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(前回の記事→アベノミクス7-金融政策3



思考実験その2-インフレになれば消費は増える?


前回は「お金を増やせばインフレになるのか?」を考えました。

なるほど株価や地価の上昇によって恩恵を受けた人は、資産効果によって高額商品にシフトする傾向はあるようです。

しかしながらシフトするだけであって、日用品の消費まで活発になるかというと、それはなんとも言えないようです。


「お金を増やす→インフレになる」は、精度としてはイマイチのような気がしますが、それはひとまず置いておいて、今度は仮にインフレになったとすると、「インフレになる→消費が増える」が成立するかどうかを考えてみます。


いつも買っているある商品の値段が上がったとします。

どのような行動をとるか。


A:値段が上がったから、今のうちに買っておこうと思う。

B:値段が上がったから、買うのを控えようと思う。


実はこれはどちらも正解なのです。

A,Bどちらの行動をとるかは、その時々の経済状況や人々の将来の見通しによります。


アベノミクスではAの効果ばかりが強調されていますが、必ずしもそうなるとは限りません。

実際に今起こっているのはBのようです。


伊藤ハムは円安による原材料価格の上昇により、7月からソーセージ類の内容量を減らしました。

2007年以来のことです。

http://mainichi.jp/select/news/20130715mog00m020008000c.html


2007年の時も、ソーセージやバター、チーズなどの原材料価格が上昇し、メーカーが内容量を減らしたことがありましたが、同じことが起こっているようです。

確かに内容量が10%減ったくらいでは、気づかない人も多いでしょう。


円安によるコストプッシュ要因は確かにあるようですが、一時的に値上がりしてもそれが長続きしないのであれば、逆に「我慢してやり過ごそう」という行動につながるかもしれません。


インフレが消費を活性化するには、ただインフレにするだけでは効き目が無く、

「将来にわたってインフレが続くだろう」という見通しが人々の共通認識になることが重要です。


果たして今はそのような経済状況なのか?


実際に2007年はこのあとどうなったかというと、サブプライム問題が浮上してバブルにかげりが見え始めました。(米株のピークは2007年12月)

それでも原油は高騰を続け、消費大国アメリカでも原材料価格の高騰が消費に影を落とし(原油のピークは2008年7月)、消費抑制が企業業績にも影響を与え始めて株価は下落、最終的にはリーマンショックで世界金融危機となりました。


今回はそうならないことを祈りたいですが、昨今の株価を見るとやはり金融で作り出したバブルは不安定ですね。


インフレになれば消費が増えるわけではなく、インフレが将来にわたって続けば消費が増える可能性がある。

それにはバブルが続く必要がある。

しかしながら、金融バブルは不安定であり、また、インフレによる消費抑制がバブルを押さえ込んでしまう。

こんなところでしょうか。

やはり基本的な経済のファンダメンタルに逆行するのは、かなり難しいんじゃないかなあと思います。


次回以降はそもそもなぜデフレになってしまうのか?

どのような構造になっているのかを考えて行きたいと思います。

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