3月第2週の投資部門別売買動向=外国人、過去最大の1兆1932億円売り越し

 3月第2週(3月7-11日)の投資部門別売買動向によると、現物株は外国人投資家が10週連続で売り越した。個人は3週ぶり買い越し、公的年金の動きを示すとされる信託銀行は16週連続の買い越しとなった。なお、外国人としての売越額は1982年7月の統計開始以降最大となる。

http://www.morningstar.co.jp/msnews/news?rncNo=1718973

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3/7-3/11の海外投資家の動向は、1987年のブラックマンデーの記録を抜き、過去最大の売り越しとなりました。

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しかしその割には株価は下がっていません。
売り方がいれば買い方がいるものであり、今回買い方となったのは証券自己です。

証券自己というのは名前通り、証券会社が自己勘定で買ったものですが、これにはからくりがあります。
日銀がETFを購入する際は、従来は「信託銀行」という項目に反映されていました。
これは日銀が住友信託銀行を通じてETFを発注するからです。

しかしこれがいつごろからか(おそらく2014年あたりから)、証券自己に分類されるようになってきました。
これは日銀がETFを発注すると、あまりに量が多いため、市場に出ている既発のETFでは間に合わないからです。

日銀は信託銀行にETFを発注します。
そして信託銀行は市場で買いきれない量を証券会社に発注します。
証券会社はETFの裏打ちとなる現物株式を「市場で」購入し、その現物バスケットをETF運用会社に拠出してETFを受け取ります。
そして証券会社は受け取ったETFを「市場外で」信託銀行経由で日銀に渡すことになります。

つまり日銀のような大きな主体がETFを買う際には、ETFの発行数を増やさざるを得ず、そのためには証券会社が現物を市場で買うことになるので、「証券自己」という分類に直したのでしょう。

しかし日銀がETFを買うのは1日当たり400億円未満。一週間毎日買っても2000億に満たない金額です。今回の8700億円の証券自己の買いの主体ではありません。
一週間で一兆円近い金額を買えるような主体と言えば、考えられるのはGPIFです。

GPIFの買いは従来やはり信託銀行に分類されていましたが、もしかすると同様のロジックで、証券自己に分類されるような買い方をしているのかもしれません。

今回と同様の現象が見られたのは、2015年9月第2週です。
この時も大きな海外投資家の売りと証券自己の買いが観測されています。
そして翌週の2015年9月第3週は、海外投資家の大きな売りに対して、買い方は見当たりませんでした。
アンバランスなグラフになっており、市場外で大きな受け渡しが発生している様子がわかります。

GPIFや日銀のこうした実態については公表されていませんので、上記はあくまで推測です。
今回の3月第2週は過去最大の海外投資家の売りがあったにもかかわらず、株価は下がりませんでした。
もし仮にGPIFが動いたのであれば、3月末の運用成績を意識したものでしょう。
3月末の運用成績が出るのは7月初めと思われるので、選挙の直前になります。
選挙を見据えて、GPIFを使って株価押し上げを図ったのかもしれないなという気もします。

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