(前回の記事→アベノミクス6-金融政策2
)
貨幣数量説
中央銀行はどうやら市中に強権通貨を押し出すところまでは主導権を握れそうです。
その押し出された通貨がマイルドインフレを作り出し、景気を回復することが出来るというのが、いわゆるリフレ派の人たちの主張です。
アベノミクスの金融政策はこの主張をもとにしています。
果たしてどのようにインフレを作り出すのか?
その論拠になっているのが、ミルトン・フリードマン を宗主とするマネタリスト と呼ばれる人たちの考え方です。
彼らの主張は貨幣数量説と呼ばれる思考群に集約され、これには細かくいろいろな主張が織り交ざっていますが、ものすごく大雑把に言うと、「最終的には貨幣とモノの比率によって物価は決まるんだよ」という考え方です。
バーナンキFRB理事もミルトン・フリードマンの信奉者であり、フリードマンの誕生日に「あなた方は正しい、大恐慌は我々(FRB)がこれを引き起こした」と述べたとされています。
1929年の大恐慌の原因は、当時のモータリゼーションの時代においてモノの生産量が飛躍的に伸びていたのに、貨幣の流通量をそれにあわせて増やさなかったのが原因だと考えているようです。
本当にそうなるのか?
ちょっと思考実験をしてみたいと思います。
思考実験その1-お金を増やせばインフレになる?
お金を増やせばインフレになるのか?
思考実験その1です。
今、手元のお金が急に10万円から100万円に増えたとします。
どのような行動をとるでしょうか?
パソコンをそろそろ買い換えなきゃなと思っていて、欲しいパソコンがA店では10万円、B店では9万円で売っていたとします。
型番が同じパソコンであればどちらで買うでしょうか?
「お金が入ったから、今日はこっちの高いお店で買っちゃうぞ」とはならないと思います。
100万円が1000万円になろうが、消費行動は同じ。
同じ商品であれば、徹底して安いB店で買うことになるでしょう。
一方で「10万円くらいのこのパソコンにしようと思ってたけど、お金が入ったからこっちの20万円の高級パソコンにしよう」という行動は、すべてではありませんが一部の人に出てくることも想像できます。
いわゆる「資産効果」と呼ばれるものですね。
バブルのころによく見られる現象で、高額商品を扱う傾向のある百貨店の売上高は、アベノミクス効果で堅調のようです
百貨店3社、そろって増益=「アベノミクス」で高額品好調-3~5月期
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201307/2013070400766&g=ind
メインストリームの日常品は相変わらずですが、一部高額商品は好調のようで、消費全体ではこの綱引きとなっています。
バブルがずっと続けばいずれは日常品にも波及してくるかもしれませんが、果たしてそううまくいくのか?
資産効果の是非とともに、後でもう一度触れたいと思います。
次回は仮にインフレになったとして、
・思考実験その2-インフレになれば消費が増えるのか?
これを考えてみたいと思います。