国債入札、特別資格を返上 三菱UFJ銀が伝達
三菱東京UFJ銀行は13日、国債の入札に特別な条件で参加できる資格を返上すると財務省に伝えた。マイナス金利で国債保有の負担が重くなっているためだ。財務省は返上を受け入れる方針で、6月末にも入札特別資格のメンバーから外れる見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS13H6V_T10C16A6MM8000/
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三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)の資格を返上しました。
先週末から返上検討と報道されていましたが、正式に財務省に伝達しました。
おそらく今年最も重大で、深刻なニュースだと思います。
国債市場特別参加者というのは聞き慣れないかもしれませんが、実質的な国債の引受シンジケート団です。
以前は国債を発行する際、金融機関がシンジケート団を組んで引受を行っていました。引受シ団と呼ばれるものです。
しかし価格形成が不透明などの批判もあり、シ団方式は縮小していき、変わって国債投資家懇談会が取って代わるようになりました。
国債と言えども民間から資金を調達するわけですから、国債を買うかどうかは市場の判断にゆだねられます。
しかし完全に市場に任せていては、安定的な消化ができない可能性があります。
国がお金を貸してほしいと言っているのに民間からそっぽを向かれては、国の財政が立ち行かず、深刻な社会不安になる可能性もあります。
そこで「懇談会」という場を設け、資金需要がどれほどあるのか、国債はどれくらい消化してもらえるのか、金融機関からヒアリングを行い、市場と対話しながら安定的な国債の消化に努めています。
そして日銀がいきなりマイナス金利を導入したのが今年の1月の日銀金融政策決定会合。
黒田さんは直前までマイナス金利の導入は検討していないと言っていました。
それが突然の導入。
市場にインパクトを与えるためにサプライズを演出する黒田さんですが、今考えるとこの時は、本当に根回しもなくマイナス金利を導入したようです。
そのマイナス金利導入直後の3月に開催された国債投資家懇談会席上で、ある金融機関から以下のような衝撃的な発言がありました。
長くなりますが引用します。
<国債投資家懇談会(第64回)議事要旨>
三菱東京UFJ銀行は13日、国債の入札に特別な条件で参加できる資格を返上すると財務省に伝えた。マイナス金利で国債保有の負担が重くなっているためだ。財務省は返上を受け入れる方針で、6月末にも入札特別資格のメンバーから外れる見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS13H6V_T10C16A6MM8000/
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三菱東京UFJ銀行が国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)の資格を返上しました。
先週末から返上検討と報道されていましたが、正式に財務省に伝達しました。
おそらく今年最も重大で、深刻なニュースだと思います。
国債市場特別参加者というのは聞き慣れないかもしれませんが、実質的な国債の引受シンジケート団です。
以前は国債を発行する際、金融機関がシンジケート団を組んで引受を行っていました。引受シ団と呼ばれるものです。
しかし価格形成が不透明などの批判もあり、シ団方式は縮小していき、変わって国債投資家懇談会が取って代わるようになりました。
国債と言えども民間から資金を調達するわけですから、国債を買うかどうかは市場の判断にゆだねられます。
しかし完全に市場に任せていては、安定的な消化ができない可能性があります。
国がお金を貸してほしいと言っているのに民間からそっぽを向かれては、国の財政が立ち行かず、深刻な社会不安になる可能性もあります。
そこで「懇談会」という場を設け、資金需要がどれほどあるのか、国債はどれくらい消化してもらえるのか、金融機関からヒアリングを行い、市場と対話しながら安定的な国債の消化に努めています。
そして日銀がいきなりマイナス金利を導入したのが今年の1月の日銀金融政策決定会合。
黒田さんは直前までマイナス金利の導入は検討していないと言っていました。
それが突然の導入。
市場にインパクトを与えるためにサプライズを演出する黒田さんですが、今考えるとこの時は、本当に根回しもなくマイナス金利を導入したようです。
そのマイナス金利導入直後の3月に開催された国債投資家懇談会席上で、ある金融機関から以下のような衝撃的な発言がありました。
長くなりますが引用します。
<国債投資家懇談会(第64回)議事要旨>
本懇談会に長らく出席してきたが、本日が一番深刻で、次なる展望が描けないとの印象を持った。最近、消費税の引き上げを延期すべきとの議論も出ているが、マーケットに流通する国債が減少していても、日本国民が負うべき借金は減少していないので、問題である。
昨日、政府の月例経済報告で景気の下方修正をしたが、高い経済成長を掲げて、色々それに向けて取り組んでいけば上手くいくという前提自体を考える必要があると思う。具体的に申し上げると、本年度の国と地方を合わせた税収の見込みは99.5兆円、リーマン・ショック以前の平成19年度では92兆円であった。しかしながら、本年度の99.5兆円のうち、消費税の引き上げ3%分を除くと91.2兆円となる。つまり、92兆円あった税収が、消費税の引き上げを行わなければ、91.2兆円に減少している状態である。
