ひとつのニュースではありませんが、相場の転機になったトピックなのでまとめておきます。


GPIF改革で「法改正」、広域金融機関創設も=自民党提言案


[東京 20日 ロイター] - 自民党 の日本経済再生本部は20日、デフレからの脱却に向けた第2次提言を同日午後の会合で示す。原案では、公的年金130兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンス体制を強化するのに「法改正の必要性を含め、検討」と明記。広域金融機関「日本版スーパー・リージョナル・バンク」を創設し、地域経済の活性化を促すことなども盛り込む。


http://jp.reuters.com/article/wtDomesticNews/idJPKBN0E004S20140520


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日経平均大幅高、かんぽ生命の日本株比率拡大が追い風に


[東京 22日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は一時300円を超える大幅高となった。中国 経済指標が上振れたことに加え、かんぽ生命が2015年3月期に日本株と外貨建て債券の保有比率を拡大する方針が明らかになり、市場の追い風となった。


http://jp.reuters.com/article/idJPKBN0E20F720140522


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日経平均は5/21に13964円の安値をつけた後反転し、6/9には15207円まで上昇しました。

今回の上昇局面ではそれ以前に比べて、相場のメインプレーヤーが交替しています。


GPIF


上記は投資主体別売買動向と日経平均の週足チャートです。

5月第3週以降、緑の棒(信託銀行=年金資金)が上に伸びていることがわかります。

それに対して下に伸びているのは水色と青(個人)です。

ピンクや赤(外国人や証券自己)はフラットです。


普段は年金資金が相場のメインプレーヤーになることは稀で、相場を動かすのは外国人と個人であることが多いのですが、5月第3週以降は年金資金が積極的に買いあがっている様子がわかります。


公的年金運用見直し、9~10月に前倒し 首相が指示


http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0503Z_V00C14A6MM8000/


GPIFの現行の運用方針では、国内株式の組入れ比率は資産全体の12%±6%と決まっています。

平成26年末まではこの運用比率を守る必要がありますが、前倒しで9-10月に運用比率を変えてしまおうというのがこの報道です。


どのくらいの運用比率の変更になるのかわかりませんが、このスケジュールで行くなら、9月前までに国内株式の比率を現行の枠いっぱいの18%まで高める可能性があります。


GPIFの運用資産は約130兆円。6%買い増すなら約8兆円です。

5月からここまで1兆円近く買い増しています。

今後も月1-2兆円ずつ坦々と買っていくのではないかと思います。


なぜここに来て安倍首相がGPIFの運用見直しを出してきたのか?


おそらく今年に入ってからの株価低迷により、黒田バズーカ以降の平均株価すら割り込んでしまい、市場がアベノミクス否定に傾きつつあるのを見て、官製仕手相場に手を染めたのでしょう。


第三の矢成長戦略はあまりたいしたものが出ないことは既に見透かされているため、昨年5月同様に成長戦略発表直後に相場急落となる事態を避けたかった。

そんな思惑が感じられます。


今回のGPIF運用見直しは、実質的にアベノミクスの最終兵器ではないかと思います。
現行の制度下では、これ以上の市場介入はちょっと考えにくいです。


これに対して、個人の売り向かいが鮮明となっていることはかなり皮肉な構図です。


政府はなりふり構わず仕手戦に乗り出し、アベノミクスを信じろと鼓舞する。

個人はもうだまされないぞと売り向かう。

現状ではそんな関係のようです。


この仕手戦の最後はどうなるのか?

GPIFの資金もいつかは玉切れになります。

玉が切れるまでに実体経済をついてこさせることができるのか。

経済指標の推移を確認しながら、相場についていくことになりそうです。



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