な緩和であると受け止められ、市場は乱高下となりました。
①決定会合の結果発表が遅い。これは追加緩和あるぞ↑
②ETFだけかよ。ダメじゃん↓
③いや、マイナス金利拡大無しだから、銀行株が上がるだろ↑
④そんなこと言ったってこれじゃ為替は円高だぞ↓
⑤とにかく日銀が株を買い増すって言ってるんだからいいんだよ↑
そんな市場の声が聞こえてきそうな乱高下でした。
technoteは今回、追加緩和はやらないんじゃないかと思ってました。
BREXIT直後で世界中が動かない中、日本だけマイナス金利の拡大をやれば、為替操作国として非難を浴びます。
ETFの拡大はあり得ると思いましたが、戦力の逐次投入はしないと黒田総裁が言っていたこともあり、ETFのみの小規模緩和はないだろうと思ったからです。
しかし追加緩和予想が8割を超える中、黒田さんとしても何もやらないわけにもいかず、金利や為替に影響を与えないETFのみの緩和に踏み切ったものと思います。
しかしETF買い増しで株価が上昇するかというと微妙です。
下支えにはなるでしょうが、下がったら買おうとするファンダメンタルズ重視の投資家が買うことができず、投資意欲は下がります。
その分相殺されるので、トータルで見るとあまり効率のいい方法ではありません。
そして実体経済に影響を与えることができないこの方法では、企業収益の改善も見込めず、下支え効果のみで株価を押し上げる力はありません。
その後の経済変動で株価が下がれば、日銀が債務超過に陥ることもあります。
どんどん危険な方向に進んでいるなあという気がします。
また、「9月の会合で総括的な判断をする」という黒田さんの発言から、「9月にヘリマネか!」と憶測を呼んでいるようですが、会見を聞く限りそんな感じではありませんでした。
黒田総裁「これまで3年間の金融緩和の効果を検証し、総括的な判断をした方がいいと。すべてのメンバーがこうしたことが望ましいと言われまして・・」
http://channel.nikkei.co.jp/businessn/160729boj/ 16分過ぎから
全く効果が出ない中、量的質的金融緩和に効果があると言い続けてきた黒田さん。
どこか目を合わそうとせず、「金融緩和が足りないから効果が出ないんだ。ヘリマネやるぞ!」という意気込みのある態度には見えません。
おそらく異次元緩和にマイルドインフレ効果がないことは、黒田さんも自覚していることでしょう。もちろんそんなことは口に出して言えませんが。
そして先日、イエレン議長もハイパーインフレの懸念を示したヘリマネに飛び込んでいくのは、いくらなんでも無理でしょう。
イエレン氏は「通常は中央銀行の金融政策と政府の財政政策を区別することが重要だ」と指摘。中銀が国債の直接買い入れなどで、紙幣の増刷効果を生み出す「ヘリコプターマネー」によって、「ハイパーインフレに陥った国はあまりにも多い」と語り、「物価の安定は中央銀行の独立性によって支えられている」と訴えた。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016061600231&g=int
メディアはヘリマネを煽り立てますが、実現の可能性はほとんどありません。
煽情的な報道には乗せられない方がいいと思います。