冷静に考えれば、労働力人口が減少する中で、高い成長は期待出来ない。内閣府中長期試算における経済再生ケースでは、平成32年度にプライマリー・バランスを黒字化するまでには、消費税を10%に引き上げても6.5兆円不足する。ベース・ライン・ケースでは、12.4兆円も足りない。ベース・ライン・ケースでも潜在成長率を0.8%としており、それは米国やOECDよりも1人当たりの生産性の伸びを高く見ている状態である。
現在、国債市場で市場機能が低下としているという言及があったが、日本経済全体についても、高い成長率を前提にして物事を考えていると上手くいかない状況になっていると思う。我々は80年代の終わりにはバブルを経験した。今回は、口先バブルを経験したと捉えて、冷静に様々なことを考えるべき時期である。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/160324.html
どこの金融機関かは書かれていませんが、話の流れから考えておそらく発言者は三菱銀行でしょう。
政府の財政運営に対する痛烈な批判。
国債の需要動向をヒアリングする席上で、この発言は異例です。
「いつまで借金漬けの財政運営をやってるんだ。いいかげんにしろ。これ以上は付き合えない。」
そう情感たっぷりに演説をぶって、退席したのではないかと思います。
おそらくこの席上で三菱は、日本政府に対して最後通牒を行ったのでしょう。
しかし政府は消費増税延期を決断しました。
そのため今回、三菱は政府を見限ったのだと思います。
時系列はこうなります。
財政破綻は絵空事ではありません。
ながらく日本の財政は維持不可能だと言われてきましたが、今回の三菱のプライマリーディーラー返上で一歩進んだ感があります。
もはや財政破綻するかしないかではなく、いつ破綻するかの段階に入ってきたのではないか。
そんな気さえします。
今週の日銀金融政策決定会合を前に、国債は暴騰と言っていい値上がりを見せました。
会合前に長期国債の利回りが-0.2%付近まで買われ、会合でマイナス金利の-0.1%現状維持が伝わっても高水準で揉み合い、ようやく翌日に-0.15%付近まで下がりました。
会合の結果に委細かかわらず国債は買われ、日銀が将来-0.2%、-0.3%とマイナス幅を拡大することを確信している動きです。
日銀がマイナス金利を導入し、一度もマイナス幅を拡大せず終わることはあり得ないでしょう。
しかし三菱が反旗を翻した直後の会合で、マイナス金利を拡大するわけにもいきません。
日銀の苦悩がうかがえます。
市場と会話せず、サプライズに頼ってきた黒田日銀。
この後どう決着をつけるのでしょうか?
マイナス金利は事実上の一部デフォルト。
それを買う日銀の損失は膨らみ続けます。
おそらくまともな決着はないと思います。
あるなら三菱は離反しません。
筆頭メガバンクの決断は、そう遠くない日本の将来を予言しているように思えます。
http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_jgbi/proceedings/outline/160324.html
どこの金融機関かは書かれていませんが、話の流れから考えておそらく発言者は三菱銀行でしょう。
政府の財政運営に対する痛烈な批判。
国債の需要動向をヒアリングする席上で、この発言は異例です。
「いつまで借金漬けの財政運営をやってるんだ。いいかげんにしろ。これ以上は付き合えない。」
そう情感たっぷりに演説をぶって、退席したのではないかと思います。
おそらくこの席上で三菱は、日本政府に対して最後通牒を行ったのでしょう。
しかし政府は消費増税延期を決断しました。
そのため今回、三菱は政府を見限ったのだと思います。
時系列はこうなります。
1月29日 日銀が金融政策決定会合でマイナス金利を導入
3月24日 国債投資家懇談会席上で、三菱側がマイナス金利・増税延期に対して懸念を表明
6月 1日 政府が消費増税延期を決定
6月13日 三菱東京UFJ銀行が国債入札特別資格返上
財政破綻は絵空事ではありません。
ながらく日本の財政は維持不可能だと言われてきましたが、今回の三菱のプライマリーディーラー返上で一歩進んだ感があります。
もはや財政破綻するかしないかではなく、いつ破綻するかの段階に入ってきたのではないか。
そんな気さえします。
今週の日銀金融政策決定会合を前に、国債は暴騰と言っていい値上がりを見せました。
会合前に長期国債の利回りが-0.2%付近まで買われ、会合でマイナス金利の-0.1%現状維持が伝わっても高水準で揉み合い、ようやく翌日に-0.15%付近まで下がりました。
会合の結果に委細かかわらず国債は買われ、日銀が将来-0.2%、-0.3%とマイナス幅を拡大することを確信している動きです。
日銀がマイナス金利を導入し、一度もマイナス幅を拡大せず終わることはあり得ないでしょう。
しかし三菱が反旗を翻した直後の会合で、マイナス金利を拡大するわけにもいきません。
日銀の苦悩がうかがえます。
市場と会話せず、サプライズに頼ってきた黒田日銀。
この後どう決着をつけるのでしょうか?
マイナス金利は事実上の一部デフォルト。
それを買う日銀の損失は膨らみ続けます。
おそらくまともな決着はないと思います。
あるなら三菱は離反しません。
筆頭メガバンクの決断は、そう遠くない日本の将来を予言しているように思えます。