この日、日銀が追加金融緩和を発表し、同日GPIFの運用枠拡大が発表されました。
日銀が想定外の追加緩和、市場で関心呼ぶGPIF改革と同日公表
[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日、大方の市場予想に反して昨年4月に量的・質的金融緩和(QQE)を導入して初の追加緩和に踏み切った。会見した黒田東彦総裁は、原油価格下落などで上昇しつつある人々の物価観が腰折れるのを防ぐためと説明した。ただ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革がこの日公表され、GPIFの売却国債を日銀が引き取る「財政支援」との見方が市場でくすぶっている。9人の政策委員のうち4人が追加緩和に反対し、5対4という僅差での決定となった。
http://jp.reuters.com/article/idJPL4N0SQ6OP20141031
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この日金曜日と週明け月曜日。日経平均は暴騰し15500円から17000円へと2日で1500円超の急上昇を演じました。
株式市場は拍手喝采で迎えたように見えますが、懐疑的な意見が根強いのも事実です。
インフレターゲット2%の実現に向けて強い意思を示したともとれますが、個人的にはそうは思えません。
むしろ今まで一貫して強気の姿勢を見せていたところが、2%の達成は難しいと考え、一転して追加緩和に踏み切った。
経済指標の後追いで、追い詰められたという印象を受けます。
このあたりはバーナンキ議長と対照的で、市場へのガイダンスが上手ではないなという気がします。
私はもともと量的金融緩和には懐疑的な考えであり、サブプライムバブル・住宅バブルの対処としてバランスシートの拡大という真逆の手法を選択したことは、将来のアメリカに大きな禍根となると思っています。
しかしながら、在任中のバーナンキ議長のガイダンスは見事であり、大きなドローダウンもなくほぼ一貫して右肩上がりの株式相場を作り出すことに成功しており、市場との対話に関しては完璧な対応だったと思います。
対して黒田さんの場合には、自信満々の態度が仇となり、市場に日銀は簡単に動かないという印象を与えた上で、形勢が悪くなるとやっぱり動くんだという、振り回された対応に見えます。
黒田バズーカ一発でインフレ2%を必ず達成できると公言した当初の自信はなんだったのか?
「自信満々の見通しが間違ってたんだよね?」
「今後もあなたを信頼していいの?」という疑問にどう答えていくのか。
今後の黒田さんの立場は難しくなっていくと思います。
この後どうなるのか?
2年で2%のインフレ目標を達成させるというタイムリミットが、来年の4月に迫っています。
おそらくこれは達成できないでしょう。
これもやってみなければわからなかったことですが、おそらく物価を決める最強の因子は需要と供給であり、マネタリストが主張するように通貨供給量では動かないのだと思います。
FRBはQE1-QE3を通じてバランスシートを5倍以上に拡大しましたが、インフレ率はどれほど変化したのか?
壮大な社会実験の結果、量的緩和はインフレにはほとんど効果がなかった。
これはもう誰の眼にも明らかだと思います。
黒田さんの今回の行動は、良くも悪くも市場コンセンサスに対する裏切りであり、こういう手法は何度も使えません。
市場をガイドせず、裏切って回る中央銀行。
何度もやればサプライズではなく、不信感のみが醸成されていきます。
加えてインフレ目標が達成出来なかったとなれば、市場の信任を失うかもしれません。
今後日銀は非常に難しい舵取りを迫られるのではないかと思います。